TRIMUI Model Sっていう超絶かわいいカード型でスケルトンのユニークなエミュレータ機が昔ありまして、それはそれは結構人気で盛り上がっていました。
そのメーカーが今回新しい端末を出しまして、その名もTRIMUI SMART PRO。スマートプロというだけあり、サイズアップ、性能アップで、パッと見はまぁ正直見たことある雰囲気のゲーム機だな?くらいの感じですが、
やはり独自のこだわりがあり、かなり個性的な仕様にかなりビビっときました。
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提供:Mechdiy
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スペック&主な特徴
TRIMUI SMART PROとは
TRIMUI SMART PROとは、TRIMUIブランドによる横型のゲーム機で、いわゆるエミュレータ機と呼ばれている端末です。PSVitaライクな丸みを帯びたシェル形状が特徴的です。
4.96インチ、720Pのディスプレイを備えていてデュアルアナログスティック、ほぼすべてのボタンがPSVitaと同じ仕様になっていて、さらにアナログスティック部分にはLEDライトが仕込まれていて光ります。
CPU的にはRG353シリーズより若干劣るエミュレーション性能で、快適に動作するのは~PS1までと考えておくのが良さそうです。
カラーはホワイト・ブラック・グレーの三色展開。79.99ドル(記事執筆時点)と、この画面サイズのハードにしては比較的安めなのも大きな特徴です。
TRIMUI SMART PROのスペック
項目 | TRIMUI SMART PRO |
---|---|
システム | Linux |
対応ゲーム | 様々なエミュレータによるレトロゲーム |
ディスプレイ | 4.96インチ IPS、解像度1280×720 |
CPU | Allwinner A133 Plus |
RAM | 1GB LPDDR4 |
ストレージ | 8GB eMMC、microSDカード対応 |
バッテリー | 5000mAh |
インターフェース | USB Type-C × 2、イヤホンジャック、microSDカードスロット、ステレオスピーカー、LEDライトエフェクト、バイブレーション |
サイズ | 188 × 80 × 17mm |
重量 | 231g |
開封&内容物
では早速開封していきます。今回はMechdiyさんによる提供です。
箱はこちら。商品画像がカラー印刷されたしっかりとした箱です。
内容物はこちら。本体、USB-Cケーブル、そしてこの上に簡単な説明が書かれた紙が一枚乗っていました。保護フィルムは付属しないので気になる場合は別途用意する必要があります。
本体外観
最初に手に取った印象としては、質感良いな・・・です。サラサラとしたつや消し塗装のボディに小ぶりのボタン、コントローラー部分をなるべくコンパクトに抑えてぎゅっと詰まった感じ。
勿論サイズ感としてはVitaと同等のサイズ感なので、諸々想像通りではあるんですが、この価格帯でこの質感の良さは中々無いと感じます。所有欲が満たされていく音がする。
ボタンレイアウトは右側にABXY、アナログスティック、スタートボタン、セレクトボタン、
左側に十字キー、アナログスティック、メニューボタン。画面下部にはスピーカーの開口があります。
背面には何もなしでロゴやモデル情報が書かれているのみです。ちなみに側面から背面にかけて緩いカーブで膨らんでいて、のっぺりと見えないように形状で工夫されています。このディティールも正直かなり好きです。
上側面には左からL、L2、電源ボタン、ホスト?用のUSB-C、ボリュームボタン、R、R2、
下側面にはFNスイッチ、充電用USB-C、マイク、MicroSDスロット、イヤホンジャック。
一番左にあるのはストラップホール。このサイズの中華機でストラップホールがあるのは割と珍しいですね。
側面を見てもらうと分かるんですが、前面シェルと背面シェルの噛み合い部分は若干のばらつきがありますが、触っていて気になることはありません。個体差の可能性もあります。
他ハードとの比較
