徹底的にデザイン一本で勝負したAYANEO Pocket Sというものがありまして、個人的にもかなり気に入っているんですがそれをアップグレードさせた最新モデルAYANEO Pocket S2が登場しました。
デザインの印象はそのまま、僅かに大きく、そして僅かに持ちやすく再設計されたモデル。
どのような点が変わったのか、発熱は?スピーカーは?など、使いながら隅々まで見ていきます。
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価格は最安の12GB/256GBモデルが先行割引価格で79,200円、通常価格は88,000円。
動画版
スペック&主な特徴
AYANEO Pocket S2とは
AYANEO Pocket S2は、Snapdragon G3 Gen 3を搭載した、AYANEO製のAndroidベースのフラッグシップ携帯ゲーム機です。前モデルから進化を遂げ、より高性能・高質感なゲーム体験を提供する「全部入り」の1台として登場しました。
ディスプレイは6.3インチの2560×1440解像度IPS液晶で、sRGB 120%・DCI-P3 90%に対応。最大600ニトの高輝度と狭額縁ガラスデザインにより、屋内外問わず高い視認性と没入感を実現しています。
SoCにはQualcomm製のSnapdragon G3 Gen 3を採用し、メモリは最大16GB LPDDR5X、ストレージは最大1TB UFS 4.0に対応。Android OSをベースにした「AYASpace」でゲーム管理やTDP制御、キーマッピングが可能です。
操作面ではTMR電磁式スティック、ホールセンサー式トリガー、フィルムマイクロスイッチボタン、ジャイロセンサー、デュアルX軸リニアモーターを搭載。ProモデルではD-padの交換も可能で、レトロゲームからFPSまで幅広いジャンルに対応します。
冷却は銅板+放熱フィンによる大型エアフロー設計で、最大20WのTDPでも安定したパフォーマンスを維持。バッテリーは通常版が8,000mAh、Pro版は10,000mAhを搭載し、最大60WのPD急速充電にも対応しています。
接続面ではUSB 3.2 Gen2(DP1.4映像出力対応)、microSDスロット、3.5mmイヤホンジャック、Wi-Fi 7、Bluetooth 5.3を備え、拡張性も抜群。
カラーは「オブシディアンブラック」「アイスソウルホワイト」「レトロパワー」。
開封&内容物
では開封していきます。今回はレビューサンプルとなり、製品版とは仕様が異なる可能性がありますのでご了承ください。

箱はこちら。グラフィカルでしっかりとした高級な箱です。

内容物はこちら。説明書類、USB-Cケーブル、交換用の方向キー、本体です。
本体外観
ファーストインプレッション

今回紹介するのはGBライクなレトロパワーカラー。モデルはS2 Proの16GB/1TB、最大スペックモデルです。
白黒はシンプルな統一されたカラー配色であるのに対して、レトロパワーは割と色使いが豊富です。ベージュっぽい色味のボディと側面の鈍く光る金属、そして赤いボタン。これまでのAYANEO製品で採用されてきたレトロパワー製品と同じデザインコードな印象です。
Pocket Sからサイズアップしたので、大きすぎる感じに感じるんじゃないかなと不安を持っていたのですが、実際に手にしてみると、確かに大きくはなったが、不思議と違和感のないバランスとなっています。もともとこれくらいだったような・・・?みたいな。
画面サイズだけでなく側面の形状や厚み、重量など全体的に大きくなっているのですが、バランスよく少しずつアップしているような印象です。
ボタンレイアウト・インターフェイス

ボタンレイアウトは
右側にABXYボタン、アナログスティック、AYA Spaceボタン、=ボタン。
左側にモードボタン、アナログスティック、方向キー、ビューボタンとメニューボタン。
基本的な構成はPocket Sから変わっていません。XBOX準拠のABXYやメニューボタンとなっています。
方向キーは十字ではなく円形となっていますが、S2 Proでは交換可能で、S2では交換不可能なクリアボタンとなっています。正直、好みとしてはクリアボタン・クリア十字キーの方がリッチでラグジュアリーに見えて好きです。

本機にはファンがついていて、しっかり冷やすことができます。背面中央にあるのが吸気口で、上部にあるのが排気口。

上側面には左からLB/LT、LC、ボリュームボタン、電源ボタン、RC、RB/RT
下側面には左右にスピーカーがあり、MicroSD、イヤホンジャック、USB Type-C。
Pocket Sではなかったイヤホンジャックが搭載されていますね。

