レトポケ、いいですよね。Retroid PocketシリーズはRetro + Androidの名前の通り、Androidを搭載したゲーム機です。
レトポケ3+は2022年一番良いエミュ機として選出しましたが、その後続モデルがようやく出ました。その名もRetroid Pocket 4 / 4Pro。
まぁどう考えてもええんやろな・・・という漠然とした信頼感があるので、Proの方を秒で購入、そして届いたんですが様々な事情で興奮はしていません。しかし期待を裏切らない良いハードであるのは間違い有りません。
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・Retroid Pocket 4 / 4Pro オフィシャルストア
動画版
スペック&主な特徴
Retroid Pocket 4 Proとは
今回はProをレビューするので、Proをメインで紹介していきます。
Retroid Pocket 4 Proは、Retroid社による横型の携帯ゲーム機で、OSにAndroidが搭載されているので、スマホのような使い方もできます。
主な特徴としては4.7インチディスプレイでAndroid13を搭載、メモリ4GB、ストレージ128GB。スイッチライト風のビジュアルが特徴的で、最大の強みはMediaTek Dimensity 1100というチップセットを搭載。こちらはAnTuTuベンチマークだと70万くらいあり、他のAndroid搭載ゲーム機の中でもハイスペック。
カラーも6種類と豊富で、金額は199ドル。別途送料もかかりますが、現在のレートで考えると約3万円。スペックが上がった分、金額も上がったモデルです。
ちなみに4の方はほぼ同じスペックでチップセットがD900、メモリも4GB、金額は149ドルと若干安くなってはいますが、現在購入することができません。
開封&内容物
では早速開封していきます。今回は自腹です。
箱はこちら。いつものRetroidシリーズ通りのしっかりとした箱です。開封する際蓋がマグネットになっている点など、独自のこだわりで魅せています。
内容物はこちら。簡易的なマニュアル、USB-Cケーブル、プレオーダー特典の保護ガラスフィルム、本体です。
本体外観
今回選んだカラーはRetroid社としても初?のクリアホワイトで爽やかな印象です。
スイッチライトのようなデザインに見えますがサイズ感的にはVita程度のサイズで、これこそ携帯ゲーム機!と感じるサイズ感と、無駄がない洗練されたディテールがお見事。
・・・といってもビジュアル的には前モデルのRP3、RP3+とほとんど変わらないので、前モデルを所有していた人にとっては新モデルというよりは、内部アップグレードモデルといった印象になりそうです。実際私はなりました。色の新鮮さはありましたが、手に取った印象としては大きく変わりません。
今回のモデルは内部基板がRP3、3+よりも見えるようなシェル構造・色味となっていて、いわゆる光沢でスケスケな透明感ではありませんが、つや消しのクリアシェルにしては比較的透明感が強いように感じる点が良いと感じます。
触った感触としてはサラサラとした荒目のシボ加工の手触り。シェル質感の印象も前モデルと同等ですが、若干シボが強くなったような、なってないような。
ボタンレイアウトはスタンダード。右側にABXYボタン、アナログスティック、そしてスタートセレクトボタン、左側に十字キー、アナログスティック、ホーム・バックボタン。
RP3+ではスタートセレクトボタンの位置が上側面にあったので、しっかりフロント面に配置されたのが改善ポイント、そしてしっかりホームボタンとバックボタンが搭載されたのも結構大きなポイント。やはりAndroidなので、アプリによってはふとした瞬間に「戻る」を入力したくなり、ボタンがない場合にはタッチパネルで操作しなければならなくなるので、物理ボタンがあると快適さが違います。
背面には排熱ファンの吸気口があり、Retroid Pocketのロゴ彫り込みがあります。前モデルではディスプレイ下にあったのが、目立たない位置へと変更になりました。
上側面には左からL1L2、MicroHDMI、排熱ファンの排気口、ボリュームボタン、電源ボタン、R1R2、
下側面にはスピーカー、MicroSDスロット、イヤホンジャック、USB-C、スピーカー。
左右の側面には何もありません。ちなみに前モデルにはボリュームボタンやホームボタンが配置されていました。
スイッチライト同様グリップなどの形状は作られておらず、しっかりとしたグリップが欲しい場合には別売りで装着式のグリップが販売されています。
他ハードとの比較
スイッチライトと並べるとこんな感じ。ぱっと見の印象はスイッチライトっぽく感じてしまいますが、シェルの色味やサイズ感、アナログスティックの位置などから似てるようで全然異なった印象に感じます。
前モデルのRetroid Pocket 3+と並べるとこんな感じ。ほとんど同じに見えますが、ボタンレイアウト、そして透け感が圧倒的に違います。3+ではシェルに強度を増すためなのか、骨組みのようなものが張り巡らされていて基板はほとんどみえませんが、4Proではかなりスッキリとしました。
また変わった点で言うと厚みが大きくなっています。3+では14.6mmでしたが、4Proでは16mm。大した差ではないように感じるかもしれませんし、実際ほとんどの人は気にしないかもしれませんが、私は3+の薄さを結構気に入っていたので、ちょっと厚くなったなぁと感じます。ちなみにスイッチライトの厚みは14mm
ちなみにAYN Odin 2 と並べるとこちらです。かなり小さめなハードに感じますが、Odin2がSwitchくらいのサイズ感なのでむしろそっちが大きいと感じます。
操作感
重量はガラスフィルム込みで275グラム。3+では242グラムだったので、+30グラム。厚みが増えてよりしっかりと握れるようになったので、重量的にはさほど大きく感じることはありません。
ボタン類もバッチリだと感じます。ABXYボタンはラバーの押し心地で戻りも良い、引っ掛かりも無いもの。サイズはSwitchのJoy-Conやスイッチライトのボタンと同等の大きさ。
ちなみに3+ではABXYをドームスイッチに換装できるキットが販売されていました。ドームスイッチの方が好きなので、是非4Proでも販売していただきたい・・・!