ではPSVita本家と並べてみました。Vitaライク・・・と言いながらも、実際に並べてみると結構違います。
グリップ部分のカーブはVitaでは円形ですが、TRIMUI SPでは楕円形、ボタンとアナログスティックの位置はVitaのように干渉しないように若干離されていたりと工夫されています。
ボタンレイアウト、ボタンサイズ・形状、アナログスティックは同等です。
Retroid Pocket 3+と並べるとこちら。寸法的にはこちらもほぼ同等ですが、ディスプレイガラスがフチの方まで広がっているので、TRIMUI SPの方が大きく感じます。まぁ実際RP3+は4.7インチ、TRIMUI SPは4.96インチなので若干大きいというのもありますが。
操作感
重量は実測値で約247グラム。Vita後期モデルが220グラムなので僅かに重く感じますが、まぁ持ち比べれば、程度。カーブの付いた形状などから長時間持っても疲れにくいように感じます。
ABXYボタンは印字ではなく彫り込みがあるタイプで、押し心地はドームスイッチのプチプチとした感触。これもVitaを踏襲しているというか、ボタンの押し心地はショルダーボタン以外全て踏襲しています。
十字キーもドームスイッチ、形状やサイズ感もVita同等です。
アナログスティックもVita同様です。アナログスティックに関しては完全なクローンパーツに見えますが、オリジナルではラバーが使われている部分がプラスチックになっているので、若干滑りやすいですが加水分解に安心ですね。
あとアナログスティックは高さを低く抑えてあるので若干倒し角度が少ないように感じますが、収納の際に引っかかり壊れるリスクも減りますし、Vitaのようにボタンや十字キーを操作する際に触れてしまう、という事が起きにくくなっています。
あと押し込みも不可能です。
ショルダーボタンがちょっと問題で、LRボタンは若干硬めのタクトスイッチ、音も若干大きいです。まぁこちらは良いのですが、L2R2がかなり使いにくいです。
後ろに倒れるタイプの非トリガーボタンですが、反発するバネの力が強すぎるのか、かなり硬いです。
スペック的にもあくまでレトロゲーム専用になりそうなのでそこまで多用することは無さそうですが、多用する場合は指がめちゃくちゃに疲れそうです。
画面・スピーカー
画面
ディスプレイは約5インチ、解像度1280 × 720なのでかなり解像度高め、輝度はしっかり高く設定できて視野角も良好、金額を考えるとかなり良いディスプレイだと思います。
解像度が高いのでどんなレトロゲームを遊んでもほとんどピクセルが崩れない状態で遊べますし、ハードによってはこのように独自のベゼルで余った表示部分を埋めてくれるので良いですね。
スピーカー
スピーカーはまぁまぁ良いです。バランスの良い音色で、シャリシャリしていたり耳に刺さるような感じはありません。若干こもり気味、というかシェルの内部で鳴ってる感はありますが、音量も割と大きくできますし概ね良好です。
画面下部左右についているステレオスピーカーですし、Vitaのように手で塞がる位置でもないのでそのストレスはありません。
ただ、まぁこれどこから音が出てるんだ・・・?ってくらいの聞こえ方なんですよね。勿論スピーカーの穴の位置を塞いでも文句無しで音は変わらないし、上部のUSB-Cから出てきているような気もするし、アナログスティックの開口から出てきている気もする。まぁ特に問題は無いので良いのですが。
使用感
基礎知識・注意点等
本端末はレビュー時点では技適未取得なので「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」を利用し、様々な検証を行っていきます。
エミュレータで遊ぶには
一般的にエミュレータで遊ぶためには以下のものが必要となります。
吸い出し機(ダンパー)
エミュレータを使う際にはゲームイメージの吸い出しを各自行う必要があります。(中華ゲーム機のざっくりとした解説はこちら)
ダンパーには色々ありますが、一台だけでゲームボーイ・ゲームボーイカラー・ゲームボーイアドバンス・メガドライブ・スーファミ・64のゲームイメージとセーブデータの吸い出しが可能なCartridge Reader(レビュー記事はこちら)をおすすめします。
(サイトは英語ですが、日本でも購入可能です)
