中華ゲーム機メーカーといえば、ANBERNICやPOWKIDDYが有名ですが、メーカー不詳で、しかし安くて、そこそこ有名な機種があります。それがR33S、R35S、R36S、R40Sと、このR〇〇Sシリーズ。
このシリーズはそもそもメーカーはよくわからず、完全に他のゲーム機をコピーしたようなデザインだったりして、かなり怪しさ満点。
しかしまぁ、今回AliExpressで購入してみることにしたのでレビューしていきます。
かなり安めな価格から考えていたほど質感もデザインも悪くなく、確かにこれは人気になる理由があるなと思いました。
販売ストア
買ったのはこの商品ページで、私のもとに届いたのは本物っぽいんですけど、BOYHOM Store、Factory Game Direct Store、001 Ali Choice Storeなら大丈夫そうとのこと。
購入金額はAliExpressにて安くて4000円程度。コピー元と見られるANBERNICのRG353VSは安くても1万円くらいなので、半額以下の価格設定となっています。ちなみに安くなる前でも6000円程度だった気がします。
動画版
スペック&主な特徴
R36Sとは
R36SはLinuxベースOSを搭載したいわゆるエミュ機と呼ばれている端末で、Anbernic社のRG353V(S)のクローン機種と言われています。しかもこのR36Sも、販売業者によってはK36という更に別ハードの内部部品をコピーして組み立てているものもあるらしい。とてもカオス。ゾクゾクしますね。
本機種は縦型のゲームボーイモチーフなフォームファクタで、基本的なスペックは3.5インチ、解像度は640×480、バッテリーは2900mAh、チップセットは今となっては懐かしいRK3326が搭載。こちらはRG351シリーズで採用されていたもの。RG353VではRK3566なので、性能的には劣ります。
カラーはクリアブラック、クリアパープル、ホワイトの三種類。多分追加カラー?かなんかで、イエロー、レッド、クリアレッド、クリアオレンジ、クリアブルーもあるっぽいです。本物かどうかはわかりません。
同シリーズのモデルで言うと、ほぼ違いがわからないR35S、Miyoo Mini PlusクローンなR33S、RGB30クローンなR40Sなどがあり、最近ではR46Sなんて機種も出ています。この形は・・・ZPG A1 Unicornか!?
クローン機種のさらにクローン機種、K36版について細かい話を言うと、こちらはほぼ同じ仕様、同じチップを積んでいるので、何か問題があるのか?と思いきや、実際は搭載されているFWが異なり、パフォーマンスも低く、同じCFWも導入不可能とのこと。なのであまりにも安すぎるモデルなどについては注意が必要です。
私が購入したのは・・・おそらく本物でしょう。多分。
参考:
Multiplicity of Deception: R36 Clones Flood Market
https://handhelds.miraheze.org/wiki/R36S_Clones
開封&内容物
では開封していきます。
本体箱は硬いしっかりとした箱。デザインもカラー印刷でかなりしっかりとしています。格安モデルでも意外と箱がしっかりしてることが多いんだよな・・・。
内容物はこちら。USB-Cケーブル、説明書、保護フィルム、本体。保護フィルムは珍しくガラスではありません。おそらくディスプレイがラウンドエッジだからでしょう。
説明書にはRGB 20S Instructionと書いてあったりして、色々怪しいです。
本体外観
カラーはRG353V同様にクリアパープルを選択。質感は思ってたより良いです。軋みとかもなくガチッとしたハウジング、密度感があってビルドクオリティは低くないです。
クリアシェルの質感は若干ツルッとした滑らかな仕上げで、透明度もちょっと高め。質感自体で言うと、正直Powkiddyのクリアシェルよりも好みです。なかなか悪くないどころか、ちょっと良いレベル。
ただやはり細かい点でチープ感を感じます。ディスプレイパーツ部分の歪みが透けて見えている点や、背面シールのサイズが一致していなくて浮いている点など。まぁでも使用には全く問題はないので些細な問題です。
ボタンレイアウトは右にABXY、左に十字キー、左右下にデュアルアナログスティック。
中央上部にスピーカー、FNキー、セレクト、スタートボタン。
ちなみにこのFNキーは機能しません。何のために存在しているんだ。
背面はかなり大きめの製品情報シール。これはシルバーで安っぽい素材ではありません。
ショルダーボタンは横並びにR1R2、L2L1
下部にはゲームボーイライクなラインが入っていて、バッテリー蓋あります。こちらもかなりガッチリしていて遊びがなくて良いです。
バッテリーは謎に真っ黒のテープで包まれていて、実際の容量はわかりません。怖い。
左側面には電源ボタン、リセットボタン、ストレージ用のMicroSDスロット、右側面にはボリュームボタン、システム用のMicroSDスロット
上側面には何もなし、下側面には充電用USB-C、イヤホンジャック、コントローラー等用USB-Cがあります。
RG353Vと並べてみたのがこちら。シェルの透明度、色味が同じパープルでありながらも全然違います。
あと縦幅が若干353Vよりも大きかったりしますが、手に持った感覚としてはほぼほぼ同じに感じます。
ただこうして触り比べてみると、マットでサラッとしたRG353Vの方が圧倒的に高級感があるように感じます。
操作感
ABXYボタンは印字ではなく彫り込んであります。オールドスタイル。感触はまあ普通のラバーの押し心地、遊び少なくしっかりとした押し心地といった硬さで十分。透けて見えるボタンパーツは結構ユニークで、おそらくハウジングの問題だと思うんですがA-X、B-Yのセットパーツになっています。
十字キーも同等のラバー感触。シーソーも可能。入力は特に問題なく感じます。
アナログスティックはJoy-Conのスティックと同等のフォルムや感触、倒れ角度。
