正方形ディスプレイってかなり不思議な遊び心地ですごい好きなんですよね。縦長でも横長でもなく、ゲームボーイの画面のようなプロポーション。
今回とうとう、正方形ディスプレイを搭載したAndroid機が出ました。かな~りニッチなサイズ感、操作感のバランスで、過去に発売した正方形ディスプレイの端末と全く印象が違ってユニークです。
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提供:ANBERNIC
通常価格は26,999+送料。
動画版
スペック&主な特徴
ANBERNIC RG Cubeとは
RG CubeはAnbernic社による携帯ゲーム機で、Androidを搭載したいわゆるエミュ機と呼ばれている端末です。
約4インチ(720×720)の正方形ディスプレイを搭載しているのが特徴的で、チップセットはRG556同様にUnisoc T820が搭載されていてAnbernic社のAndroid製品の中ではトップクラスの性能、
RAMは8GB、ストレージは128GB、MicroSDスロット搭載、バッテリーは5200mAh、ホールセンサースティックやジャイロ、ファンによる冷却機能なども搭載。
カラーはベージュホワイト、パープル、グレー、ブラックの四色展開。
開封&内容物
では早速開封していきます。
今回も本体と別売りのケースも同封されていました。RG Cubeを抽象化したような膨らみが再現されています。
箱のデザイン自体はいつも通りのシンプル線画デザイン。
内容物はこちら。USB Type-C、保護ガラスフィルム、説明書、本体です。
本体外観
今回も初のカラー、金属っぽい光沢感のあるピンクパープルで、めちゃくちゃかわいい上品な色。Anbernicさんは本当に色味が上手いですね。
更に電源を付けると、ウェービングするライブ壁紙が現れ、スティック部分はLEDライトが仕込まれていてレインボーに光り、これらも相まってかなり新鮮なデザインに感じます。
デザインはZPG A1 Unicornのパク・・・ゲフンゲフン!
シェル質感は悪くないですが、本体部分の厚みやグリップ部分の大きなつくりなどにより、若干空洞感があります。発熱などの問題もあるとは思いますが、もっとタイトでギュッとしたバランスの方が好みです。
ボタンレイアウトは右側にニンテンドー配置のABXYボタン、アナログスティック、スタートセレクトボタン、
左側にアナログスティック、十字キー、バック・ホームボタン、ファンクションキーです。
アナログスティックの位置はいわゆるSwitch型の配置、十字キーは円形のXBOXコントローラー風です。
ボタン印字も単純な黒ではなく、本体の配色と合わせた色味になっているのがかわいいですね。
背面にはファンの吸気口があり、製品情報の印字、グリップ部分には滑り止めのテクスチャが部分的に切り替わっています。
上側面には左からLBLT,イヤホンジャック、MicroSDスロット、USB Type-C、RBRT、そして背面側にファンの排気口があります。
下側面にはスピーカーが左右に搭載。
右側面には電源ボタンとボリュームボタン。
グリップ形状はこのように大きめのつくりになっていて、小型でありながらもかなりしっかりと握れます。
届く前までは商品画像を見て、本体厚みがかなり大きいように感じていましたが、実際手に取ってみるとグリップサイズとのプロポーションから、思ってたほど厚くは感じません。ちなみに画面部分の厚みを測ってみると約18mm。
他ハードとの比較
同じく正方形ディスプレイの先駆者、RGB30と比較してみます。縦横寸法的にはほぼ同等ですが、厚みにかなり大きな差があります。RGB30はグリップが無い、ショルダーボタンの突起も無いかなりフラット、板的なデザインなのに対してCubeは流線的なエルゴノミックフォルムなので全くの別物といった印象です。
実際使い勝手としてもRGB30はLinux機なので全然違いますしね。
実機と並べてみると、大体ゲームボーイアドバンスくらいです。が、やはりこちらも同様厚みの差でかなりサイズ感は違う印象になります。
操作感
グリップ感
重量は263グラムでしっかりグリップなので、軽く感じます。グリップ背面の指が当たる部分が一部ザラザラとしたテクスチャに切り替わっていて、滑りにくくなるような工夫がされています。
ボタン
ボタン各種はいつものAnbernic。全体としてスイッチライト、Joy-Con同等のサイズ感のものが採用されています。