十字キーはVitaライクな形状・寸法で、押し心地もプチプチとしたドームスイッチの感触。
アナログスティックは中央が凹んだもので、Joy-Conや一般的なハードとは違った形状です。おそらくですが、Odin2と同様なトップ。ちなみにスティックはホールセンサーなので壊れにくい(らしい)ものとなっています。
あとアナログスティックが下なので、遊ぶタイトルや持ち方、操作のクセによっては快適度が変わります。
ショルダーボタンはL1R1カチカチとちょっと大きめの音がするタクトスイッチ。感触は良いと感じますし、ボタンのテクスチャがザラザラと滑り止めテクスチャになっているのもこだわってるなぁと感じるポイントです。
L2R2はストロークが長いアナログトリガー。
画面・スピーカー
画面
ディスプレイは相変わらずキレイです。
おそらく3や3+と同様なもので、タッチパネル、4.7インチ、解像度が750×1334の比較的高解像度な画面。画面サイズと解像度から、iPhoneの互換液晶を採用したのではないか?と言われていて、実際かなり綺麗で何より輝度が高いんですよね。公式の仕様によるとどうやら500nitあるらしく、他の中華機と比べてもダントツの明るさ。
解像度的には特殊ではありますが、高解像度ではあるのでレトロゲームを遊んだとしてもピクセルの崩れを感じることはありませんし、大体どのようなゲームを遊んでも良い感じに映せるのもRP3から続くこのシリーズの良いポイントですね。
強いて言うならばベゼルの大きさが気になります。このサイズのままもう僅かに画面サイズがアップしてくれればもう何も言う事無いのですが・・・。
スピーカー
スピーカーは左右に搭載されているステレオスピーカーですが、音質は低音が弱め、若干こもり気味、音量小さめには感じますが音自体はそこまで悪いとは感じません。しかし下側面にあるのでやはりOdin2など画面側についているフロントスピーカーと比べると、直接音が伝わってくる感じではなく下に広がっていく感じが気になります。
が、まぁ使っているうちに慣れて気にならなくなってくるレベルだとは思います。初めて手にする人であれば十分に満足できると思います。
というかこの小ささでフロントスピーカーにすると、それこそVitaのように手で塞がる位置に来てしまうのでは・・・と思うので、下部しか場所は無いのかもとも思います。
使用感
基礎知識・注意点等
Androidスマホユーザーならスムーズ
基本的にはAndroidスマートフォン同様な使い勝手で使用することができます。エミュレータ等を導入する際には初期設定などが必ず必要となってくるので、知識と調べる力が必要です。
Androidにはシステムレベルの遅延がある
Androidはこの端末に限らず、システムレベルで遅延が有り、人によっては気になるといったことが注意点としてあります。私は別に気にならないんですが、アクションゲームや格闘ゲームなどを重要視する場合には、留意しておきましょう。
また、本端末はレビュー時点では技適未取得なので「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」を利用し、様々な検証を行っていきます。
エミュレータで遊ぶには
一般的にエミュレータで遊ぶためには以下のものが必要となります。
吸い出し機(ダンパー)
エミュレータを使う際にはゲームイメージの吸い出しを各自行う必要があります。(中華ゲーム機のざっくりとした解説はこちら)
ダンパーには色々ありますが、一台だけでゲームボーイ・ゲームボーイカラー・ゲームボーイアドバンス・メガドライブ・スーファミ・64のゲームイメージとセーブデータの吸い出しが可能なCartridge Reader(レビュー記事はこちら)をおすすめします。
(サイトは英語ですが、日本でも購入可能です)
また少しでも安く済ませたい方はGAMEBANK-web.comのダンパーを必要なハードだけ購入する、PS1、PS2等だけを遊びたい!って人はDVDリーダー+PCがあればなんとかなります。
PC(あると快適)
データを管理するのに必要となります。有ったほうが間違いなく便利ですが、Androidスマホと同じなので、無くても頑張れば使えます。
MicroSD
ゲームイメージ用に推奨。PS2とかを遊ぶ場合では512GBくらいあっても良いかと。
MicroSDリーダー
MicroSDをPCで読み込むために必要となります。
メニュー画面
初回起動時に、言語設定やログインだけでなく、プリインストールするアプリやエミュレータ、ホームランチャーの設定などの項目が現れ、諸々設定できます。が、まぁ基本的にはAndroidなので全部自力で設定する必要があります。パーミッションの設定、ディレクトリ設定、そしてエミュレータ自体の設定などなど。
