私が中華ゲーム機にハマったのって、2009年に発売した丁果A320っていうゲーム機がきっかけなんですよね。(発売時期はWikipedia参照)
中華ゲーム機ってそれまでも色々出ていましたが、A320は中でも群を抜いたクオリティとデザイン、そしてCFWによってより使いやすくなるなど、コミュニティもかなり盛り上がってました。言わば、中華ゲーム機の始祖と言っても差し支えないでしょう。
でも今A320っぽいハードって案外無くて、どれも一回り大きいんですよね。なのでAnbernicさん、現代のA320出してくれないかな~と言っていたらとうとう出ました!やった!という感じです。
ちょっとちょっと気になる点はあるものの、トータルとしてはこれだよこれ・・・感が強く、非常に満足です。
販売ストア
提供:ANBERNIC
金額は公式ストアにて7599円+送料1850円なので9449円。販売開始から2日間はセール価格で600円引きの8849円です。
動画版
スペック&主な特徴
ANBERNIC RG28XXとは
RG28XXはAnbernic社による携帯ゲーム機で、Linuxを搭載したいわゆるエミュ機と呼ばれている端末です。
ゲームボーイを横型にしたようなビジュアルが特徴的なゲーム機で、基本的なスペックは2.83インチの640×480、バッテリーは3100mAh、チップセットはRG35XXシリーズ同様にH700が搭載され、カラーはグレー、ベージュホワイト、クリアブラック、オレンジの四色展開。
中華ゲーム機の中ではかなり小型な部類でありながらイヤホンジャックも搭載されているので、メディアプレイヤーとしての活用も想定しているのかオフィシャルのPVにはミュージックプレイヤーのように使う様子が映されています。実際本機には動画再生アプリ、音楽再生アプリ、電子ブックリーダーなどが入っています。
開封&内容物
では早速開封していきます。

今回は別売りの専用ケースも同封されていました。ボタン・画面・十字キーを模した立体形状が特徴的なハードケースとなっています。
箱のデザインはいつもどおりのシンプル線画デザイン。ロゴや線画の周囲にシルバーのラインが入っていてリッチな印象に仕上がっています。

内容物はこちら。USB Type-C、説明書、本体です。今回保護ガラスフィルムは付属しませんでした。
本体外観
今回本当にカラーで悩んで、私は基本的にクリアカラーが好きなのでいつもだったら普通にクリアブラックを選択していたところですが、今回はフォルムのゲームボーイっぽさからグレーを選択。オレンジもヴィヴィッドな印象で良さそうですし、ベージュホワイトがかなりクールで惹かれました。白と淡いパープルの組み合わせが素敵じゃないですか?

他のカラーの事はさておき、最初に手に取った印象としては、うおおこれだよこれ!!!でした。もちろん小さいハード好きだからというのは確実にありますが、懐かしいこのサイズ感、やはりA320ですよ。
寸法的を見てみても、
丁果A320は125×55.5x14mmなのに対して
RG28XXは125×56.5×16.5mmなので同等。
確実に意識してるし、現代のA320を作ろうとしてるのが寸法からも見て取れますよね。ちなみに近日発売予定とされているMiyoo A30の寸法は125x57x15mm。こちらも寸法的にかなり近いので、チェックしてみてください。

質感的にはRG35XXとほぼ同等、若干シボ加工が小さめのプラスチックで、サラサラとした触り心地。いかにも素地といった感触で、RG35XXシリーズと同様に、他のANBERNICハードに比べるとチープ感、おもちゃっぽさは強めです。
ですが軋みや空洞感はなくミッチリとした密度感はあるので好印象です。

ボタンレイアウトは右側にABXYボタン、スピーカー、左側に十字キー、スタートセレクトボタンとかなりシンプル。
スピーカー部分のラウンドさせた作りとか、スタートセレクトボタンが斜めになっている作り、シェル側にABXYと印字されているなど、初代ゲームボーイライクなデザインとなっていてかなり刺さります。

背面にはモデル情報の印刷がグレーでされています。のっぺりとしているように見えるかもしれませんが、何せこの小さいサイズ感、そして周囲が丸みがかったディテールにより、悪く感じません。

上側面には左からL1L2、充電用のUSB-C、インジケーター、メニューボタン、MiniHDMI、R2R1
下側面はイヤホンジャック、システム用MicroSDスロット、ストレージ用MicroSDスロットです。