ABXYはツルッとした触り心地のボタンでラバー、遊びも少なくて反発力も良く、しっかりとした押し心地。ただおおきく取ったグリップのせいか、ABXYに限らず全体的に音の鳴りが大きいように感じます。
アナログスティックはホールセンサースティックなので耐久性的にも安心で、縁につぶつぶテクスチャが付いているもので、倒し角度など使い勝手的にはJoy-Conのスティックと同等です。
十字キーはXBOXコントローラーライクな円形デザイン。しかし押し心地はクリッキーなタクトスイッチではなく、ABXYボタン同様のラバー。なので最初見た目と押し心地に若干のギャップを感じてしまいました。
シーソーは可能で入力も問題ないですが、ちょっと硬すぎるような気がします。結構ここは好みが分かれそうです。
スタート・セレクト、ホームボタンなどはカチカチとしたタクトスイッチです。
気になる点は電源・ボリュームボタンの位置です。Androidなので、やはりなんだかんだ電源ボタンを押す機会が多いのですが、かなり小さめで押しにくい位置にあるので、握った際に押せる位置、ショルダーボタンの隣などに来てくれたら良いのになと思います。
ショルダーボタンはLBRBがカチカチとしたタクトスイッチ、LTRTはストロークの長いトリガーボタンです。トリガーはちょっと硬すぎるような気がします。多用するゲームを遊ぶと疲れそうです。
画面・スピーカー
画面
ディスプレイはかなり明るめ、視野角良好、解像度も高めで良い液晶だと感じます。保護ガラスフィルム貼り付けでシェルとぴったりになる設計も良いです。
正方形ならではの独特さをAndroidでも楽しめるのが本製品最大の特徴ですね。
不満は何も無いですが、実はこの個体はディスプレイに不具合がある初期ロットなんです
このように、黒を映した際に光が滲んで見えるんですよね。製品版では改善されているらしいですが、どうやらハウジングの問題っぽそうです。液晶を押すと滲みますよね、その現象が起きているっぽいです。
実際私の個体はシェルに結構軋みがあり、ねじるとギシギシ鳴るんですよね。ネジを締め直しても変わらないので、ちょっと気になります。
ということで改善版を送ってもらって確認してみたところ、液晶の滲みもシェルの軋みも起こらなくなっていました。ちなみにAnbernic公式ストアで、プレセール時に購入した人の中でも、光漏れ不具合機種が届いた人が居る報告を受けたので、要確認です。
スピーカー
スピーカーはフロントスピーカーではありませんが、グリップ下なので手に干渉せず、側面にあるタイプですが聞こえやすいと感じます。
音質は低音が弱くてこもった感じの音色で、良くはありませんが音量は大きく出せます。もう少しクリアな音で聴ければ嬉しいかなと思いました。
使用感
基礎知識・注意点等
Androidスマホユーザーならスムーズ
基本的にはAndroidスマートフォン同様な使い勝手で使用することができます。エミュレータ等を導入する際には初期設定などが必ず必要となってくるので、知識と調べる力が必要です。
Androidにはシステムレベルの遅延がある
Androidはこの端末に限らず、システムレベルで遅延が有り、人によっては気になるといったことが注意点としてあります。私は別に気にならないんですが、アクションゲームや格闘ゲームなどを重要視する場合には、留意しておきましょう。
また、本端末はレビュー時点では技適未取得なので「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」を利用し、様々な検証を行っていきます。
エミュレータで遊ぶには
一般的にエミュレータで遊ぶためには以下のものが必要となります。
吸い出し機(ダンパー)
エミュレータを使う際にはゲームイメージの吸い出しを各自行う必要があります。(中華ゲーム機のざっくりとした解説はこちら)
ダンパーには色々ありますが、一台だけでゲームボーイ・ゲームボーイカラー・ゲームボーイアドバンス・メガドライブ・スーファミ・64のゲームイメージとセーブデータの吸い出しが可能なCartridge Reader(レビュー記事はこちら)をおすすめします。
(サイトは英語ですが、日本でも購入可能です)
また少しでも安く済ませたい方はGAMEBANK-web.comのダンパーを必要なハードだけ購入する、PS1、PS2等だけを遊びたい!って人はDVDリーダー+PCがあればなんとかなります。
PC(あると快適)
データを管理するのに必要となります。有ったほうが間違いなく便利ですが、Androidスマホと同じなので、無くても頑張れば使えます。
