とうとう出ましたあのセガコントローラーを彷彿とさせるようなエミュ機RG ARC。
これまで無かった形状、そしてフロントボタンが6つ、そして特殊な十字キー・・・
遊び心地としてはかなり新鮮、かなりチャレンジングなディテールとなっていて、
中華ゲーム機ってのはこういうのだよな・・・ってなりました。
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提供:Anbernic
動画版
スペック&主な特徴
ANBERNIC RG ARCとは
Anbernic RG Arcとは、Anbernic社による横型の携帯ゲーム機、いわゆるエミュレータ機と呼ばれている端末で、セガのゲームパッドオマージュなフォルムやボタンレイアウトが特徴的です。
このゲーム機には、通常版(ARC-D)と廉価版(ARC-S)の2モデルがあります。共通する特徴としては4インチのIPS液晶ディスプレイ(解像度640×480)、3500mAhのバッテリー容量、ステレオスピーカー、そしてRockChip RK3566 のSoCが搭載。
2つのモデルの主な違いはOS(ARC-DはAndroidとLinuxのデュアルブート、ARC-SはLinuxのみ)、RAM(ARC-Dは2GB、ARC-Sは1GB)、メモリー(ARC-Dは追加のeMMC 32GB)、およびタッチスクリーン(ARC-Dにのみ搭載)、そしてカラーです。
ANBERNIC RG ARCのスペック
項目 | ANBERNIC RG ARC-D (通常版) | ANBERNIC RG ARC-S (廉価版) |
---|---|---|
カラー | ブラック/グレー | クリアブラック/クリアブルー |
OS | Android 11、Linux | Linux |
スクリーン | 4.0-インチ IPS全視野角、ゼロ距離 OCA全密着、解像度640×480 | 4.0-インチ IPS全視野角、ゼロ距離 OCA全密着、解像度640×480 |
タッチスクリーン | マルチタッチ | 無し |
CPU | RK3566 Quad-Core 64 bit Cortex-A55、1.8GHz | RK3566 Quad-Core 64 bit Cortex-A55、1.8GHz |
RAM | LPDDR4 2GB | LPDDR4 1GB |
メモリー | 16G TF+eMMC 32GB | 16G TF |
WIFI/Bluetooth | 2.4/5G WIFI 802.11a/b/g/n/ac, Bluetooth 4.2 | 2.4/5G WIFI 802.11a/b/g/n/ac, Bluetooth 4.2 |
ゲーム | Androidゲーム、一部のPC移植ゲーム、その他20種類以上のゲームが対応 | 一部のPC移植ゲームとその他20種類以上のゲームが対応 |
スピーカー | ハイファイ デュアル ステレオ スピーカー | ハイファイ デュアル ステレオ スピーカー |
バッテリー | リチウムポリマーバッテリー、容量3500mAh、6時間持続使用可能; C2C充電対応 | リチウムポリマーバッテリー、容量3500mAh、6時間持続使用可能; C2C充電対応 |
TFカード | 最大512GBまでのデュアルTFカード拡張対応 | 最大512GBまでのデュアルTFカード拡張対応 |
その他の機能 | 内蔵WIFIオンラインペアリング、Bluetoothハンドル機能、HDMI、振動モーター、3.5mmステレオヘッドフォン対応、省エネ設定、輝度ディスプレイなど | 内蔵WIFIオンラインペアリング、Bluetoothハンドル機能、HDMI、振動モーター、3.5mmステレオヘッドフォン対応、省エネ設定、輝度ディスプレイなど |
付属品 | USB充電ケーブル、ボックス、説明書、スクリーンプロテクター | USB充電ケーブル、ボックス、説明書、スクリーンプロテクター |
本体仕様 | 長さ 19.1cm、幅 8cm、高さ 2.2cm、重量 0.242kg | 長さ 19.1cm、幅 8cm、高さ 2.2cm、重量 0.242kg |
開封&内容物
では早速開封していきます。今回はメーカーによる提供です。クリアブルーがよかったのでRG ARC-Sの方を選択しました。
箱はこちら。いつもはシンプルな線画がプリントされた箱ですが、今回は商品写真がカラーでプリントされていて、ちょっとリッチになっています。
あと別売りのケースも同封されていました。ケースはピッタリ寸法+αで収納できるハードケースとなっています。
内容物はこちら。USB-Cケーブル、保護ガラスフィルム、クリーナー、説明書、本体です。
