割と待望されていたはずのAnbernicのRG353Pを手に入れました。スーファミ(SNES)のコントローラーっぽいビジュアルの端末で、非常にPocketGo S30を思い出させます…。
金型を買い取られて流用されてるんじゃないの!?とか囁かれてましたが、サイズ感が違いました。まぁ液晶のサイズが違うんだし、そりゃ違うかって気付きますけれども、やっぱ勘ぐってしまいますよね。
販売ストア
▲Anbernicオフィシャルストアを始めとする海外ストアでの販売がされています。金額は円安の影響もあってか、18000円~20000円程度。
▲国内Amazonでも購入可能ですが、約2万円での販売。ちょっと高すぎる印象があります。
スペック&主な特徴
基本スペック
システム:Linux (Emuelecベース)&Androidのデュアルブート
画面:3.5インチ(640 × 480)
CPU:RK3566
RAM:2GB
ストレージ:microSDスロット2つ
バッテリー:3500mAh
寸法:174 × 79 × 22mm(実測値、最厚部分)
重量:213g(実測値)
WiFi搭載、Bluetooth搭載
この端末の大きな特徴としてまず見た目、そして何よりCPUのスペックアップです。
見た目はスーファミ(SNES)のコントローラーに画面が付いたみたいなデザインになっていて、過去に別メーカーから販売されたPocketGo S30を踏襲しています。
カラーはSNES風とクリアブラックのニ種類。
また今回はRG503と同じSoCを搭載していながら3.5インチの画面サイズとなっているので、所謂3.5インチゲーム機(RG351シリーズ等)の正統な後続機となっています。
しかし寸法的には割と大きめで、RG503の横幅(187mm)と同じくらいのサイズ感です。
どうしてそうなってるのか等取り上げながら本体を見ていきます。
動画版レビュー
開封&内容物
今回はRG503(ブルー)同様Anbernicさん提供です。箱、内容物から丁寧に見ていきます。
▲箱はこちら。感の良い方は気付いたかもしれません。そう、箱のデザインまでPocketGo S30とそっくりなんですよね…。う〜ん、はい。
▲内容物はこちら。保護ガラスフィルム、保護フィルム用の画面クリーナー、説明書、USB-Cケーブルです。
本体外観
思ったより大きい?
▲上がRG503、真ん中が今回のRG353P、下がPocketGo S30。
ビルドクオリティはいつもどおり高く、というかRG503で最初に感じた安っぽさは有りません。安定したプラスチックの質感の良さ、更に本体のサイズ感と重量感のバランスが良いように感じます。
過去のモデルやRG503と比較して、3.5インチのくせにかなり大きめじゃないか?と思っていました。他の3.5インチ端末と比べてコントローラー部分がやたらと大きく、画面占有率の低くなってしまっているのが少しマイナス。ただ実際に手に持つとそこまで気にならない印象。
▲本体表側はこちら。ABXYボタン、十字キー、ダブルアナログスティック、スタートセレクトボタンと標準的なボタン配置に加え、左側にファンクションキー、右側に電源ボタンが搭載されています。電源ボタンが画面側に有るのが珍しいですね。
円形のラバー
▲背面には過去のRG351Pのように、グリップ・滑り止めとしてラバーが円形に貼り付けられています。
また今回はメインカラーであるsnesカラーではなく、クリアブラックを選択しました。やっぱ…クリアって良いじゃないですか?クリアの何がいいって、本体サイズがよりスマートに見えることなんですよね。あと透過性が有る分中の基板等が透けて見えてビジュアル的にも均質感が減り良い。
上下にまとめられたインターフェイス
▲珍しく横側面には特に何もなく
▲インターフェースは上下側面にまとめられています。
またこのように上面と下面の厚みが異なります。これによりグリップ感の向上、手に馴染みやすくなっています。近いハードで言うとニンテンドー2DSみたいな感じ。
操作感
カーブが手にフィットする
▲操作感としては良い感じです。カーブに沿って指がフィットする感じで、すごく手に馴染みます。コントローラー部分が大きい分、各ボタンやアナログスティックへのアクセスが良く、結構上位で操作しやすいコントローラーかも。
電源ボタンが画面側に有るの、地味に好き
