ゲームボーイ風の縦型ハードって良いですよね。
Anbernic社の製品を代表する縦型ハードと言えばRG35XX、そのアップグレード端末が出ました。
単純にCPU性能とバッテリーが上がっただけのアップグレードだと思っていましたが、スペック表を見ても分からない部分が細かく色々変更されていて、しっかりと完成度を高めているのが好印象です。
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スペック&主な特徴
ANBERNIC RG35XX Plusとは
Anbernic RG35XX Plusとは、Anbernic社による縦型の携帯ゲーム機、いわゆるエミュレータ機と呼ばれている端末で、ゲームボーイライクなフォルムやボタンレイアウトが特徴的です。
3.5インチの解像度がVGAのディスプレイでアナログスティックは無し、デュアルカードスロット、3300mAhのバッテリーなどを備えています。
過去に販売されたRG35XXのアップグレード版で、大きな変更はCPUの強化。従来のRG35XXがPS1くらいまでしか遊べなかったのが、PSPやDCくらいまで遊べる性能に変更になり、他にもWifiやBluetoothを追加、そして筐体の変更がいくつかされていて、Plusと言って良い仕上がりになっています。
ちなみにカラーは既存のグレー、新色のホワイトとクリアブラックの3種類。
ANBERNIC RG35XX Plusのスペック
項目 | ANBERNIC RG35XX Plusのスペック |
---|---|
システム | Linux |
対応ゲーム | 移植ゲームと他の30+種類のエミュレータ |
ディスプレイ | 3.5インチ IPS、解像度640×480 |
CPU | H700 quad-core ARM Cortex-A53、1.5GHz |
GPU | dual-core G31 MP2 |
RAM | LPDDR4 1GB |
ストレージ | 16GB TF/MicroSD |
バッテリー | リチウムポリマーバッテリー3300mAh |
インターフェース | Wi-Fi 802.11a/b/g/n/ac, Bluetooth 4.2 |
サイズ | 本体:長さ11.7cm、幅8.1cm、高さ2.2cm |
重量 | 本体:186g |
▲こちらが前モデル。
開封&内容物
では早速開封していきます。今回はメーカーによる提供です。色は透明が好きなのでクリアブラックにしました。
箱はこちら。Miyoo Mini Plusを彷彿とさせる・・・というか色遣いがそのままですね。ペールオレンジ的な色味の下地に線画のプリント。明らかにMiyoo Mini Plusの箱を意識しています。ちなみにRG NANOも同等のデザインですね。
内容物はこちら。USB-Cケーブル、保護ガラスフィルム、クリーナー、説明書、本体です。
最初に保護フィルムを貼ったんですが、どうにもフチが浮いてきてしまい気になるので剥がしました。製品版ではどうなっているのか分かりませんが、ディスプレイ自体がラウンドエッジなのでガラスではないフィルムの方が良いかもしれません。
本体外観
RG35XXとほとんど同じサイズなのに、あれ?こんなに小さかったっけ?と感じました。おそらくそれは所持している35XXがクリアホワイトで、膨張色だったから、そして絶妙にボタン配置のバランスが変わっているんですよね。スタートセレクトが若干下側に寄り、間延び感が少なくなった感じがあり好印象です。
質感としてはサラサラとしたシボ加工のある素地プラスチックの手触り、いつも通りのAnbernic端末という感触です。
ボタンレイアウトは右側にABXY、左側に十字キー、中央下にスタート・セレクトボタン、上にメニューボタンです。右下にフロントスピーカーがあり、初代ゲームボーイライクに斜めの開口となっています。
背面にはR1R2L1L2と並び、商品情報のステッカー、バッテリー蓋があります。
今回のRG35XX Plusではシェルを分解しなくても、プラスネジ一本外せばバッテリー交換することが可能となりました。まぁ交換することはそうそう無いと思いますし、プラスチックの耐久性的にも頻繁に開け締めしないほうが良いとは思いますが・・・。
上側面にはインジケーターとMiniHDMI端子、下側面には充電用のUSB-Cとイヤホンジャックがあります。
左側面にはボリュームボタン、右側面には電源ボタン、リセットボタン、システム用MicroSDスロット、ストレージ用MicroSDスロットがあります。基本的なインターフェイスは変わっていません。
他ハードとの比較
