液晶タブレットってありますよね。PCに繋げてディスプレイに直接書き込むあれです。
あれなどをメインで出しているXP Penというメーカーがあるんですが、そこがAndroidタブレットを出しました。しかもイラストデバイス的な想定というよりは、デジタルノート的な想定で、ちょっと特殊で面白そうだなと思い、レビュー依頼を受けることとしました。
もちろんイラスト用途でも活用できそうですし、ユニークな独自機能が沢山詰まっており、デザインも質感もよく、面白いデバイスです。
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スペック&主な特徴
XP Pen Magic Note Padとは
Magic Note PadはXP Penによるタブレットで、世界初の3-in-1カラー対応、クリエイターやビジネス、学術関係者向けに設計されたかなり独特なデバイスです。
業界最高水準の16,384段階の筆圧感知に対応したX3 Pro Pencil 2スタイラスや、多機能なXP Pen Notesアプリが付属し、デジタルノート作業を効率化できる機能が搭載されています。
基本的にはAndroidタブレットなので、Google Playストアから自由にアプリを追加してカスタマイズ可能。
システムはAndroid14で、SoCにはミドルクラスのMT8781を搭載、RAMは6GB、ストレージは128GB、ディスプレイは10.95インチの1920×1200ピクセルでリフレッシュレート90Hz対応。
バッテリー容量は8,000mAh、重量は495グラム。
開封&内容物
では早速開封していきます。今回はレビューサンプルとなり、製品版とは仕様が異なる可能性がありますのでご了承ください。

箱はこちら。ダンボール風の箱に見えますが、厚手のボール紙のようなガッチリとした素材です。いわゆる高級感のある作りではないですが、こだわりを感じるデザインです。

内容物はこちら。USB-C to USB-Cケーブル、電源アダプター、スタイラスペン、替え芯とプラー、説明書類、専用カバー、本体です。説明書は日本語での記載あり。
本体外観

正直、レビュー依頼が来た時はスペックから価格から何まで情報が開示されておらず、ほとんど何も分かりませんでした。なので本当に何も知らない状態で開封したんですが、まず普通に質感が良すぎて驚きました。お世辞抜きで、Apple製品と並べていても違和感ない。

全面がガラス筐体とかではないんですが、かなり質感が良くてミニマル。背面にはカメラの突起が無い、というよりカメラ自体がありません。それらのおかげでより一層スタイリッシュに仕上がっている印象です。
おもむろに金属筐体にすればいいんじゃ無いんだなぁと思いました。ちなみにこれは触ってみた感じなので多分ですが、ペンの吸着部分は金属、側面はシルバーですが冷たくないのでプラスチック、背面はサラサラしているものの若干ラメっぽくキラキラしていてガラスっぽいですね。

こちらは専用のスタイラスペン。EMR方式なのでバッテリー非搭載、軽量です。

それぞれ何が備わっているのか、横持ちを基準に上下左右として見ていきます。
上側面には左にボリュームボタン、下側面には何もありません。

左側面には電源ボタン、X-Paper key、スピーカー。小さな穴はマイクです。
右側面にはスピーカー、USB-C。
インターフェイスは超スッキリですね。イヤホンジャックやMicro SDスロットはありません。
専用カバー

付属の専用カバーはしっとりとした素材のもの。いわゆるiPadの純正カバースマートフォリオライクに、マグネットで吸着して保護できるタイプです。磁力はしっかりしています。

マグネットなのでカバーの着脱は容易、厚みも抑えられ、本体の質感も十分に体感できて、カバー開閉でスリープのオンオフができて、裏返しても吸着されるのでカバー付けたままでも使いやすくて、スタイラスペンもつけた状態で保護できて、持ち運び時にペンをなくす心配もありません。良い純正ケースが付属してくるのはかなりありがたいなと思います。お得。
ちょっとした気になる点を言うとすると、色が地味だなーって思うのと、ケース付きだと結構重いんですよね。測ってみると、ケース込みの重量は744グラムでした。結構ある。仕方ないんですけどね。約11インチだし。
画面・スピーカー
画面

