ANBERNICさんがとうとうやりやがりました。その名も「RG Slide」。
このモデルは名称通り、スライドさせることが可能。つまり、PSP GOやXperia Playの精神的な後継機ともいえます。
実は私が一番好きなハードってPSP GOなんですよね。なのでもう本当に歓喜、スライド式ハードを出してくれた事そのものに感謝。
ANBERNICとしてもかなり張り切っているようで、プロモーションや梱包の時点からこれまでとはかなり違います。期待値はかなり高まっていますが、どうなのでしょうか、実際に使いながらレビューを進めていきます。
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商品提供:ANBERNIC
価格は公式ストアにて通常価格が28,999円+送料、金額はセール等でよく変わるので購入時に各自チェックお願いします。

動画版
スペック&主な特徴
ANBERNIC RG Slideとは
ANBERNIC RG Slideは、Androidベースのスライド式携帯ゲーム機。レトロゲームエミュレータやAndroidアプリを遊ぶことを目的としたハードです。Anbernic初のスライド機構搭載モデルとして注目を集めています。
ディスプレイは4.7インチのLTPSインセル液晶を採用し、解像度は1280×960、最大120Hzのリフレッシュレートに対応。マルチタッチにも対応。
チップセットにはUnisoc T820を搭載し、GPUはMali-G57。メモリは8GB、ストレージは128GBで、最大2TBのmicroSDカードにも対応します。OSはAndroid 13を採用。
入力面では高精度な静電容量式ジョイスティックを採用。6軸ジャイロセンサーや振動モーターも内蔵。さらにアクティブ冷却ファン+ヒートパイプで安定したパフォーマンスを維持します。
バッテリーは5000mAhで、約6時間の連続駆動が可能。USB Type-Cポートは1080pのDisplayPort出力に対応しており、外部ディスプレイへの接続も可能です。
AI機能も採用されているようで、リアルタイム翻訳、ゲーム攻略アシスト、画像処理、テキストから画像生成など多彩な機能を内蔵とのこと。
カラーはブラックとホワイトの2色展開です。
開封&内容物
では開封していきます。今回はレビューサンプルとなり、製品版とは仕様が異なる可能性がありますのでご了承ください。

今回は本体と別売りのケースも同封されていました。製品の線画がプリントされたハードケースです。
箱のデザインは商品画像がプリントされたシンプルなデザインですが、かなり気合が入っています。これまでのモデルとは違いスマホのような梱包になっていて、ガラスフィルムがスリーブに入っていたりと、いつもよりお金がかかっている印象です。

内容物はこちら。本体、USB-Cケーブル、説明書、ガラスフィルム、スティックカバー。ガラスフィルムが付属するのは助かりますね。相変わらずガラスフィルムを貼ってピッタリになる設計で良いです。これならもう、最初から貼っておいてくれればいいのに。
本体外観
ファーストインプレッション

今回はブラックが送られてきました。ボタンも含め統一されたオールブラック。
正直、最初に手に取った時の印象は、でかい!厚い!重い!です。PSP GOを愛用しているから、きっと大きく感じるだろうなとは想定していましたが、想定を遥かに大きく上回る大きさ。
PSP GOと比較してどうという話ではなく、単純に中華ゲーム機の中でもかなり大きく重い部類なんですよね。縦に長いバランスはRetroid Pocket Flipくらいのサイズ感な体感です。
肝心のスライド感触は、かなりガッシャーン!って大ぶりな感触。画面のブレなどはなく安定感はあります。
質感自体はいつもどおりのAnbernicのシェルといった印象です。素地のサラサラとしたプラスチックで、ビルドクオリティはしっかりですが、グリップ側、本体側には空洞感を感じます。
ボタンレイアウト・インターフェイス

ボタンレイアウトは
右側にニンテンドー配置のABXYボタン、アナログスティック、
左側に十字キー、アナログスティック、
下部にスタートセレクトボタン、
画面側にファンクションキー、バック・ホームボタンです。
アナログスティックの位置はいわゆるPSP GOやXperia Play型の配列ですが、少しでも操作しやすいように若干下に寄り、角度がついた雰囲気は独特です。
あとスピーカーが画面横左右に付いているのも良いですね。