▲あと電源ボタンが画面側に有るの地味に良いですね。より電源ボタンへのアクセスがしやすく、細かくつけたり消したりしながらプレイするスタイルの人には、便利な場所に有ると思います。
間違えて押しそうって思うかもしれませんが、慣れれば問題ない上、押したとしても画面が暗くなるだけなので特に問題ないかと。
▲ファンクションキーもかなり便利な位置にあるなぁと思います。ゲーム内メニュー画面(レトロアーチメニュー)はファンクションキーを押すだけで移行できるように設定されているのも、個人的にはグッドポイント。
縦配列のLRボタンだ
▲そしてこの端末には人気が高い縦配列のLRボタンです。押し心地はカチッとしたニンテンドースイッチのような感じではなく、ぬるーっとしてます。悪くはないけど、個人的にはもうちょいカチカチしててほしかったなって印象。Joy-Conみたいな感じのものが理想。
画面
レトロゲームに最適な解像度&縦横比
▲画面は640×480。RG351MPなどと同様のサイズです。正直もう何も語ることは無いんですが、レトロゲームに最適な解像度&縦横比です。
ゲームボーイからPSPまで、それなりに良い感じに表示できる画面。明るさも申し分なく高い輝度で表示できるし、何の文句も有りません。
実はタッチパネル
そしてあまり注目されていませんでしたが・・・実はタッチパネル搭載でした。
ただ勿論Androidモードのみでの対応となるので、その点は注意が必要。DSエミュとかで遊ぶには適してるかもしれませんね。
使い方
遊ぶために必要なもの
遊ぶためには原則以下のものが必要となります。
・吸い出し機
原則中華ゲーム機というのはエミュレータ機なので、吸い出しを行う必要があります。(中華ゲーム機のざっくりとした解説はこちら)
色々ありますが、一台だけでゲームボーイ・ゲームボーイカラー・ゲームボーイアドバンス・メガドライブ・スーファミ・64のゲームイメージとセーブデータの吸い出しが可能なCartridge Reader(レビュー記事はこちら)をおすすめします。
(サイトは英語ですが、日本でも購入可能です)
また少しでも安く済ませたい方はGAMEBANK-web.comのダンパーを必要なハードだけ購入する、PS1だけを遊びたい!って人はDVDリーダーがあればなんとかなります。
・PC
データを管理するのに必要となります。無くても頑張れば使えますが、有ったほうが間違いなく便利でしょう。ゲーミングUMPCとか持っていたら一石二鳥かもしれませんね。高いですが・・・。
AYANEO 2021 PROのレビューはこちら
・MicroSD
ゲームイメージ用、もしくはカスタムファームウェアを別のMicroSDへ導入する際に必要となります。
・MicroSDリーダー
MicroSDをPCで読み込むために必要となります。
どのくらい動く?
ここまで申し分ないスペックとなるとCPU的にどのくらい動くか、という疑問が上がると思いますが、ソフトに寄って一概にどうとは言いにくくはありますけどPSPなら(ソフトに寄って)設定をちゃんと行えば普通に遊べる、AndroidモードでPS2(AetherSX)やGC(Dolphin)は厳しいといったバランス。Retroid Pocket 2+ではDolphinをギリ遊べたので、性能重視の人はレトポケにしたほうが良いかも。
ただまぁ、PS2やGCを遊ぶには3.5インチは画面が小さすぎるような気が個人的にはするので、Linuxモードでレトロゲーム(PSPやDreamcastくらいまで等)をそれなりに遊ぶ端末として思っておけば、割と快適な端末だと思います。
あと地味にデフォルトOSのAndroid側ではPlaystoreが入っていないので、Androidのゲームで遊びたいな~って考えている人はCFWなどが必須になってきます。ApkPureで野良アプリをインストールして遊ぶことはできますが、マイクラみたいな有料アプリは不可です。
デフォルトのOSもそれなりに完成している感が有り遊ぶことができるので、面倒なことが嫌な人はデフォルトのLinuxモードで活用するのが良さげかと。
基本操作
今回のハードはRG552同様LinuxとAndroidを両方使うことができます。基本的な操作を紹介します。
Linux↔Androidの切り替え
▲LinuxとAndroidの切り替えは、MicroSDの抜き差しによって行います。ただMicroSDはこのシールが貼られている方を抜かなければいけないという。これ外すと保証対象外になるやつじゃなかったっけ?最初に動作確認を済ませた上、自己責任でお願いします。
