ようやく出ましたROG XBOX Ally X。
ROG Ally(X)の後継機であり、そして何より製品名にXBOXの文字が入っています。
XBOXの携帯ゲーム機か?と思うかもしれませんが、その実態はWindowsベースのPCでありながら、ゲームを遊ぶために作られた間違いなくゲーム機で、Windows携帯ゲーム機の未来を感じるデバイス。これを待っていたんですよ。
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販売価格は139,800円。下位モデルのROG Xbox Allyは89,800円。
動画版
スペック&主な特徴
ROG Xbox Ally Xとは
ROG Xbox Ally Xは、ASUSとMicrosoft Xboxが共同開発した最新のポータブルゲーミングPCです。Windows 11 Homeを搭載し、コンソールライクな「Xboxフルスクリーンエクスペリエンス」と、PCならではの自由度を両立した“ハイブリッド携帯ゲーム機”として設計されています。
本機には、AMDの新世代チップ「Ryzen AI Z2 Extreme」プロセッサを搭載。8コア16スレッド構成で、内蔵GPUにはRadeonグラフィックスを採用し、前世代モデルと比べ最大30%のパフォーマンス向上を実現しています。
ディスプレイは7.0インチのフルHD(1920×1080)IPS液晶で、120Hzリフレッシュレートと500ニトの高輝度、AMD FreeSync Premium対応による滑らかな映像表現を実現。Corning Gorilla Glass Victus+DXC反射防止コーティングにより、屋外でも見やすく、耐久性にも優れています。
メモリは24GB LPDDR5X-8000を搭載し、ストレージは1TB PCIe 4.0 NVMe M.2 SSDを採用。標準の2280サイズで交換や拡張も可能です。インターフェースにはUSB4(映像出力・PD対応)×1、USB 3.2 Gen2 Type-C×1、microSDスロット、3.5mmオーディオジャックを備え、Wi-Fi 6EとBluetooth 5.4による高速無線通信にも対応します。
操作面では、Xboxワイヤレスコントローラーをベースにした非対称スティックレイアウトとABXYボタン配置を採用。インパルストリガーによるハプティックフィードバックを搭載し、臨場感ある操作体験を提供します。加えて指紋認証センサーを内蔵しています。
バッテリーは4セル・80Whの大容量仕様で、ROG Ally(60Wh)比で約33%アップ。65WのUSB-C急速充電に対応し、Silentモードでも前世代Performanceモード相当の性能を維持できる効率性を実現しています。
開封&内容物
では開封していきます。

XBOX Allyは2種類ありますが、今回はどうせならと思い上位モデルのXを購入しています。
箱はこのように線画のシンプルなデザインで、ガッチリとした梱包です。ROGとXBOXのロゴが並んでいて主張するデザイン。

内容物はこちら。本体、簡易的なスタンド、充電器、説明書。保護フィルムがほしいのであれば別途用意する必要があります。
本体外観
ファーストインプレッション

TGSで触ったので明確なファーストインプレッションではないのですが、まず思ったのは想像以上に良いグリップ感だなと。
コントローラーライクなボッタリとしたボリューム感のボディで、画像で見ていた時にはなんだか野暮ったいなと感じていましたが、実際に手にとって握ってみると、しっかりと握れる感じが重量を分散してくれて、700グラム超えとはとても思えません。
あともっと言うと、前モデルのAllyでは割と人間工学をそこそこに無視したソリッドな形状に近いフォルムだったため、真逆のアプローチで新機種っぽさも強めで楽しいです。ちなみに前モデルのデザインも個人的には好きでした。
ボタンレイアウト・インターフェイス

ボタンレイアウトは
右側にXBOX配置のABXYボタン、アナログスティック、
画面側にライブラリボタン、メニューボタン。
左側にアナログスティック、方向ボタン、
画面側にXboxボタン、コマンドセンターボタン、表示ボタン(ビューボタン)です。上部にはマイクがあり、下部にはスピーカーがあります。