背面には下にファンの吸気口、中央にファンの排気口があります。独特な開口でかっこいいですね。滑り止めなどはないですが、テーブルなどに平置きした際に直接面しないように足が4点ついています。

上側面には左からL1/L2、R1/R2
下側面にはイヤホンジャック、インジケーター、USB Type-Cと並んでいます。

左側面にMicroSDスロット、右側面にボリュームボタン、電源ボタン
グリップはなくフラットな形状。コントローラー部分の厚みを実際に測ってみると約18mm、ディスプレイ部分が8mm、閉じた時の全体の厚みは27mm。結構な厚みがあります。
他ハードとの比較

では本家本元と比べてみます。オリジナルのPSP GOとはかなりサイズ差があります。そもそもPSP GOはPSPシリーズよりも小型な上、UMDを読み込まない仕様からかなり薄く設計されています。
それに対してSlideは5000mAhもバッテリーを積み、ファンも搭載しているので厚みが出てくること自体は仕方ないかなと。

開いてみるとこの感じ。PSP GO XLって感じでしょうか。体感倍くらいの大きさに感じます。
操作感

重量はガラスフィルム込みで390グラム。流石にスイッチライトよりは重く、かなりの重量感があります。重量バランスもあまり良くなく、後ろに倒れるような印象があるように感じますが、そもそもの重量の大きさによるものが大きそうです。
操作感としてはかなり独特。指が窮屈、もしくはスティックまでの距離が遠いように見えるかもしれませんが、案外操作してみると、人差し指と中指で全体を支えるような持ち方になり、親指は結構自由に動かせるので悪くないと感じます。
閉じるとまるでスマホのようにタッチ操作できますが、片手で持つにしてはかなり重いですし、厚みが大きすぎるように感じます。

ABXYボタンはツルッとしてわずかに膨らみがあるボタンで、遊び少なめ。いつものAnbernicで硬めラバーの押し心地、遊びも少なくて反発力も良く、気持ちの良い感触です。
スタートセレクト、ホームバックボタンはカチカチとしたタクトスイッチです。鳴りは大きめで、若干のチープさを感じます。サイズや硬さはちょうど良く押しやすいと感じます。

十字キーもツルッとした、フラットな形状、ボタン同様ラバーの押し心地。シーソーも可能で、しっかりと押した感触があり、入力は良好に感じます。正直ボタン・十字キーに関しては折りたたみのSPシリーズのようにドームスイッチ、薄型のものにして薄さを追求して欲しかったなとは思います。
アナログスティックはVita同等の若干小さめなもの。中央が凸で、倒し角度はVitaよりも僅かに大きいような。結構独特です。

ショルダーボタンはL1L2どちらもカチカチと大きめな音がするタクトスイッチ、横並びではありますが段差がついていて押し分けられるよう工夫されています。
画面・スピーカー
画面サイズ・解像度

本モデルでのスライドギミックの次に大きな特徴はディスプレイ。画面サイズは4.7インチの4:3比率はかなり独特で、すっごい大画面に感じます。
解像度に関しては1280×960(Quad-VGA)と、1080Pではないものの4.7インチなので十分に高解像度に感じて良いです。
ベゼル
ベゼルの大きさはやはり気になります。フチの方までガラスで覆っているのでなるべくベゼルが小さく見えるよう工夫はされていますが、Retroid Pocket 5など、超狭ベゼルなモデルが出た今となっては、かなり気になってしまいます。
上下非対称なのも気になりますが、まぁ、PSP GOも非対称ですし、リスペクトということで…
明るさ・発色
輝度は500nitsと高く映せるので、非常にありがたいです。私は眩しいくらいの明るさで遊びたい人間なので、助かります。
LTPS液晶というあまり聞き覚えのないディスプレイを採用していて、液晶でありながらかなりの発色の良さがあるように感じます。こちらの液晶は高精細・省電力・応答速度が速いなどの特徴があるらしい。実際リフレッシュレートも120Hz対応ですしね。
スピーカー
スピーカーは画面横・ステレオ・フロントスピーカーとかなり理想的かつこのスタイルだからこそできる仕様。手にはもちろん干渉しませんし、ダイレクトに耳に伝わる聞こえ方は良いです。
音質は低音が弱い音色で、特段良くはありません。音質悪くて気になるということはありませんが、せっかくのフロントスピーカーなのでもうちょっと頑張って欲しかったなとは思います。
使用感
では早速初回起動からの使い方を紹介していきます。
初回起動時
初めて起動する際にセットアップが開きアプリ・エミュレータが自動でインストールされます。が、まぁ基本的にはAndroidなので細かい設定は全部自力でする必要があります。パーミッションの設定、ディレクトリ設定、そしてエミュレータ自体の設定などなど。
Google純正アプリやPlayStoreも導入されているので、そちらからのインストールも可能です。
メニュー画面