面倒が怖い人は辞めておきましょう。
追記:ファンクションキー+電源ボタンを同時長押し起動でAndroidモードで立ち上がりました。microsd抜く必要無いです
Linuxモード
Linuxモードは所謂これまでのRG351シリーズ同様のファームウェアで、使ったことがある人は特に問題なく使えるかと思います。
・電源オン:OSがインストールされたMicroSDがTF1に入った状態で電源ボタン3秒ほど長押し
・電源オフ:セレクトボタンを押してSHUTDOWN SYSTEMを選択
・ゲーム起動:メニュー画面で選択してAで起動
・ゲーム内メニュー起動:ファンクションキーを押す
・ゲームを終了:ファンクションキーとスタートボタンを同時押し
・明るさ調整:ファンクションキーとボリュームボタンを同時押し
・ゲームイメージの導入:TF2に空のMicroSDを入れて起動するとフォルダが生成されるのでその中の対応するハードに入れる
・テレビ/モニターへ画面出力:MiniHDMIケーブルで接続した状態で本体を起動
・日本語化:メニュー画面でスタートボタン、System Settings → Language で日本語に
▲音声出力も問題有りません。ただRG503同様、接続した状態で起動しないと出力されません。
Androidモード
・Androidはハードル高そう
Androidはバージョン11が搭載されていて、デフォルトでエミュがいくつかインストール済み、設定もある程度済んでいるので、ストレージの設定だけ済ませれば遊ぶことができますが、まぁそのストレージの設定もAndroidで普段から遊んでいる人でなければハードルが高そう。
解説しているとちょっとキリがないのでここでは割愛しますが、色々拡張して遊びたい人とか、Androidに慣れている人は、是非Androidモードで活用してみると良いかも。
・MicroSD流用可
ちなみにLinux用のMicroSD(TF2、ゲームイメージ用)はAndroidでも流用することが可能でした。しかしセーブデータ等は流用できないので、AndroidとLinuxを移動しながら使用するのは結構厳しそう。(可能では有るけど)
・画面出力可
画面出力は可能でした。ただミラーリングされるので、このように本体画面上にも表示される上、出力解像度も640×480となるので大画面で遊びたい人はLinuxモードで画面出力して遊ぶのが良いかも。
ファームウェアのアップデート
公式からファームウェアアップデートデータが配布されています。まだ私は未検証ですが、CFWも早速色々出てきているので、どうしようかな、という感じです。とりあえずなんか試してまた別記事で紹介するかもしれません。
オフィシャルFW
RG353P–Linuxシステム
https://drive.google.com/file/d/1bUNFK9cTu-WCcDNeMrjhqeZWV5OieHWr/view?usp=sharing
RG353P–Androidシステム
https://drive.google.com/file/d/1x-zipjF3t7lOpvnfJTtDnOUKYXguwk8b/view?usp=sharing
感想:気に入ったけど、問題は・・・
ということで、感想としては、期待しすぎた感は有るけど、結構良いかも!って感じです。Androidとして使うには少し物足りない感がありますが、Linuxでこれまでのようにレトロゲーム専用機として活用するには、割と良いんじゃない?って思います。
操作性も悪くないし、これまでのRG351シリーズよりも動きは良くなってるし、ビルドクオリティも高いし、見た目も他と被らない(PocketGo S30を除く)から割と新鮮。ここ最新の機種、RG552やRG503より気に入りました。
しかし一番で最大の問題は、金額。これには円安が大きく影響しているんですが、ちょっと流石に2万円は高いなって感じます。ただ前機種のRG351MPなども円安に乗じて値段が上がっているので、今購入するなら仕方ないのかな、、、という感じもします。
少しでも安く、メタルボディで高級感が有るRG351MPにするか、大画面有機ELのRG503にするか、もしくはRetroid Pocket 2+にするか、自分に必要なものは何かをよく考えて決断する必要があるかと思います。