本体外観
まず最初に手にして思ったのが、思ったより大きいな、という感想です。4インチというのも分かっていましたし、なんとなくサイズ感としては想像付いていたはずなんですが、それでもやはり実際に手にしてみると大きく感じます。
しかし案外見かけないクリアブルーのボディは結構濃い目で良いですし、質感はサラサラとしたプラスチック、ビルドクオリティもAnbernicらしく高い、おもちゃっぽいビジュアルではありますが、それも込みでユニークです。
ボタンレイアウトは右側にABCXYZとセガパッドらしい6ボタン配列、上にスタートボタン、下にスピーカー、
左側にはセガパッドライクな十字キー、上にセレクトボタン、下にスピーカーです。
ボタン部分、十字キー部分が楕円形に縁取られていて、その部分だけ光沢のツルッとしたテクスチャになっているのもかなり凝っているディテールで良いなと感じます。
背面は製品情報が書かれたシールが貼られています。バッテリーや基盤がうっすらと透けて見えていますが、つや消しのクリアなのであくまでうっすらと。
上側面には左からL1L2、充電用USB-C、コントローラー等用USB-C、MiniHDMI、ファンクションキー、ボリュームボタン、電源ボタン、R1R2、
下側面には左からリセットボタン、システム用MicroSD、イヤホンジャック、ストレージ用MicroSD
左右側面にはなにもありません
他ハードとの比較
サイズ感を把握してもらうのに一番適していると思うのが既存ハードとの比較。ということで、Switch Liteと並べてみました。Switch Liteほど大きいとは感じませんが、こうして並べてみると縦横寸法はほぼ同等に感じます。
ただ握った印象は大きく違い、大きなカーブとグリップ部分の厚みがあるArcはそこまで大きさを感じさせません。
携帯ゲーム機というよりは、あくまでコントローラーを握っているような感覚に近いですね。
ゲームボーイアドバンスと比べるとこのように、かなり巨大に見えてきますが・・・
本物のセガハード、ゲームギアと並べると小さく見えます。
操作感
重量はガラスフィルム込で257gと、Switch Liteが275gなので結構重めなのかと思いきや、大きいコントローラー部分とグリップにより軽く感じます。長時間使っても疲れにくそうです。
グリップは手にフィットするというよりは、指を引っ掛けるような形状です。
ボタンはABCXYZの6ボタン配置。使ってみた感覚としては、Aが一番下にあるので、XBOX配列のボタンにCとZが追加されているような感覚です。というか流れ的には逆だとは思いますが・・・。
なので決定ボタンも一番下のA、キャンセルはその隣のBです。
押し心地的には硬めでしっかり押せて、遊びも少なく安定感のある押し心地、ボタンの戻りも良いです。ABCと比べてXYZのボタンサイズが若干小さくなっているのも忠実再現ですね。
十字キーもかなり特殊で、アナログスティックのような、宙に浮いた形状のものとなっています。こちらもセガのコントローラーを再現した仕様で、かなり不思議です。
操作感としては十字キーとアナログスティックの中間のような押し心地で、しっかりとメンブレンスイッチで押している感覚はあるものの、指の平全体でまわしてぐるぐると回転させやすい仕様です。よくわかんね・・・普通の十字キーの方が良くね?と思っていましたが、実際に使ってみるとアクションゲームであれば通常の十字キーよりも操作しやすく感じます。
ただアナログスティックは無いので、アナログスティックが必要になってくるゲームは遊びにくいですね。
ショルダーボタンはカチカチとしたものではなく、メンブレンスイッチで柔らかめ。音が気になりにくくて良いですね。
画面・スピーカー
ディスプレイはガラス部分が珍しくラウンドエッジ加工のものとなっているので、付属のガラスフィルムを貼るとぴったり寸法にはならず、若干内側にオフセットされた状態になるのが若干残念なポイントです。
ただベゼルの厚みは程よく、4インチの画面サイズは大きめで良い感じです。もう少し解像度が高ければとは思いますが、明るく視野角良好でレトロゲームを遊ぶ上では良いと感じます。
スピーカー
スピーカーは画面左右にステレオスピーカーがついているので、音がダイレクトに伝わって良いです。音質はそこまで良くなく、若干こもり気味ではあるものの、気になるほどのものではありません。
使い方
基礎知識・注意点等
本端末はレビュー時点では技適未取得なので「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」を利用し、様々な検証を行っていきます。
エミュレータで遊ぶには