RG35XXとPlusを比べてみたのがこちら。ほとんど変わっていないように見えますが、ABXYボタンがシェルへの印字からボタン印字(削れる心配は無い)へと変更になり、十字キーの作りも角ばったものから若干丸みを帯びたものへと変わりました。
メニューボタンの位置が若干上にあがり、スタートセレクトボタンが若干下にさがり角度が大きくなりました。それに合わせてスピーカー開口の角度も変わっていたり、
ほかで言うと電源ボタンが出っ張りが少なくなったおかげで持ち運び中に誤って電源が付くことが抑えられたり、音量ボタンはフラットだったものから中心がへこんでいるものに変わり、押す場所が分かりやすくなったりと、かなり細かく調整が加えられています。
厚みは若干大きくなっています。RG35XXが20mmだったのに対してPlusは22mm。たかが2mm、パッと見はほとんどわかりませんが実際手にとってみると重量が増えたのもあり、若干大きくなっていると感じます。
おそらくバッテリー容量が2600mAh(初期ロットは2100mAh)→3300mAhに増えたことによるものでしょう。重量も165グラムから186グラムに重く・・・とは言え、RG35XXの2600mAhモデルは実測値で180グラムくらいあるらしいので、2600mAhを持っているユーザーからしたらほとんど変わらないかもしれません。
サイズ感的にはGBP同等です。Miyoo Mini Plusと並べてみると、ボタンレイアウトはかなりMiyoo Mini Plusに寄せたんだなということが分かりますね。
操作感
重量は200グラムも無いので軽いは軽く、疲れにくいことも無さそうですが持ち幅に対しては重めなのでミッチリとしたちょうど良い重量感があります。
同等サイズのMiyoo Mini Plusと比べても持つ部分が大きいので、しっかり握れるのは良いですね。ただおそらくこれは私の持ち方の問題ですが、遊んでいると左側の尖っている方が親指の付け根に刺さる感じがあります。ちなみにこれはRG35XX無印の方から感じていました。
ABXYはツルッとした光沢仕上げのボタンで、指に馴染む感じが良いです。押し心地はいつも通りのラバーの感覚で、硬めでしっかり押せて遊びも少なく安定感のある押し心地、ボタンの戻りも良いです。
十字キーも安定感の有る軸感しっかりめなラバーの押し心地。シーソーも可能です。RG35XXでは斜めに入力が入りやすいものでしたが、それも改善されたような印象です。
ショルダーボタンはBetter Buttonsのような、L1からL2にかけて角度が付いたものになりましたが、感覚としては若干L2R2にアクセスしやすくなったかな?程度です。あまり期待しすぎないほうが良さそう。
仕組みとしても同様なので、押し心地としては低音で鳴るクリック感、遊びが若干ありカチャカチャと動きます。
画面・スピーカー
画面
画面はRG35XXが白っぽくかなり明るい液晶だったのに対して、Plusでは若干輝度が低いように感じました。35XXはジリジリとしてピクセルが粒立った?独特なディスプレイ(おそらく応答速度遅く、残像感がある)でPlusはそれとは違う、一般的な見え方のディスプレイなので別物なのかもしれませんね。
個人的には35XXくらいの輝度が欲しかったですが、まぁ気になるほどの輝度の低さではなく、一般的な画面の明るさではあります。
また液晶にはラウンドエッジ加工されたガラスが採用されていて、ぷっくらと出っ張っています。
スピーカー
スピーカーもアップグレードされています。RG35XXでは高音が強く、キンキンとした耳に刺さる感じの音色でしたが、Plusでは全体的にマイルドになり、バランスの良い音色のスピーカーへと変更になっています。
良い音質・・・というほどでもありませんが、誰でも許容できる音質くらいにはなったんじゃないでしょうか。ちなみに個人的にはレトロゲームをやる上では、無印のスピーカーでもそれはそれで良いとも感じます。まさにレトロゲーム!って感じがして。
使用感
基礎知識・注意点等
本端末はレビュー時点では技適未取得なので「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」を利用し、様々な検証を行っていきます。
エミュレータで遊ぶには
一般的にエミュレータで遊ぶためには以下のものが必要となります。
吸い出し機(ダンパー)
エミュレータを使う際にはゲームイメージの吸い出しを各自行う必要があります。(中華ゲーム機のざっくりとした解説はこちら)
ダンパーには色々ありますが、一台だけでゲームボーイ・ゲームボーイカラー・ゲームボーイアドバンス・メガドライブ・スーファミ・64のゲームイメージとセーブデータの吸い出しが可能なCartridge Reader(レビュー記事はこちら)をおすすめします。