左側面にはボリュームボタン、右側面には電源ボタン、リセットボタンです。
他ハードとの比較
では実際に他のハードと並べてサイズ感など比べてみましょう

実機と並べたのがこちら。上がアドバンス、下がゲームボーイミクロです。明らかにアドバンスよりは小さく、体感としてはミクロに近いサイズ感。

そしてエミュ機、ここ最近一番近々のRG35XXHと並べてみたのがこちら。やはり体感として結構違うんですよね。35XXHはアドバンス的なサイズ感で、どちらも携帯性的には良い方ですが28XXは確実に小さい。

なのにそこまで小さく見えないのは何故かと言うと、ボタンも小さいんですよね。同じく2.8インチのMiyoo Miniと並べてみるとよくわかりますが、ABXYも十字キーもかなり小ぶり。後ほど触れますが、これが結構操作性に影響を与えています。

同じく初代ゲームボーイ風ハードで並べてみたのがこちら。一体Miyoo Miniを何台持っているのかという問いは置いといて、色味的にはAnbernicシリーズで統一されていて、Miyoo Miniのグレーよりもかなり白っぽい印象です。
赤っぽいMiyoo Miniよりも初代ゲームボーイの色味に近くて良いなと思います。黄ばみ方にも依りますけど。
あと個人的にはベゼルもグレーで統一するのではなく黒にして画面占有率を大きく見せるデザインにしてほしかったな~と思います。
操作感

ボタン類は、一般的に携帯ゲーム機で採用されている、SwitchやVitaのようなボタンよりも小さいです。なのでかなり小ぶりで、スイッチライトが7.2mm、Vitaが直径6.8mm程度であるのに対して6.5mm程度。そしてボタン間の間隔も狭いので、手が大きい人は操作しにくいだろうな・・・と思います。
ちなみに通常のAnbernicボタンは7.8mm程度、極小のRG Nanoは4.8mmです。小さすぎだろ。
ちなみに押し心地は通常のAnbernicモデル同等で、遊び少なめ、しっかりとした硬めラバーの押し心地。

十字キーもかなり小さめ。小さい十字キーのVitaでも最長部19.8mmくらいなのに、17.5mmです。
クリッキーなドームスイッチなどでもなくラバーの押し心地なので、こちらも結構遊ぶゲームによっては難しいかも。
ちなみにシーソーは可能ですが、斜めへ入りやすさは感じます。
スタートセレクトボタンはカチカチとしたタクトスイッチ。

ショルダーボタンもかなりトリッキーで、とりあえずこちらも小さいです。面積として背面側だけで、しかも幅も小さい。L1とL2で高さに差がついているので、その点においては押し分けできますが、なにより小さく、そしてちょっと硬い。
硬いと言ってもいわゆるタクトスイッチの押し心地なので、嫌な硬さ、チープな硬さではないのですが、もうちょっと柔らかくないと結構操作難しいのでは?と感じます。まぁ小さいハードに操作性を求めるのも野暮ってことですかね。

あとはメニューボタンがもうちょっと使いやすい位置にあるとよかったかなと思います。RG35XXHではR2の隣くらいにあるので結構使い勝手良かったのですが、こちらは中心近くにあるので動きにもうワンクッション必要な位置です。
どうせならフロントのどこかに付けてほしかった気がしますが、まぁこの小さいボタンから察するにあまり余裕が無いんでしょうか。
画面・スピーカー
画面

画面サイズは小さめの2.8インチで、Miyoo Miniなどと同じサイズです。なので快適とは言い難いですが、私としてはギリ難なく遊べるサイズだと感じます。ディスプレイガラス部分はラウンドエッジ加工で、押しても滲むことが無いのが個人的には良い作りだなと思います。
解像度も640×480なので過去のA320よりも圧倒的進化してます。

