とうとうANBERNICから出ました、本命(?)の横型ハイスペックハンドヘルド。
想定通りのスペック・仕様で、非常に良いバランスだと感じます。
しかし現状、他社から同程度のパフォーマンスを持つハードが色々と出てきていて、実際使っているので、それらと比べてどうなのか、しっかりと見ていきたいと思います。
販売ストア
商品提供:ANBERNIC
価格は公式ストアにて通常価格が27,199円+送料、金額はセール等でよく変わるので購入時に各自チェックお願いします。
動画版
スペック&主な特徴
ANBERNIC RG406Hとは
RG406HはOSにAndroidが搭載されたいわゆるエミュ機と呼ばれている端末で、Anbernic社のメインシリーズの商品の一つとなっています。
4インチディスプレイのHorizon、つまり横型なのが特徴で、チップセットは40『6』とあるようにAnbernicの中で第6世代、『Unisoc T820』が採用されていて、現状同社製品の中で最高性能。RG Cubeも同じチップ。バッテリーは5000mAh。
カラーはブラック、ホワイト、クリアパープルの3色
過去に発売された正方形ディスプレイを採用したRG Cubeとかなり似たデザインに見え、実際ほぼ同じではありますが、ディスプレイの他にも微妙に異なる部分があります。
開封&内容物
では早速開封していきます。
今回は本体と別売りのケースも同封されていました。シンプルなハードケース。特別感は特になく普通です。
箱のデザインはこれまで通りのシンプル線画デザインです。
内容物はこちら。本体、USB-Cケーブル、説明書、ガラスフィルム。ガラスフィルムが付属するのは助かりますね。ガラスフィルムを貼ってピッタリになる設計で良いです。
本体外観
今回はカラー選択の余地なしどころか、送ったよ!って事後報告で言われました。サンプル自動発送システムできておる。
全体的にエルゴノミクスを重視した丸み、グリップもしっかり、厚みもしっかりと作っています。なのでミニマムな寸法ではない感じ。
質感自体はいつもどおりのAnbernicのシェルといった印象です。サラサラとしたプラスチックで、ビルドクオリティはしっかり、ひねってみても軋みは感じません。
手に取った印象はRG Cubeと似た感触、同じようなデザインのグリップ、でありながらも画面が大きい、いいプロポーションに感じます。
ボタンレイアウトは右側にニンテンドー配置のABXYボタン、アナログスティック、スタートセレクトボタン、
左側にアナログスティック、十字キー、バック・ホームボタン、ファンクションキーです。
今レビューを作っていて気づいたんですが、右アナログスティックがかなり内側に寄っていて、シンメトリーな配置じゃないですね。しかし今回のスティックはかなり背が高いので干渉してしまうので若干ずらさないといけなかったのかもしれません。
背面にはファンの吸気口が・・・無いです。下部のスリットがそうでしょうか?かなり主張少なめなデザインになって良いですね。中央に製品情報の印字、グリップ部分には滑り止めのテクスチャが部分的に切り替わっています。
上側面には左からLBLT,電源ボタン、ボリュームボタン、インジケーター、ファンの排気口、RBRT。
下側面にはスピーカーが左右に搭載、MicroSDスロット、イヤホンジャック、USB Type-C。
画面部分の厚みを測ってみると約18mm。
左右側面には何もありません。手が当たる部分に何もなくて良いですね。
他ハードとの比較
同じデザインで正方形ディスプレイの『RG Cube』と並べてみました。レイアウトはほぼ完全に同じながら、ディスプレイによりプロポーションがかなり異なります。
というかRG Cubeがかなり特殊なんですけどね。
GBAよりは僅かに大きいサイズ感。
横幅はほぼPSPと同等、厚みや縦幅が大きめといったサイズ感です。PSPって今見ると小さくてビビりますよね。
操作感
重量はガラスフィルム込の実測値が約270グラム。しっかりグリップなので軽く感じます。グリップ背面の指が当たる部分が一部ザラザラとしたテクスチャに切り替わっていて、滑りにくくなるような工夫がされています。
ABXYボタンは最近よく採用されているツルッとしたボタンで、遊び少なめ、しっかりとした硬めのラバーの押し心地。押した感触としても密度感があり好きです。音の鳴りも落ち着いていて、かなりちょうど良いと感じます。これまでのハードとまた若干違うと言いますか。
スタート・セレクト、ホームボタン、電源ボタンなどはカチカチとしたタクトスイッチです。
十字キーも同様のしっかりラバー硬めラバー、シーソー可能です。RG Cubeと比べると若干軽くなっていて、かなりちょうど良い感触になっていると思います。