一般的にエミュレータで遊ぶためには以下のものが必要となります。
吸い出し機(ダンパー)
エミュレータを使う際にはゲームイメージの吸い出しを各自行う必要があります。(中華ゲーム機のざっくりとした解説はこちら)
ダンパーには色々ありますが、一台だけでゲームボーイ・ゲームボーイカラー・ゲームボーイアドバンス・メガドライブ・スーファミ・64のゲームイメージとセーブデータの吸い出しが可能なCartridge Reader(レビュー記事はこちら)をおすすめします。
(サイトは英語ですが、日本でも購入可能です)
また少しでも安く済ませたい方はGAMEBANK-web.comのダンパーを必要なハードだけ購入する、PS1等だけを遊びたい!って人はDVDリーダー+PCがあればなんとかなります。
PC(あると快適)
データを管理するのに必要となります。
MicroSD
ゲームイメージ用に推奨。
MicroSDリーダー
MicroSDをPCで読み込むために必要となります。
デフォルトのメニュー画面
本端末はAnbernicによる独自OSが搭載されています。独自と言っても、いわゆるEmulation Station + Retroarchがメインの構成ではありますが、若干アレンジされていて、Miyoo Miniを意識したかのようなメニュー構成になっています。
RetroArchによるゲームの起動、スタンドアロンエミュレータによるゲームの起動の二種類に振り分けられていて、それを開くとハードが一覧で表示されて・・・という形式です。
メニュー画面としては若干重たく、まだ未完成なのかな・・・と感じます。
ファンクションキーが遠い
ファンクションキーを押すとメニュー画面が開くのですが、正直位置としてはあまり良くないかなと感じます。サイズが大きいだけあり、握っている手を話して画面上部にアクセスしないといけないため、カジュアルさが少し物足りないかなと。
ホットキーを別のボタンに割り当ててしまうのもありかなとは思いますが、それはそれで既存のファンクションキーが死んでしまうのでどうかな・・・と悩みます。
ゲームをプレイ
一通りゲームをプレイしてみました。今回もこれまで同様のチップセットRK3566を採用したハードなので、動作的にはAnbernicのRG353シリーズあたりと大差ありません。
なので気付いた点などを挙げていきたいと思います。
自動でフレームを付けてくれる
このハードに限らずではありますが、最近のFWは自動でフレームを付けてくれることが多いです。フレームというのは、例えばゲームボーイで正しいアスペクト比に表示した際に余る部分に、なんだかそれっぽい画像を表示してくれる、という感じ。
自力で設定することもできそうですが、自動で表示されるのは有り難いです。
サターンは厳し目
このハードを見た瞬間に、サターンは遊べるのか、という意見が多くありました。実際少ないながらも所有しているサターンのソフトを試してみた所、正直厳しいです。もっとパワフルであれば性能で動かすことができますが、サターンはエミュレータ的に少し重めなので動いても遊んでいる途中で落ちたりすることが多く、がっつり遊ぶのは厳しいかなと感じました。
格ゲーに適したボタン
そして私はほとんど格ゲーをやらないのであまり参考にはなりませんが、格ゲー的な入力がしやすい十字キー、ボタンになっていると思います。しかし実際純粋な十字キー、もしくはアナログスティックと比べてどのくらい快適なのかは正直分かりません。
64が意外にも良い感じ
意外と64が良い感じでは?と感じました。というのも、アナログスティックは無いのでそこはこの十字キーで代用しなければいけませんが、
64のコントローラーはよくよく考えてみるとABボタンの隣にCボタンがあるんですよね。なので実質6ボタンで、Cボタンにアイテムが割り当てられるゼルダなど、案外活用されているゲームも多いので遊びやすいかも?と思いました。
スタンドアロンエミュで動かせばそこそこ普通に遊べるので、結構アリな感じがしました。
感想
サイズ的にはもう少し小さければよかったのにな・・・とは思うものの、6ボタンの新鮮さと十字キーの操作性の良さが光るハードだなと思います。
アナログスティックは無いので、デュアルアナログスティックでどうこう遊ぶプレステのサルゲッチュのようなゲームは厳しいですが、そうで無い限りはこの特殊な十字キーがアナログスティックの代わりを担ってくれますし、
操作感としても十字キーとアナログスティックの中間のような使い勝手が結構良いと思います。
サターンを遊ぶには性能不足という点が残念ではありますが、レトロゲームを遊ぶための新しいハードとしてはかなり新鮮な遊び心地だと感じました。