ディスプレイは約11インチでWUXGA、FHDの短手を大きくしたものです。数字自体は一般的な仕様・スペックですが、かなり特殊です。
と言うのもX-PaperディスプレイというXP Penが開発した特殊なディスプレイを採用していて、いくつか特徴があるのですが、まず目に入るのが特殊なアンチグレアナノエッチング加工。
いわゆるアンチグレアフィルム的な反射低減ディスプレイにデフォルトの状態になっていて、上品な見え方、さらにその上紙のような滑らかな書き心地を実現しています。
これがかなり良く、反射防止という側面だけでなく、滑らかで独特なタッチの感触も気持ち良いです。リフレッシュレートも90Hzなのでヌルヌル。しかしまぁ、反射防止ならではの滲み感みたいなのはあるので、好きじゃない人には合わないかも。
あと気になる点を言うと、これの上にフィルムを貼ってしまうと全くこのディスプレイを活かせなくなってしまうのでなるべくそのまま使いたいですが、そのまま使ってスタイラスペンで書き込んだりすることを考えると、果たして傷は大丈夫なのだろうか…という事ですね。しかしまぁこればかりは長期的に、しかも頻繁に使ってみないとなんとも。
そしてかなり特徴的な機能のマルチカラー表示に関しては後ほど説明します。ちなみに届いて使用するまでは、カラーE-Inkかと勘違いしていました。

ベゼル厚みはやや大きめ。しかしスタイラスペン置き場?とシルバーの縁取りにより、なんとなくスマートな印象です。本体厚みも7mm程度と薄めなので、プロポーション的には悪くありません。
ディスプレイ輝度は400nitsとのことで標準的、十分に感じます。
スピーカー
スピーカーは左右に1基ずつあるステレオスピーカー。音質に関してもクリアで悪くないクオリティだと思います。
Apple製品に比べると低音が少し弱く軽い感じの音ですが、耳に刺さるような感じもありませんし、個人的にはこのくらいの音が出せれば動画視聴用途にも十分なスピーカーだと感じました。
使用感
持ち手兼ペン置き部分は悪くない

まず使ってみて思うのが、持ち手があるのはなんやかんや使いやすいなって点です。片手で長時間使うのは結構きついなとは思うんですが、しっかり掴める場所があって、片手で持って、もう片手でペンを使うなり操作するなりの余力ができると言いますか、理にかなってるなと思います。
ただ、そこまでペンを多用する人でない場合には、ちょっとペンが邪魔だなって思ってしまうかもしれません。どうしても持ち手部分を握りたくなるものの、そこにはペンをくっつけておきたいので、うーんみたいな。もちろん磁力は強いので、簡単に外れることはないんですけどね。
ペンも使えたら良いな〜くらいの人は潔く普通のタブレットを買った方が良さそう。これで使う場合には、もう基本操作、ブラウジングなどもペンで行うくらいの勢いがあった方がいいのかもしれません。できるので。
指紋認証非対応・顔認証対応
指紋センサーは非搭載ですが、フロントカメラがあるので顔認証には対応しています。認証速度も速いです。セキュリティ的に安心して使えて良いですね。
Widevine L1
WidevineはL1なので配信サービスのFHD視聴はできます。意外とできなかったりすることがあるのでありがたい。
ベンチマーク
本機のチップセットはMT8781。MediaTekの全然知らないチップなのでAnTuTuベンチマークを測ってみると
総合スコア 355395
CPU 120712
GPU 64616
総合スコアが約35万、CPUが12万、GPU6万でした。
数値的には必要最低限くらいの性能。ペンタブ的な機能に特化させたデバイス、総合的に判断するとなのでこれでも価格は抑えれているような気はしますが、もうちょっとだけ性能は欲しい気はしますね。っていうか毎度おなじみG99でした
バッテリー持ち
バッテリーの持続時間を測るためPC Markで計測してみたところ、100%から20%までで15時間21分でした。
使い勝手
性能的には問題なく使えてゲームなど遊ぶのでないのあれば十分な気はします。リフレッシュレートも90Hz対応なので設定すればヌルヌル、快適です。マルチタスクで動かそうとすると若干カクつく事があるような、くらいの感じです。
OSは若干タブレット操作に調整されたものになっていて、デフォルトのホームランチャーもちょっと独自っぽかったり、設定メニューも並びが違ったりと変わっています。
がしかし基本的には通常のAndroidと同じように使えます。
スタイラスペン