アナログスティックは今主流のホールセンサースティックで、その上めちゃくちゃ出っ張っていて、倒し角度がデカイです。
いわゆるOdin2やRP4等と同様の倒し角度が高いものだとは思うんですが、それらに加えてそのまま出っ張らせたデザインなのでウルトラ飛び出たスティックに感じます。RG406Vと同じもので、好みが分かれるスティック。
倒し角度がかなり大きいので、慎重な操作をしたいゲームには良いかもしれませんが、瞬発力が試されるゲームには適してないかも?しれません。
私は正直倒し角度が大きいスティックの方がぐりんぐりんして好きではありますが、ちょっと携帯ゲーム機としては飛び出すぎていて、持ち運ぶ際、ケースに入れたりカバンに入れたりする際には気になりそうだなと思います。まぁ私は持ち運ばないんですけど。
ショルダーボタンはLBRBがカチカチとしたタクトスイッチ、LTRTはストロークの長いトリガーボタンです。トリガーはちょっと硬すぎるような気がします。多用するゲームを遊ぶと疲れそうです。
全体的に満遍なくRG Cubeを微調整して良くしたような感じだと感じました。
画面・スピーカー
画面
さて、ディスプレイは最大の推しポイントです。4インチで960×720なのでしっかりとAndroid用のゲームも遊べる感、4インチでこれくらい解像度があると、ギリギリ文字も潰れない最小サイズに感じます。最大輝度も高くて明るくて最高。結構明るい。何nitsなんだろう。
ベゼルはシェル側がちょっっっと気になります。上下が若干不均一、シェルの外側までで上が8mm、下が10mm。ちなみにRetroid Pocket Miniは上下8mm。本当に?
こうして写真で比較してみると3.7インチのRP Miniとほぼ同じサイズ感に見えますが、実際に手に持ってみた感じとしては、サイズ感もディスプレイもしっかりと差を感じます。不思議と。406Hはミドルサイズ、RP Miniはミニサイズみたいな感覚。かなり境目のサイズなんですかね。
ちなみにRP Miniは3.7インチの1280×960で、こちらの方が画素密度は高いです。
ちなみに画面を押してもほぼ滲まず安心です。
スピーカー
スピーカーはフロントスピーカーではありませんが、グリップ下なので手に干渉せず、側面にあるタイプですが聞こえやすいと感じます。
音質は低音が弱くてこもった感じの音色で、良くはありませんが音量は大きく出せます。もう少しクリアな音で聴ければ嬉しいですが、まぁいつものシリーズ通りの印象です。
イヤホンジャックがあるのでもちろんイヤホンで遊ぶことも可能。
使用感
基礎知識・注意点等
Androidスマホユーザーならスムーズ
基本的にはAndroidスマートフォン同様な使い勝手で使用することができます。エミュレータ等は初期設定で導入済みですが、ストレージ設定などは自分で行わなければならないため知識と調べる力が必要です。
Androidにはシステムレベルの遅延がある
Androidはこの端末に限らず、システムレベルで遅延が有り、人によっては気になるといったことが注意点としてあります。私は別に気にならないんですが、アクションゲームや格闘ゲームなどを重要視する場合には、留意しておきましょう。
また、本端末はレビュー時点では技適未取得なので「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」を利用し、様々な検証を行っていきます。
エミュレータで遊ぶには
エミュレータで遊ぶためには原則以下のものが必要となります。
吸い出し機(ダンパー)
エミュレータを使う際にはゲームイメージの吸い出しを各自行う必要があります。(中華ゲーム機のざっくりとした解説はこちら)
ダンパーには色々ありますが、一台だけでゲームボーイ・ゲームボーイカラー・ゲームボーイアドバンス・メガドライブ・スーファミ・64のゲームイメージとセーブデータの吸い出しが可能なCartridge Reader(レビュー記事はこちら)をおすすめします。
(サイトは英語ですが、日本でも購入可能です)
また少しでも安く済ませたい方はGAMEBANK-web.comのダンパーを必要なハードだけ購入する、PS1、PS2等だけを遊びたい!って人はDVDリーダー+PCがあればなんとかなります。
PC(あると快適)
データを管理するのに必要となります。有ったほうが間違いなく便利ですが、Androidスマホと同じなので、無くても頑張れば使えます。
MicroSD
ゲームイメージ用に推奨。PS2とかを遊ぶ場合では512GBくらいあっても良いかと。