また少しでも安く済ませたい方はGAMEBANK-web.comのダンパーを必要なハードだけ購入する、PS1等だけを遊びたい!って人はDVDリーダー+PCがあればなんとかなります。
PC(あると快適)
データを管理するのに必要となります。
MicroSD
ゲームイメージ用に推奨。
MicroSDリーダー
MicroSDをPCで読み込むために必要となります。
メニュー画面の構成
本端末はLinuxベースの独自OSが搭載されています。独自にデザインされたメニュー画面+RetroArch他といった一般的な構成ですね。
LRボタンでタブを切り替え、お気に入り、履歴、ゲーム一覧、アプリ、ネットプレイ、設定と並んでいます。ハードを選択し、ゲームタイトルを選択して遊ぶ、といったスタンダードな使い勝手です。
説明書が無いので正直なんか良くわからないものがいくつかありますし、もうちょっと色々追加したいとか色々ありますが、まぁそのあたりは有志の有識者に希望を託しましょう。
ファームウェア
ファームウェアは内部に書き込まれているようで、MicroSDに焼いて~といった事はできません。
ファームウェアはこちらで最新のものが配布されているようなので、必要に応じて更新してみてください。
手順としては簡単で、更新ファイル『trimui_tg5040.awimg』をMicroSDのルートにコピーして、マイナスを押しながら起動。内部システムを書き換えるという点でブリックの可能性があるので注意。
CFW
・CrossMix OS
・Knulli OS
・Tomato OS
LEDライトはハードによって切り替わる
そして使っていて気付いたんですが、どうやらアナログスティックのLEDライトは起動するハードによって変わります。中々ユニークな仕組みですよね。明るさも調整可能で、鬱陶しかったらもちろん消すことも可能です。
ちなみに画面下部の3つの点は充電すると光ります。
メニューボタンの機能など
ゲーム中にメニューボタンを押すとこのように簡易的なメニューが現れ、ステートセーブ・ロードなどが行なえます。その他にもAdvanced Menuを押すことで、RetroArch画面へと移行し、より詳細な設定をすることが可能となります。
RetroArchではデフォルトで珍しくXMBのテーマに設定されていました。
ちなみにホットキーなどはデフォルトで設定されていないので、使いたい場合は自分で設定する必要があります。
ゲームをプレイ
所有しているゲームを色々と試してみましたが、このディスプレイのアスペクト比を完全に活かせるPSPはやはり性能不足と感じました。エミュレーション的に軽いタイトルでは遊べますが、基本的にそこまで期待しないほうが良さそうです。
あと遊んでいるうちに・・・というか遊んでいなくても使っていると背面がホカホカと暖かくなってくるのが若干気になりますそんなに電力消費するような事してないのにな・・・と。
下部にあるFNスイッチの説明もどこにも無いので謎ですが、どうやらパワーセーブ機能らしい。これをどちらかにすると消費電力が抑えられるらしいので、試しにこちらをオンオフして動作を検証してみたんですが、
私の環境では何も変わらないように感じました。若干パフォーマンスが変わると報告が上がってはいますが、どういう事なのかは結局分かりません。
64もまぁまぁ動きます。動作感としては、最近のハードで言うとRG35XXPlus同等といったあたりでしょうか。あくまでレトロゲームメインのハードですね。PSPまでバッチリ動かしたいとなると、Retroid Pocket 3+やちょうど発表されたRetroid Pocket 4を待つのが良さそうです。
感想
性能的には全く想定通り、もうちょっとパワーがあればなーといったラインではありますが、価格を考えると妥当、そしてボタン類はL2R2は使いにくいけど他はドームスイッチで最高に好き、質感もかなり高くて、スピーカーもそこそこ良くて、ディスプレイもそこそこ良くて、
一部クセはあるけどトータルで考えると結構良い感じに全部満足するハードだと感じました。
メンブレンスイッチじゃなきゃ嫌だ!とか、アナログスティックが小さすぎて無理!とかそういったこだわりがある場合には要検討ですが、私には刺さる部分が多く、所有欲はかなり満たされています。