左側面には何もなし、右側面にはターボボタンがついています。
側面は変わらず金属製ですが、Pocket Sではかなりソリッドな角張った感じだったのが、S2では丸みを帯びています。
他ハードとの比較

ではPocket Sと並べてみましょう。画面サイズが6インチ⇢6.3インチへと変わっていてもそれほど体感変わらない印象でしたが、こうして並んでみると確かに大きくなりましたね。
あとはイメージ画像の時点で思っていましたが、スティックの小ささと位置がかなり独特に見えます。左スティックはかなり外側になり、指が干渉しにくく操作性を優先しているように見えます。
また、ターボがスイッチではなくボタンになっていたり、ショルダーボタンの形状が変わったりしていますが、やはり一番大きく変わったなと感じるのは側面のフォルム。丸みを帯びただけでかなり手に馴染むような感じがあります。
あと厚みも大きくなったので気になりますが、持ちやすさや排熱にもつながっていると思うのでなんとも。

Switch2と比べたのがこちら。Switch2、でかい。寸法的にはSwitch1が一番近いですかね。
操作感

重量は実測値で446グラムと結構重め。Switch有機ELモデルが420グラムなので、だいたい同じくらいですね。ずっしり重量感があります。重量バランスに関しては悪くなく、持ちやすく感じます。Pocket Sでは約350グラムだったので結構重くなっているはずですが、そこまで重くなったとは感じません。
ボタンレイアウト的にはなるべく上側に詰まっていて、指がショルダーボタンの出っ張りに引っかかるような形状にもなっています。フォルム的にもSwitchに近いように感じます。

ABXYボタンは若干丸みを帯びた形状で、遊び少なめ。しっかりとした軽めのラバーの押し心地。十分な感触ではありますが、他のAYANEO製品と比べてもパチパチと音が鳴る感じがあります。
ファンクションボタン類はプチプチとしたタクトスイッチです。ボタン自体がかなり小さめでほぼ無音。硬さもちょうど良く押しやすく、チープで安っぽい感触や音ではありません。
2つのボタンが一体になった形状ではありますが、それぞれ独立したボタンのように押すことができます。。

方向キーはどうせならと思い十字ではなく円形のものを使っています。着脱は付属のプラーを使って取り外す仕様。
感触はAYANEOにしては珍しくラバーではなくドームスイッチのプチプチ感。シーソーも可能で、入力は良好に感じます。
アナログスティックはホールセンサーでもなくTMRの最新のスティックで、中央が凹んだもの、というかフラットよりな形で、Joy-Conや一般的なハードとは違った形状、倒れ角度が大きめです。過去のRetroid Pocket 4/ProやOdin2と似たようで若干違う小さめなトップ。こちらの方がラバー感が強くて滑りにくいように感じます。Pocket ACEと同じものですね。
正直スティックトップは本体サイズの割に見た目も操作感も小さすぎる気がするので、スティックカバーを装着してプレイするのが良さそうです。

ショルダーボタンはLB/RBとLC/RCはカチカチとしたタクト。感触は良いです。
LTRTはストロークの長いアナログトリガー。
画面・スピーカー
画面サイズ・解像度

本モデルのディスプレイの画面サイズは6.3インチの解像度は2560×1440、アスペクト比は16:9比率。
ディスプレイ解像度は高く、これまでにない絶妙なサイズ感で、6インチよりもなんとなく大きい感じが良い印象です。
ベゼル
ベゼルはかなり小さく、見え方として気持ち良いです。全面ガラスなのも相まって、高級感を強く感じさせてくれます。
明るさ・発色
有機ELではなく液晶ですが綺麗です。最大600nitsのでかい輝度、発色も文句なし、良いディスプレイだと思います。明るい。
スピーカー
スピーカーは下側面のステレオ、手にはもちろん干渉しませんが、ダイレクトに耳に伝わるフロントスピーカーがよかったなとは思います。サイズも大きくなりましたしね。
音質はPocket Sより向上していて、低音がもっと出るようになり、ダイナミックさが増しました。Pocket Sでは明らかに音質が物足りなかったので、十分なラインを超えたように感じます。しかし音色としては同じような雰囲気で、好みの問題もあるとは思いますが特別音質が良いとは感じませんので、過度な期待は禁物です。
使用感
では機能周りについて紹介していきます。
メニュー画面