問題はスタートセレクトボタン。ガッチガチのバッチバチでかい音が鳴るの硬いタクトスイッチです。安価なハードあるあるのバチバチ音、これのおかげでチープさを感じるまであります。
ショルダーボタンもいまいち。高さに違いがなく横並びなのでR1R2で押し分けにくいですし、バコバコと大きな音が鳴るタクトスイッチ。
画面・スピーカー
画面
まず起動して最初に感じたのが、画面の明るさです。非常に明るい。3.5インチVGA画質のディスプレイの中で一番明るいのでは?と思うほどのしっかりとした明るさ。
画面が明るければ明るいほど嬉しい派の私にとってはかなり嬉しいポイント。
解像度的には標準的なVGA、4:3比率なので標準的、レトロゲームに最適です。
スピーカー
スピーカーはステレオスピーカーではないですがディスプレイ面にあるフロントスピーカーで、直接音が聞こえる感じが良いです。
音質はザラッとした音色で良くはないですが、音量を結構大きく出せますし、性能的に遊ぶゲームがレトロゲームに限定されるのでこれはこれで良い気はします。
使用感
エミュレータで遊ぶには
一般的にエミュレータで遊ぶためには以下のものが必要となります。
吸い出し機(ダンパー)
エミュレータを使う際にはゲームイメージの吸い出しを各自行う必要があります。(中華ゲーム機のざっくりとした解説はこちら)
ダンパーには色々ありますが、一台だけでゲームボーイ・ゲームボーイカラー・ゲームボーイアドバンス・メガドライブ・スーファミ・64のゲームイメージとセーブデータの吸い出しが可能なCartridge Reader(レビュー記事はこちら)をおすすめします。
(サイトは英語ですが、日本でも購入可能です)
また少しでも安く済ませたい方はGAMEBANK-web.comのダンパーを必要なハードだけ購入する、PS1等だけを遊びたい!って人はDVDリーダー+PCがあればなんとかなります。
PC(あると快適)
データを管理するのに必要となります。
MicroSD
ゲームイメージ用に推奨。
MicroSDリーダー
MicroSDをPCで読み込むために必要となります。
メニュー画面の構成
デフォルトで搭載されているOSはArkOSをおそらくちょっとカスタムしたもの。伝統的なEmulation Stationのメニュー画面で、ハードが画面いっぱいに表示されて、上下で切り替える仕様。RKを搭載したチップ共通って感じですね。
他にもテーマはいくつか用意されていて変更可能です。
基本的な使い方
使い方はいつも通りシンプルで、タイトルを選択して起動、ゲームをプレイ中にセレクト+Xボタンを押すことでRetroArchのメニューが開き、中断セーブなど可能。
ボタン組み合わせによるショートカットキーも機能します
メニューを開く、閉じる | セレクト+X or L3+R3 |
中断セーブ | セレクト+L1 |
中断ロード | セレクト+R1 |
中断セーブスロット変更 | セレクト+十字キー上下 |
ポーズ | セレクト+A |
ゲーム終了 | セレクト+スタート |
ゲームリセット | セレクト+B |
明るさ調整 | R3+十字キー上下 |
※一部エミュレータでは異なります
ファンクションキー使えないと思っていましたが、ホットキー割り当ててみたら割り当てられたので、機能はするようです。ただシステム上割り当てられていないという。
ゲームイメージの導入はTF1のMicroSD内の該当する各種フォルダ、もしくは別途用意したMicroSDをTF2側に入れて、オプションからSwitch to SD2 for Romsを選択して、システムとストレージを分けることができます。
ゲームをプレイ
チップセットはちょっと古めのRK3326。動作的にはPS1までバッチリ動作、PSPや64にはあまり期待しないほうが良いくらいの性能感です。
デフォルトのシステムでは完全にゲームボーイでもフルスクリーン表示されたりしていますが、正しいアスペクト表示などもRetroArchの設定をいじれば可能でしょう。もし設定が間違って起動しなくなったとしても、オプションにリセットファイルも用意されています。
遊んだ感じとしては特に新鮮味はありません。まぁ明るい画面が見やすいのは大きいですね。
CFW
とりあえずデフォルトのOSで使っていましたが、本機種は各種CFWに対応しています。慣れているもの、もしくは少し使いにくいなと感じるようであれば試してみるのも良いかと思います。個人的にはROCKNIXが好きですね。
導入方法はどれも大体共通、システム用のMicroSDを別途用意してRufusなどの書き込みソフトで描き込んで本体に差し込むだけです。詳細は各ページを確認の上、自己責任でお願いします。
※ちなみに試したら動作しなかったので、完全に偽物かと思ったらインストールするバージョンが違いました。どうやら本体によってディスプレイが変わっていて、それで書き込むシステムが変わってくるようです。
ArkOS – R3XSのPanel V4(V5)モデルを書き込んで無事起動しました。その他にもdtb ファイルを変更すると動作するようです。
参考:
https://retrohandheldguides.com/r36s-custom-firmware/
https://joeysretrohandhelds.com/guides/r35s-r36s-setup-guide/
感想
やはりこのハードの最大の利点は、安価、そしてCFWの充実だと思います。軽い気持ちで購入して、あまり気にせず自分好みに実験しながらカスタマイズしていける金額はやはり魅力的です。
安いからと言ってそこまで品質が低いわけでもなく、何なら画面は結構良い方、性能もレトロゲームに限定すれば十分ですし、コストパフォーマンス的にも良いと感じます。
懸念点はやはり劣化コピー品が流通している事でしょうか。まぁ、その点も含めて楽しむくらいの気持ちで手を出すのが、本来の中華ガジェットの面白さなのかもしれません。