MicroSDリーダー
MicroSDをPCで読み込むために必要となります。
アプリ・エミュレータは初回起動時インストールされる
初めて起動する際にセットアップが開き、アプリが一通りインストールされます。
Google純正アプリやPlayStoreも導入されているので、そちらからのインストールも可能です。
自力で最初に設定したこと
・設定アプリ(Settings)→System→Languages & Input→LanguagesからAdd a languageで日本語を追加、1に入れることで日本語化
・バッテリー→バッテリー残量をオンでバッテリーを%表示
メニュー画面について
基本的にはピュアAndroidな使い勝手です。日本語化も可能、デフォルトのランチャーはシンプルなもので、アプリ一覧もなく、アプリをインストールするとどんどん右側に追加されていく形式。あまりにもシンプルすぎるので、別途何か好みのランチャーを導入するのが良さげです。
専用のランチャーアプリもあり
他にもエミュ専用のランチャー(メニュー画面)があり、そちらを使うといかにもエミュ機なインターフェイスで使えるようになります。これはAnbernic社のAndroid機に導入されているRG LauncherというAnbernic製のフロントエンドアプリ。
こちらは左側面に有るファンクションキーを長押しすると切り替わります。元の画面に戻りたい場合は再度長押し。これまではワンクリック切り替えでしたが、長押しに変わっていました。
一応テーマ変更や表示項目の変更などは可能ですが、設定できる部分が少なく、ゲームイメージの拡張子によっては表示されなかったりします。
私のお気に入りはDaijishoですが、お好みでカスタマイズしましょう。
スティックは光る(消せる)
スティックは光ります。上から下にスワイプしてクイック設定からAmbientLight Settingで色を変更したり、消したりも可能。
タッチパネル割当て可能
コントローラー対応しているアプリはそのまま遊べるほか、タッチパネルをボタンに割り当てることも可能です。
上から下へスワイプして出てきた設定パネルの中にKeymappingの項目があるので、そこを長押し、Switchを押すことでタッチパネルに割り当てできます。
AnTuTuベンチマーク結果
AnTuTu ベンチマークスコアは
総合スコア 483270
CPUスコア 188832
GPUスコア 96739
総合約48万、CPUが19万、GPUは9.6万。ちなみにSD865を搭載したRP Miniは総合77万、GPUが28万でした。GPUがかなり大きく違うんですよね。
ゲームをプレイ
動作感自体はよく動きます。ゼンゼロなどのコントローラー対応スマホゲームも最高画質は無理なものの遊べますし、画質設定は低でも画面サイズも小さいので全然耐えれますし、小さくても見れます。文字はかなり小さいです。
GC、Wiiのタイトルをいくつか遊んでみましたが、概ねグラフィックをVulkan、その他ちょっとの設定で動作し、画面サイズが小さめなので内部解像度は1xで十分綺麗に感じます。
PS2も同様ですが、やはりタイトルによっては厳しいと感じます。PS2を快適に遊びたい場合はOdin2、AYANEO Pocket Sなど、ハイエンドチップ搭載端末でパワーで解決したいと感じてしまいます。
アスペクト比4:3&高解像度の4インチで遊ぶ良さは本当にあります。結局GCもPS2も基本は16:9ではなく4:3で遊ぶ前提で作られているので、無駄なく最適なスケーリングで遊べるのが本当に有り難いと思います。
ファンの音・熱・バッテリー持ち
ファンの音はStrongにすると強くはなりますが、それでもかなり小さめ。音有りで遊んでいればまったく気になりません。ほぼ動かないようにもできます。発熱も若干熱くなるかな?程度で、全然気になりません
バッテリー持ちはHigh mode&FanをStrongに設定した状態でゼンゼロを遊ぶと、1時間で100%→80%でした。
感想
RP miniより若干大きいサイズ感で、4インチの恩恵は確かにあるものの、やはりほぼほぼ同価格帯でより高いスペックのRP miniに目がいってしまいます。
セール狙いだったりで少しでも安く、僅かにでも画面が大きい4:3ディスプレイの端末が欲しいというのであればありかなとは思います。
あとコントローラーは大きく違いますね。コントローラーレイアウト(スティックの位置)やグリップ感、ボタンや十字キーの感触、スティックの感触など、デザイン面で見ると似てるようで全然別物。ただ私としてはグリップ無しでフラット、なるたけ薄いハードが好きで・・・(終)