ポータブルゲーミングPCって、ポータブルって言う割にはどれもSwitch以上のサイズ感で大きかったり、重量が500g超えでかなり重かったりしますよね。
そういったニーズに答えたのがAYANEOのAIRシリーズ。
縦横の寸法はスイッチライトくらい小柄で、重量も450gに抑えられています。数々ある中でもかなり小さめで軽量な部類のWindowsゲーム機。
そしてそのAIRがなんと今ホットなRyzen 7 7840Uを搭載し、更に使いやすくなって帰ってきました。
AYANEOならではのビルドクオリティ・質感・デザイン力の高さ、そしてシリーズの中でも個人的にはかなり刺さっているAYANEO AIRなので、評価高めになってしまうかもしれませんが、なるべくフラットに評価することを心がけます
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スペック&主な特徴
AYANEO AIR 1Sとは
AYANEO AIR 1SはAYNEO社によるWindows携帯ゲーム機で、過去に販売されてきたAYANEO AIRシリーズのアップグレードモデルのような立ち位置です。
最大の特徴は小ささ、薄さ、軽量さで、他のWindows携帯ゲーム機と比較しても類を見ない特徴を備えています。
具体的に言うと、現在市場で一番人気があるASUSのROG Allyなどは7インチでSwitch有機EL版よりもかなり大きめのサイズ感で約600g、それに対して5.5インチでSwitch Liteよりも少し大きめのサイズ感、そして450gです。
AYANEO AIR 1Sのスペック
項目 | AYANEO AIR 1S | LITE | STANDARD | PRO | PRO ADVANCE |
---|---|---|---|---|---|
CPU | AMD Ryzen™ 7 7840U | AMD Ryzen™ 5 5560U | AMD Ryzen™ 5 5560U | AMD Ryzen™ 7 5825U | AMD Ryzen™ 7 5825U |
GPU | AMD Radeon™ Graphics | AMD Radeon™ Graphics | AMD Radeon™ Graphics | AMD Radeon™ Graphics | AMD Radeon™ Graphics |
メモリ | 16GB/32GB LPDDR4x | 16GB LPDDR4x | 16GB LPDDR4x | 16GB LPDDR4x | 16GB LPDDR4x |
ストレージ | 最大4TB | 512GB SSD | 512GB SSD | 1TB SSD | 1TB SSD |
サイズ | 約224×89.5×21.6mm | 約224×89.5x26mm / 最薄部:約17mm | 約224×89.5x26mm / 最薄部:約18mm | 約224×89.5×29.6mm / 最薄部:約21.6mm | 約224×89.5×29.6mm / 最薄部:約21.6mm |
本体重量 | 約450g | 約398g | 約398g | 約440g | 約440g |
ディスプレイ | 5.5インチ AMOLED | 5.5インチ AMOLED | 5.5インチ AMOLED | 5.5インチ AMOLED | 5.5インチ AMOLED |
解像度 | 404 PPI, FHD | 404 PPI, FHD | 404 PPI, FHD | 404 PPI, FHD | 404 PPI, FHD |
バッテリー容量 | 10050mAh 38Wh | 7350mAh 28Wh | 7350mAh 28Wh | 10050mAh 38Wh | 10050mAh 38Wh |
過去に販売されたAIRシリーズと比較してみました。基本的にはAIR PRO(ADVANCE)と同様の寸法、バッテリー容量で、5.5インチ1080Pの有機ELディスプレイが特徴的な端末。
CPUがRyzen 7 7840Uにアップグレードされ、しっかりとAAAタイトルのゲームまでがサポート、それに合わせて4TBまでの大容量モデルが展開されるようになったのが特徴です。
開封&内容物
では早速開封していきます。今回AYANEOさんよりサンプルを頂き、製品版との違いが有るかもしれませんがご了承ください。
▲箱はこちら。箱のサイズ感、デザインは前作のAYANEO AIRと同等で、かなり大きめのボリューミーな箱です。