メニューランチャーはAYA Homeという独自のものが初期搭載されています。Switchのように横並びでアプリを並べられて、下に行くことでアプリ一覧を見れるシンプルなデザイン。コントローラー対応しているので使いやすいです。
気に入らなければ、もちろん通常のAndroid用ホームランチャーアプリを使うことも可能です。
Android用のAYA Spaceというアプリもプリインストールされています。こちらは設定することでいわゆるエミュ機のように使えるフロントエンドアプリです。が、Pegasusフロントエンドの設定、もしくはEmulation Stationの設定を持ってきたりしなければならないので多少手間が多く、初心者向けではないと感じます。
AYAボタンによる独自機能

AYAボタンを押すことで、横から簡易メニュー画面のようなものが現れ、パフォーマンスやファンの設定、コントローラ設定、明るさなどなど、さまざまな設定をすることができて便利です。
Android版原神も最近やっとコントローラー対応しましたが、コントローラー対応してないアプリでもコントローラーで遊べるように、タッチパネル操作をコントローラーに割り当てる機能が搭載されていて、それの設定もここでできます。他にも、特定のボタン割り当ての変更なども可能。
AYANEO Pocketシリーズ共通の仕様ですね。よく使うのは画面明るさ、スクショ、パフォーマンスモードの変更くらいでしょうか。
AnTuTuベンチマーク結果
AnTuTuベンチマークV10は
総合スコア 2179301
CPU 474888
GPU 946446
総合217万、CPU47万、GPU94万となりました。
チップセット自体はPocket Sと同じゲーミングハード用のラインで、それの最新版です。スマホゲームを遊ぶのにしても十分な性能だと感じます。エミュレータも大体のゲームは動かせると考えて良いでしょう。
ちなみにスコアは全てパフォーマンスMaxモードのスコアです。通常モードではもう少し控えめになるかもしれません。
ゲームをプレイ

パワーもあるおかげでゼンゼロもコントローラー対応で動作にも問題なく遊べています。UI周りも文字が潰れることなどはなく見ることができて普通に快適です。
エミュレータで遊んでも快適で、どのようなハードも問わず携帯機で遊びたい人にとっては非常に良い選択肢だと思います。性能的にもPS2やGCなど、ヘヴィなハードを遊べるくらいのパワーはあります。
エミュレータで遊ぶには
エミュレータで遊ぶためには原則以下のものが必要となります。
吸い出し機(ダンパー)
エミュレータを使う際にはゲームイメージの吸い出しを各自行う必要があります。(中華ゲーム機のざっくりとした解説はこちら)
ダンパーには色々ありますが、一台だけでゲームボーイ・ゲームボーイカラー・ゲームボーイアドバンス・メガドライブ・スーファミ・64のゲームイメージとセーブデータの吸い出しが可能なCartridge Reader(レビュー記事はこちら)をおすすめします。
また少しでも安く済ませたい方はGAMEBANK-web.comのダンパーを必要なハードだけ購入する、PS1、PS2等だけを遊びたい!って人はDVDリーダー+PCがあればなんとかなります。
PC(あると快適)
データを管理するのに必要となります。有ったほうが間違いなく便利ですが、Androidスマホと同じなので、無くても頑張れば使えます。
MicroSD
ゲームイメージ用に推奨。PS2とかを遊ぶ場合では512GBくらいあっても良いかと。

MicroSDリーダー
MicroSDをPCで読み込むために必要となります。

ファンの音・熱
ファンの音はMAXにすると高い風切り音が大きくはなります。結構大きめで、正直MAXであまり遊びたくないなと思う程度には大きいです。ほぼ動かないようにもできますし、調整は効くので、発熱や遊ぶゲームとの調整次第といった感じでしょうか。
発熱は高負荷のゲームを遊ぶと側面の金属部分が暖かくなります。伝導率の問題でしょうか。それ以外はファンも強く回る分、抑えられているような印象です。
感想

ビジュアル・サイズ感的な好みで言うと、よりソリッドで角張り、より小さいPocket Sの方が好きなんですが、それ以外はPocket S2って思えるほどに満遍なくアップグレードされている感じが良いです。
印象としてはそこまで大きく変わらないのが、逆に驚きでした。正直もっとデカっ!となると思っていたので、Pocket Sで良いと感じていた部分をうまく継承しながら、握り辛さやスピーカー、バッテリー持ちなどを改善させたような印象です。あともちろんチップ性能もアップですね。