MicroSD
ゲームイメージ用に推奨。PS2とかを遊ぶ場合では512GBくらいあっても良いかと。
MicroSDリーダー
MicroSDをPCで読み込むために必要となります。
光るスティック
スティックはLEDで光る仕様にデフォルトでなっていて、他にも様々な光り方に変更できます。勿論光るのが嫌であれば消すことも可能。
メニュー画面について
基本的にはピュアAndroidな使い勝手です。日本語化も可能、デフォルトのランチャーはシンプルなもので、アプリ一覧もなく、アプリをインストールするとどんどん右側に追加されていく形式。あまりにもシンプルすぎるので、別途何か好みのランチャーを導入するのが良さげです。
あとは左下のボタンを押すとこのように、エミュ機のようなメニュー画面が現れます。これはAnbernic社のAndroid機に導入されているRG LauncherというAnbernic製のフロントエンドアプリ。
一応テーマ変更や表示項目の変更などは可能ですが、設定できる部分が少なく、ゲームイメージの拡張子によっては表示されなかったりします。
私のお気に入りはDaijishoですが、お好みでカスタマイズしましょう。
タッチパネル割当て可能
コントローラー対応しているアプリはそのまま遊べるほか、タッチパネルをボタンに割り当てることも可能です。
上から下へスワイプして出てきた設定パネルの中にKeymappingの項目があるので、そこを長押し、Switchを押すことでタッチパネルに割り当てできます。
外部映像出力可能
USB-Cケーブル一本で映像出力が可能でした。ただこの場合はケーブルやモニターの相性もある上、表示される映像も正方形なので、出力して遊ぶのは果たしてどうなんだろうという気もします。
ベンチマーク
AnTuTuベンチマークV10は
総合スコア 479907
CPU 181545
GPU 96960
となりました。
Geekbench 6のスコアは
マルチコア 2441
シングルコア 848
となりました。
ゲームをプレイ
動作感自体はRG556と変わらず、よく動きます。GC、Wiiのタイトルをいくつか遊んでみましたが、概ねグラフィックをVulcan、その他ちょっとの設定でしっかり動作し、液晶解像度が高くないので内部解像度は1xで十分綺麗に感じます。PS2も同様ですが、T618と大きな違いがあるかと聞かれたら微妙だと感じます。
やはり最適に感じるのはゲームボーイなどの正方形に近いディスプレイのハード、PICO-8、もしくはファミコンスーファミなどを正方形ピクセルで遊ぶ際などです。
ほぼ画面いっぱいに表示でき、かなり大きく感じて遊びやすい上、ベゼルオーバーレイが設定済みな事も多いので、アスペクト比が合わないハードであってもなんか良い感じに遊べます。
DSも縦に並べて遊べますし、タッチパネルも使えますがやはり画面としては少し小さいかな?と感じます。
まぁしかし、DS3DSに関しては実機以上に快適に楽しめるものは無いと思っているので、私はこれ以上触れません・・・。
発熱も特に感じることなく快適です。
もっと重めのタイトルも動きますが、本機で遊んで楽しいか、と聞かれたら、やはり一番楽しいのはレトロゲーム。
じゃあRGB30の方が良くない?と思うかもしれませんが、Android機の最大の良さそれは自分でエミュレータやゲームアプリを入れて環境を構築できること、そしてやはりスリープで運用できるのでサッと付けてサッと遊べること。これに関してはLinux機と比べて大きなアドバンテージが有ると思います。
感想
鮮やかで独特なカラー、小さいながらもそこそこパワフルに動くサイズ感のバランス、そして何よりこの正方形ディスプレイ、かなりユニークなハードだと感じました。明らかにPowkiddy RGB30の人気、そしてZPG A1 Unicornの注目度の高さがあったからこそ生まれたAndroidゲーム機。
万人に受けるモデルというよりは、これをこういう感じで動かしたいんだ~と、目的が明確な人に刺さるモデルといった感じでしょうか。
個人的にはグリップをもっと控えめにして寸法を抑えてほしかったなと思いますが、それがZPG A1じゃん・・・という気持ちもあり、ではこれはこれで差別化もできていいのかな・・・?というかなんというか。
正方形ディスプレイを楽しみたい!しかしやっぱり重いエミュも動かしたい!的な人には合うのかもしれませんね。T618のハードよりも高性能なので、小さめハードの中では現状最高性能です。