▲中にはピッタリと切り抜かれたクッションに本体、充電器などが収納されていて、しっかりと保護されていました。
内容物はこちら。USB-Cケーブル、USB-A to USB-C変換アダプタ2個、電源プラグ変換アダプタ三種、説明書類です。充電はそのままで可能なので、電源プラグ変換アダプタは日本では使用しません。
本体外観
レトロパワーのカラーリングが上品
▲質感はつや消しのサラッとした上品なプラスチックで、ビルドクオリティの高さ、ディテールの良さが際立っています。
本端末はレトロパワーと呼ばれるカラーリングで、まさに初代ゲームボーイのようなレトロモチーフな色が特徴的です。赤みがかったグレーのボディに差し色の赤の組み合わせで、派手でヴィヴィッドな色味ではなくかなり落ち着いた雰囲気です。
▲ベースカラーは全体的にグレーでありながらも、ショルダーボタンは緑がかったグレー、ファンクションキーなどはシンプルなグレーと、かなり多様に色が使われています。
バランスは見事
▲コントローラーは右側にXBOX配置のABXYボタン、アナログスティック、AYAボタン、=ボタン。
左側にアナログスティック、十字キー、ビューボタンとメニューボタン。
こちら2つはXBOXコントローラーのスタートボタン、セレクトボタンのようなものです。
ニンテンドースイッチのようなボタン配置でありながらも、操作性を考慮してメインのボタンやスティックをやや上寄りにして、なおかつバランスよく見えるボタン配置は見事です。
▲背面は大きくファンの給気口がありますが、こちらもグラデーショナルな開口となっていて美しいです。
▲上側面には左からLB・LTボタン、LCボタン、排気口、USB-C端子、ボリュームボタン、電源ボタン兼指紋センサー、RCボタン、RB・RTボタンがあります。
ボーター状に開いている排気口のデザインは見事で、機能性とデザインを両立させた美しいビジュアル、LCRCボタンは割当可能なファンクションキーのようなもので便利です。私はスクリーンショットなどを割り当てています。
下側面は左からスピーカー、MicroSD端子、イヤホンジャック、USB-C、スピーカー。
▲左右側面には特に何もなし。
他ハードとの比較
▲手に取ったサイズ感としてはGPD WIN4と同等ですが、WIN4はかなり厚みがありずっしり、しかし画面はベゼル少なめの6インチだし、スライドキーボード付き。それに対してAIR1Sはまだ薄くグリップが効いていて重量は手持ちで耐えれる軽さ、しかし5.5インチ画面のベゼルが多少気になる感じ。
単純な遊びやすさで言うと、軽くてしっかりと握れるAIR1Sの方が優秀だと感じます。
▲前モデルのAIR(Lite)と比較するとこちら。全体的に厚みが増えてプロポーションが変わったので、印象も若干異なります。ニンテンドースイッチに近いスマートなゲーム機から、PC感が強まった印象。
操作感
重量バランスは良し
▲背面にはグリップ感を向上させるための滑らかな有機的な形状となっていて、中指薬指がこの窪みに収まり自然に手にフィットして握りやすいです。重量バランスも良い。
同様に側面も手に合うような独特のカーブを描いているので、刺さる部分も無く、450gある重量を感じにくいです。
ちなみにSwitchの有機EL版がAIR1Sより若干軽い約420gですが、ジョイコンにはこのようなカーブはないので指に負担になりやすく、AIR1Sの方が軽く感じます。
ホールセンサーのアナログスティック
▲ボタン類・アナログスティックは小さめのジョイコンサイズ。小さめでありながらラバーの押し心地なので、多少ストロークが長めに感じます。あと音も少し大きめ。ですがこの点に関しては使っていけば慣れていきそうです。
アナログスティックもジョイコンと同等の硬さ高さで、Switchユーザーとしては慣れ親しんだ使いやすさです。
ちなみにアナログスティックにはホールセンサーを採用しているらしいので、耐久性的にも安心して使えそうです。
▲十字キーも同様のラバーボタン。しっかりクリック感がありながらも若干柔らかめで、静音性が高いボタンになっています。
下部メニューボタンなどのファンクションキー類はクリッキーな押し心地でありながら静音性が高いものとなっています。
▲ショルダーボタンLBは細長い部分全体を押せて尚且つラバーの押し心地で、LTはストロークで強弱をつけれるアナログトリガー。
トリガーであってもそこまで長すぎず、普通にボタン感覚で使えます。
▲やはり性能、小ささによりそこそこ熱くはなりますが、しっかりとファンが効いているので、コントローラー部分は熱くなりません。