基本的にはピュアAndroidな使い勝手です。デフォルトのランチャーはシンプルなもので、アプリ一覧もなく、アプリをインストールするとどんどん右側に追加されていく形式。あまりにもシンプルすぎるので、別途何か好みのランチャーを導入するのが良さげです。
あとは画面左のボタンを長押しで、エミュ機のようなメニュー画面が現れます。これはAnbernic社のAndroid機に導入されているRG LauncherというAnbernic製のフロントエンドアプリ。
一応テーマ変更や表示項目の変更などは可能ですが、設定できる部分が少ないと感じます。
ちなみに開くメニュー画面は変更することが可能で、私はお気に入りのDaijishoを開くようにしました。
タッチパネル割当て可能

タッチパネルへのボタン割り当ては可能です。
上から下へスワイプして出てきた設定パネルの中にKeymappingの項目があるので、そこを長押し、Switchを押すことでタッチパネルに割り当てできます。
AnTuTuベンチマーク結果
AnTuTuベンチマークV10は
総合スコア 513544
CPU 178870
GPU 95374
となりました。
総合が約50万点くらい、CPUが18万点くらい、GPUが10万点くらい。
ちなみにスコアはパフォーマンスHighモードのスコアです。
ゲームをプレイ

ゼンゼロもコントローラー対応で動作にも問題なく遊べています。UI周りも文字が潰れることなどはなく見ることができて普通に快適です。画面が、大きい。
アスペクト比が4:3なのでエミュレータには本当に最適で、性能的にPS2やGCなどはもちろんタイトルや設定にも寄りますが遊べるので、案外悪くないバランスだなと思います。
エミュレータで遊ぶには
エミュレータで遊ぶためには原則以下のものが必要となります。
吸い出し機(ダンパー)
エミュレータを使う際にはゲームイメージの吸い出しを各自行う必要があります。(中華ゲーム機のざっくりとした解説はこちら)
ダンパーには色々ありますが、一台だけでゲームボーイ・ゲームボーイカラー・ゲームボーイアドバンス・メガドライブ・スーファミ・64のゲームイメージとセーブデータの吸い出しが可能なCartridge Reader(レビュー記事はこちら)をおすすめします。
また少しでも安く済ませたい方はGAMEBANK-web.comのダンパーを必要なハードだけ購入する、PS1、PS2等だけを遊びたい!って人はDVDリーダー+PCがあればなんとかなります。
PC(あると快適)
データを管理するのに必要となります。有ったほうが間違いなく便利ですが、Androidスマホと同じなので、無くても頑張れば使えます。
MicroSD
ゲームイメージ用に推奨。PS2とかを遊ぶ場合では512GBくらいあっても良いかと。

MicroSDリーダー
MicroSDをPCで読み込むために必要となります。

ファンの音・熱
発熱は高負荷のゲームを遊ぶと全体的に暖かくなります。ファンの音はStrongにすると高い風切り音が大きくはなりますがそこまで気になりません。ほぼ動かないようにもできますし、調整は効くので、発熱や遊ぶゲームとの調整次第です。
感想
正直まだこのデカさに慣れていませんが、実質的に初のスライド式Android中華ゲーム機ということで非常に心躍る製品です。大画面のハンドヘルドで、閉じるとAndroidスマホのように操作できる2 in 1な仕様がそそります。メディアプレイヤーのように使っても良さそうですよね。
もう少し高いスペックが良かったなとか、ボタン含め薄く攻めて欲しかったとか色々と気になる点はあるものの、何よりスライドギミックが実現ができているというのが素晴らしい。
待望のスライド端末、非常に大きな一歩だと思います。