そしてこちらがデフォルトのランチャー。一般的なAndroid用のランチャーを超シンプルにしたようなもので、アプリ一覧や検索などはなく、時計ウィジェットだけがある、必要最低限なもの。
それとは別に、Retroidによる独自ランチャーもあります。こちらはエミュレータ一覧やアプリ一覧などをカスタマイズしながら設定できる、エミュ機のフロントエンドとしての機能をメインとしたランチャーです。
スイッチライクなビジュアルでシンプル、使い勝手としては悪くありませんが、エミュレータ用のフロントエンドランチャーは他にも様々あるので個人で気に入るものがあれば変更してみるのも良いかと思います。ちなみに私のお気に入りはDaijishoとRESET Collection。
パフォーマンス設定
本端末でとりあえず知っておかなければいけないのは、パフォーマンス設定というものがあります。こちらは通知バーから変更できる項目で、スタンダードでは省電力でバッテリー重視、ハイパフォーマンスにすると消費電力は上がりますがパワフルになり、ファンも回ります。
消費電力は基本的に使っているアプリに依存するはずなのでこまめに気にする必要は無いかと思いますが、少しでもバッテリーを持たせたいだとか、レトロゲームから色々遊ぶ・・・などあればこまめに切り替えましょう。
タッチパネルにボタン割り当て可能
ゲーム中に画面右から左へスワイプする事でフローティングメニューのようなものが表示され、様々な設定が可能となります。その中でタッチパネル操作をコントローラーに割り当てることも可能で、コントローラー対応していない原神も結構快適に遊べるようになります。
AnTuTuベンチマーク結果・バッテリー持ち
AnTuTuベンチマークは約73万点。最先端のハイエンドとまではいきませんが、もうかなり十分な数値です。
バッテリー持ちはPCMarkのバッテリーライフ計測で試したところ、100%から20%までで11時間半となりました。他のスマートフォンなどと比べてもまぁ平均的な持続時間かな、と感じます。
ちなみにこの時間はあくまでスマホのように使っただけの持続時間なので、ハイパフォーマンスでゲームをするなどだと全然変わってくるので参考までに。
動作検証
ベンチマーク的に使われる原神でどのくらい動くのか試してみたところ、最高画質設定でも動きます。が、まぁ微々たるカクツキを感じる上、画面サイズと解像度的に中画質とさほど変わりはないように感じるので、意味ないかもしれないと感じます。
ただエミュレータはそうはいかなくて、PS2を同じアプリバージョン・同じ設定で動かしてもSnapdragonよりも動きが若干悪いように感じますし、何より最適な設定をこのハード自体で探る必要があると感じました。まぁそれ自体もエミュレータを動かす面白さなんですけど。
動作感、設定につきまして、ざっくり設定・検証した中ではワンダ・DQ8はバッチリ、ダージュオブケルベロスはモッサリ、ボクと魔王は若干モッサリといった感触です。
リモートプレイも試してみましたが、やはりPCゲームを遊ぶには、タイトルにも依りますがこの画面サイズは少々小さすぎると感じました。試しにSteamLinkでパルワールドやっていましたが、途中からSteamDeckに切り替えて腰を据えてやり始めてしまいました。
感想
正直動作感としては想像通りで、ハード自体は3+からさほど変わっていないので、驚くほどの感動はしていません。その上先にOdin2を入手しているので、そのCPUパワーと質感の良さ、ハードの良さがどうしても頭をよぎります。
しかしまぁ、トータルで考えると買ってよかったなと思います。やはりこの携帯ゲーム機的サイズ感でここまで動くハードは現状他に無いので、より小さく、よりパワフルに動いて欲しい、という自分の中にある需要は満たせていますし、価格も199ドル+送料とかなり抑え気味。3+は現在はセール中ですが元々149ドルですからね。
3+から変わったのはCPUスペックの向上だけでなく、3+のスタートセレクトボタンが変な位置にあるという欠点が改善され、戻るボタンの追加、ファンを追加したりスティックをホールセンサーにしたりと、しっかりと不満点を潰してきた優秀なアップグレードといった印象です。
Odin2はパワーも強いし良いらしいけど価格が高すぎるな、サイズが大き過ぎるな、そもそも別にそこまで性能いらないな等、隙間の需要にしっかりと入り込んでいるハードだと思います。丁寧な改善が積み重ねられた『Retroid流の史上最高のハード』といったところでしょうか。