画面・スピーカー
画面
▲有機ELのディスプレイは本当に見やすく、良い発色、高い輝度で、画面の小ささを感じにくいです。
▲写真で見るよりもベゼルの太さを感じにくいのはどうしてだろう?と思ったんですが、おそらく縁までガラスレンズが広がっている事によるものかなと。
ただやはり、7インチ8インチのハードを触った身からすると、タイトルによっては文字が読み辛いと感じる事もあるにはあるので、どういったタイトルが遊びたいかなども判断材料になります。
スピーカー
スピーカーは下側面にあり、指で塞がれることはないのでその点は問題ありませんが、籠もった音質で良いとは言い難いです。しかしかなり大音量が出るようになっているので、単純に慣れと音量の大きさでカバーできるっちゃできます。
あと今回は前作で頻出していた位相ズレが起きていないので、その点は安心です。
使用感
携帯性の高さを再認識
▲まず思うのが、小ささ、軽さによる携帯性の高さですよね。例え外出時持ち運ばないとしても、テーブルの上に置いておいても邪魔になりにくいですし、ふとした瞬間に手に取りやすい。そういったカジュアルさが結果ゲームの捗りやすさに繋がっています。
上下での充電、MicroSDの安心感
▲そしてこのハードは上下にUSB-Cが搭載されていて、どちらからも充電やファイルの転送が可能です。これがやはりなんだかんだ地味に便利で、状況に応じて使い分けることができます。
指紋認証
指紋認証に対応しているのも便利です。持ち運んだ際のセキュリティを確保しながら、すぐに起動できる言わばスマホのような使い勝手の良さがあります。
そして前モデルではタッチするだけで起動する仕様でしたが、今回は電源を押して起動、そしてその上タッチで起動するようになったので、間違って触ってしまって起動するようなことが起きにくくなりました。
LED
▲ボタン周りにはLEDを様々な表示方法で光らせることができます。もちろんオフにすることも可能で、デフォルトの設定ではオフになっていました。
個人的にはオンにしておいたほうが、よりビジュアル的にバランスが良く見えるような気がして好きです。
AYA SPACE2がかなり良い感じ
▲AYANEOの専用アプリAYASPACEがいつの間にか2になっていて、かなり使いやすくなっていました。このアプリは起動したら自動で立ち上がり、インストールされたゲームを自動認識してリスト表示され、
▲いつでもこのように設定の変更、消費電力やファンの速度などパフォーマンス、コントローラー設定などが可能です。
パワフル感はあるが、多少の制限あり
TDPは5W~20Wまで選択可能で、他のハードに比べると少しだけ小さめ。電源接続時には25Wまで出すことが可能です。
TDPを低くすればその分バッテリー持ちも良くなります。なのでノベルゲームなどの軽いゲームやブラウジングは5W、10~15Wでインディーなど、20WでAAAゲームって感じで調整すると良いかと。
TDP20W、1080Pでサイバーパンク2077を動かすと、中画質設定で30FPS出るか出ないかくらいの動き方でした。もちろん電源に繋いで25W出せばもっと安定しそうです。
また、5.5インチと小さめな画面なので、あえて720Pに落として使い、バッテリー持ちや性能を優先させて使うのもアリかと。
ミニPCとしてもガンガン活用
▲パワフルなので小型PCとして使えるのも便利です。コントローラーでのマウス操作も可能ですが、流石にこの画面サイズで様々な作業をするのは厳しいので、
Bluetooth接続でキーボードとマウスを接続、外部モニターに繋げて普通にフォトショを使ったり動画編集を問題なく行えます。実際に今回の記事や動画はAYANEO AIR 1Sを活用して制作しました。
感想
AAAゲームを遊べる間違いなく『携帯』ゲーム機だと感じました。
画面サイズはもう少し大きくなってベゼルを狭くして欲しいという希望であったり、あくまでWindowsなのでそこでの使いにくさを感じることも相変わらずあるものの、
AIRでは物足りなく感じていた性能やバッテリー持ちの悪さも多少許容できるレベルに達していて、AYASPACEも更に使いやすくなり、明らかに唯一無二のハードだと感じます。
ROG AllyもSteamDeckもかなり良いですが、あちらはどちらかと言うと家の中でならどこでも遊べるモニター付きゲーム機といった印象なのに対し、こちらは持ち出したくなるポータブルゲーム機感が強いです。
小さい、軽いからこそ手にとりやすいという物理的な気軽さって確実に有るんですよね。