(サイトは英語ですが、日本でも購入可能です)
また少しでも安く済ませたい方はGAMEBANK-web.comのダンパーを必要なハードだけ購入する、PS1等だけを遊びたい!って人はDVDリーダー+PCがあればなんとかなります。
PC(あると快適)
データを管理するのに必要となります。
MicroSD
ゲームイメージ用に推奨。
MicroSDリーダー
MicroSDをPCで読み込むために必要となります。
メニュー画面の構成
本端末はRG35XX同様、Anbernicによる独自OSが搭載されています。Game Roomsがスタンドアロンエミュ?なのか分かりませんが、その隣の見覚えのあるアイコンがRetroarch。
その他にはいつものように、お気に入り、履歴、検索、設定と並びます。
メニュー画面はレイアウト自体はMiyoo Miniライクの横並びですが、いわゆる古き良き中華エミュ機っぽさがただよっていて、ポニョ!ポニョ!と効果音が鳴るものです。エミュの表示・非表示のカスタマイズはできず、壁紙を三種類、アイコンを数種類変えれる程度。
触っているうちになにも表示されなくなり、遊べなくなるといういわゆる原因不明のエミュ機あるあるにも遭遇しました。ファームウェアのストックも無いのでしばらくは何も試せない状態になりましたが、AnbernicさんにOSを送ってもらい、焼き直して再度遊べるように。
メニューボタン、ホットキーの組み合わせなど
メニューボタンはいわゆるメニューボタンとして機能して、スタンドアロンエミュでメニューボタンを押すと独自UIの簡易的なメニュー画面が表示されステートセーブやちょっとした設定が行なえ、Retroarchで起動するとRetroarchのメニュー画面が表示されます。
Retroarch側ではメニューボタンがホットキーになるので、ボタンの組み合わせで様々な事が可能となり便利です。
ゲームをプレイ
思ったより動きが良い
所持しているゲームを一通りプレイしてみましたが、思ったより動くな・・・と思いました。タイトルにはよるしカクツキはあるものの、PSPや64までそこそこ動作してくれるパワフルさ。スーファミなどでのリワインド(巻き戻し)プレイも余裕です。
体感的にはAnbernicのRG353シリーズ、つまりRK3566によりも若干弱いくらいで、かなり近く感じました。実際アナログスティックが無いのでこのあたりを遊ぶのはハード的な意味で厳しめではありますが、このサイズの縦型機で動くのはロマンを感じます。
ちなみにいつも通り、RetroarchとGame Rooms内のエミュは動作感が違うので、ハードによって色々使い分けてみるのが良さそうです。
自動でフレームを付けてくれる
遊ぶにはRetroarchでのプレイの方が様々な点において良いなと感じます。例えばホットキーが使えてボタンの組み合わせでステートセーブ・ロードできたり、フレームが設定済みなので余った黒帯部分にそれっぽい画像を表示してくれます。
これらはある程度設定済みな上、Retroarchに慣れている人であれば自分でカスタムして楽しむことができるので、その意味でも安心です。
Garlic OSの対応に期待
システムも35XXからアップグレードされて色々できるようになった・・・とは言え、やはりGarlicOSの使いやすさはピカイチだと思うので今後対応することによって、更に良いマシンになるんだろうな、という期待しています。
もうGarlicOSやMiyoo MiniのOnionOSが体に馴染み過ぎてしまって、電源を付けたらさっき中断した場所から始まるようなインスタントなプレイを体が求めてしまうんですよね。
一応今回Quick Poweroffという機能が追加されていて、同じく電源ボタンワンクリックで電源オフ、自動中断セーブ・中断ロードができるようになっていまして、近い使い勝手にできるようにはなっています。
感想
ただCPU性能がちょっとあがっただけのマイナーチェンジな端末だと思いきや、CPUは思ったよりしっかりパワフルになっていて心強いですし、
ボタンレイアウトやボタンの形状が絶妙に変更されていたり、十字キーの入力も改善、スピーカーが明らかに良くなっていたり、システムそのものも変更されていて、より良いハードになったなと感じました。
個人的にはディスプレイが変わってしまい輝度が下がったのが残念ではありますが、全体的に見るとかなり良い感じのアップグレードなのではないでしょうか。
今RG35XXとRG35XX Plusどっちを選ぶかと聞かれたら、間違いなくPlusと言える端末です。