書き心地はいわゆるタブレットにタッチペンで書き込んでいるのではなく、マジでペンタブの描き心地です。液タブは持っていないので正確な比較はできませんが、XP Penのペンタブは持っていてたまに使っていたので実感として、タッチペンの感触と、ディスプレイに当たる感触が近いと感じます。
実際ペン先もApple Pencilの鉛筆型とは違い、こちらではいわゆるペンタブで多く採用されている、先がかなり細くて当たると若干動きがあるもの。
パームリジェクションも実装されています、というかそもそもペンを近付けると指でのタッチ操作が効かなくなるので誤作動も起きないようになっていますし、ペン先の手ブレ、いわゆるジッターもかなり起きにくく、遅延も少なく、普通に描きやすいように思います。絵描きにも良いのでは、と思いますが、私が絵描きではないので無闇におすすめはできません。
正直、タブレットにおける描き心地の良さ、遅延の無さという面ではiPad + Apple Pencilが圧倒的王者として君臨していると思うんですが、それにしてもこちらの端末はかなり健闘してますし、何より圧倒的に優れているポイント、ペンが充電やBluetooth接続不要で使えるのがね、本当に良いですね。あとAndroidなのでデータのやり取りも楽。
他にもペンのボタンを押してスクショ&書き込みを即時行えるシステムが採用されたりしていて、デジタルノートとして頑張って作ろうとしている感じが評価できます。ちなみにボタンの機能割り当てを変更することも可能です。
一つだけ気になる点を言うと、専用カバーにはスタンド機能がないので、液タブのように角度を付けれるスタンドになればもっと使い勝手良くて最高だったなって思います。スタイラスペン保護部分によって若干の角度は付きますが。
専用ショートカット

あと他にも独自機能、ショートカットがあります。たまにAndroidスマホでも採用されているフローティングボタンがデフォルトで設定されていて、即時ノートを立ち上げたりスクショ撮ったりする事ができるようになっています。
マルチカラー表示

そして最大の不思議な機能、マルチカラー表示です。これはディスプレイの色味を全て変更できるシステムで、
ネイチャーカラーモードは標準的な液晶ディスプレイ表示、ライトカラーモードは若干淡い、というか赤みがかった目に優しい感じの色味、そしてインクペーパーモードがなんとなくE-Inkっぽい雰囲気になるモノクロ表示です。
面白いなーと思う機能ではありますが、実際これはあくまで画面の色味を変えてるだけ。確かに読書とか文章読む際に目の負担を低減させる意味では良さそうですけど、そこまで活用するかな…?という疑問はちょっとあります。いや、めちゃくちゃ面白くて好きなんですけどね。
感想
本当にぶっちゃけて言うと、本気でイラスト制作をしたい方や、ビジネスなどで本格的にデジタルノートを活用したい方で、まだApple Pencilを体験したことがないなら、多少無理をしてでも一度iPadとApple Pencilを試してみる価値はあると思います。
これは決してiPadの方がMagic Note Padより優れているという意味ではなく、iPadとApple Pencilの方が世の中で広く評価されていて、ユーザー数も多く、使い方のノウハウや情報が豊富だからです。
ただ、実際に私はiPadとApple Pencilを所有しており、Magic Note Padと使い比べてみても、Magic Note Padは十分に健闘していると感じます。特にペン(X3 Pro Pencil)がEMR方式で、充電やBluetoothペアリングが一切必要ない点は圧倒的なメリットです。
使おうと思った時に限ってペンの充電が切れている…というトラブルが原理的に起こらないため、ストレスなく使えます。また個人的には、Android端末ならではの「PCに接続するだけで簡単にファイル管理できる」手軽さも魅力的に感じています。
さらに、一般的な液晶タブレットはPCに繋げて使うことが前提ですが、Magic Note Padは完全に独立したAndroidタブレットでありながら、液タブに近い書き心地を提供しています。このタイプの製品はまだ珍しく、「ノート用途にもイラスト用途にも本気で使える独立型タブレット」を求めていた人にとっては、刺さる製品になるのではないでしょうか。