画面輝度は若干低めかな?と思わないこともないですが、平均的な明るさに感じます。視野角があまりよくなく、上下に画面を振ると暗く見えます。
もうちょっと明るいと嬉しいですが、まぁこんなもんでしょうという感覚。
スピーカー
スピーカーは良い音質とは言えませんが、ゲーム機としては特に文句ないレベルで、音量も大きく出せますし、何よりシングルスピーカーではありながらも画面側に配置されたフロントスピーカーなので、ダイレクトに耳に伝わる位置で、十分満足できるスピーカーだと感じました。
そういえばA320って側面のスピーカーで音質は結構悪かったなぁ・・・と思い出しました。ここも気付かぬうちに進化ですね。
使用感
エミュレータで遊ぶには
一般的にエミュレータで遊ぶためには以下のものが必要となります。
吸い出し機(ダンパー)
エミュレータを使う際にはゲームイメージの吸い出しを各自行う必要があります。(中華ゲーム機のざっくりとした解説はこちら)
ダンパーには色々ありますが、一台だけでゲームボーイ・ゲームボーイカラー・ゲームボーイアドバンス・メガドライブ・スーファミ・64のゲームイメージとセーブデータの吸い出しが可能なCartridge Reader(レビュー記事はこちら)をおすすめします。
(サイトは英語ですが、日本でも購入可能です)
また少しでも安く済ませたい方はGAMEBANK-web.comのダンパーを必要なハードだけ購入する、PS1等だけを遊びたい!って人はDVDリーダー+PCがあればなんとかなります。
PC(あると快適)
データを管理するのに必要となります。
MicroSD
ゲームイメージ用に推奨。

MicroSDリーダー
MicroSDをPCで読み込むために必要となります。

メニュー画面の構成

搭載されているのはAnbernicによる独自OSで、GarlicOSを彷彿とさせるビジュアルのメニュー画面になっています。RG35XXなどと共通に見えますが、メニュー画面を見るに若干変更が加えられてるようですね。効果音は相変わらずでポニョ!ポニョ!と左右に移動させるたびに鳴ります。ちなみに消音可能。
左からGame Roomsつまりスタンドアロン系のエミュ、RA Gameは見ての通りレトロアーチ、Favorites、Historyは過去に起動したタイトルの履歴、Search、App Center、Settingsと並んでいます。
基本的な使い方

使い方はいつも通りシンプルでタイトルを選択して起動、ゲームをプレイ中にメニューボタンを押すことでメニュー画面が表示され、中断セーブなどが可能。RAから開くとRetroArchのメニューが開きます。
そして今回は新たにApp Centerが追加されていて、こちらは中に音楽プレイヤーなど、ゲーム以外のアプリが使える項目となっています。
詳細設定について
またRAからAPPSを開くと、様々な設定項目が展開され、拡張機能的な感じでシェーダーのオンオフやクイックシャットダウン機能など、色々好みに使うことができるようになっています。
また、RetroarchのVideo設定に結構難があるように感じました。ベゼルをオートに設定していれば難なくベゼル付き表示にできますが、基本はフルスクリーン表示。手動でRetroarchの設定をしようとしましたが上手くいかず。
おそらくこれ、通知が横に入る事などから多分これネイティブランドスケープ液晶じゃないのかもと推測できます。というのも、ビデオ設定でスケーリングをカスタムにしたところ、縦と横の数値が逆になってるんですよね。それのせいで正常に設定できず、core providedにしても正常なアスペクト比になりません。
独自設定にこだわりがある人は結構気になるかもしれませんが、まぁしかしこのミニミニサイズなハードなので、そこまで大多数ではないかなとは思いますが、一応共有のため書き記しておきました。
ゲームをプレイ

チップセットはRG35XXPlusやRG35XX Hなどと同じなので、動作も同等です。なのでざっくり言うとPS1までのゲームであればバッチリ動作、PSPや64もタイトルにはよるもののそこそこ動作してくれるパワフルさ。
このハードで64を動かしたとき、本当に興奮しました。ここまで来たか・・・!と。タイムスリップして丁果A320で満足している自分に見せつけて自慢したいですね。
ただアナログスティックがないので、必要になってくるタイトルを遊びたい場合には不向きです。64も一応スティックが十字キーに割り当てられているものの、遊びやすくはないです。
まぁどちらにしろこのサイズ感、ガチで遊ぶというよりは動かして楽しい側面が大きいと思うので、個人的には満足しています。
感想
ということで、待ちに待ったAnbernic流のA320(・・・と勝手に言っていますが実際どうなのかは知りません)
過去にも小さめなハードとしてPocket goなどが出ていましたが、電源がスイッチ式であったり、画面が更に小さかったり、MicroUSBであったりと、ちょっと仕様が古いんですよね。
RG28XXは積み重ねてきたAnbernicのノウハウがしっかり詰まってますし、寸法もしっかり小さく抑えてある。ボタンが小さすぎる点やディスプレイ表示の点など気になる部分はあるにはありますが、こういうのが欲しかったという、エミュ機ラバーのツボをしっかり突いてきたハードだと思います。