背面には上部に大きくファンの吸気口。開口デザインが特徴的ですね。中央に背面ボタンがM1M2とあります。

上側面には左からLB/LT、USB4(映像出力・PD対応)、USB 3.2 Gen2 Type-C、ボリュームボタン、通気孔、MicroSDスロット、イヤホンジャック、指紋センサー兼電源ボタン、RB/RT、上にはファンの排気口が左右にあります。
下側面には製品情報が記載されたシールがあるのみです。下部にもUSB-Cが欲しかったような気もしないこともないです。

Allyではファンの熱でMicroSDが壊れる不具合があり、見事に私も壊れたんですが、今回は位置が変わっています。
厚みは28mmくらいあり、明らかに大きくなりましたが、まぁバッテリー容量なり何なり増えたのでやむなしといった印象です。

左右側面には何もありません。
グリップはコントローラーらしい形状。
他ハードとの比較

Switch 2と並べてみると、ほぼ同じサイズ感ですが、厚みやグリップなどにより全体的なボリュームは大きく異なります。あと画面占有率も全然違いますね。実際の操作感などに関しては後ほど。

SteamDeckとはぼほぼほ同じサイズ感・画面サイズです。重量やグリップ感の違いは感じます。

同じくグリップがニョキッと伸びたPSPortalと並べてみたのがこちら。握った感じとしてもこの中では明らかにPortalの感覚に近いです。見てわかるとは思いますが。
操作感

重量は実測値で719グラム。コントローラーのようなグリップの膨らみに加え、滑り止めのツブツブとしたテクスチャがあるおかげで数字ほどに重くは感じませんが、それでも重いのには変わりなく浮かせて持つと疲れます。鍛えましょう。
ちなみにテクスチャにはXBOXとROGの文字になっています。この感じってなんか聞いたことあるな…。
あとなんか使っていて気付いたんですが、若干右側のグリップのツメが甘いのかシェルのかみ合わせにパカパカと動きがある感じがあります。個体差だとは思いますが、ちょっと残念。

ABXYボタンはツルッとしてコントローラー形状に沿わせた形状のボタン。軽く押せるラバーの押し心地、遊びも少なくて反発力も良く、気持ちの良い感触です。かなりXBOXコントローラーに近い感触だと感じます。
メニューボタンなどはポコポコとしたタクトスイッチです。鳴りはちょうどよく、チープさは感じません。硬さは若干硬めで、上下のボタンで角度が違うので押し分けやすいです。

十字キーは若干硬めで、XBOXコントローラーのようにカチカチとしたものではなくメンブレンラバーで、割としっかりめな押し心地で軸がしっかりとしていてしっかりと入力できます。斜めに線が入っているおかげで上下左右がかなりわかりやすく感じます。
アナログスティックも大きめの、いわゆる外部コントローラー系のスティックです。中心の凹みがかなり大きめで、フチにつぶつぶが有るので指に引っかかりやすくて良いですね。
スティックは壊れにくいホールセンサーとの記載は無いので、違うようです。

ショルダーボタンもXBOXコントローラー系で、こちらも滑り止めのつぶつぶテクスチャ、LBRBはポコポコとした柔らかめのタクトスイッチ、LTRTはトリガーボタンで大きめのストロークのアナログトリガー。
背面ボタンはボコッと浮き出た形状で、普通に握っている分には一切干渉せず、中指を伸ばして押す感じです。結構独特というか、頻繁に使うボタンではないつくりだと感じます。感触はカチカチタクト。
画面・スピーカー
画面

画面サイズは7インチの解像度は1920×1080の16:9比率。十分に高解像度に感じて良いです。が、正直Switch2に慣れてしまっているので少し画面が小さいとすら感じます。
おそらくディスプレイ自体はAllyと同じもので、ベゼルの大きさもSwitch2が出た今となっては気になります。
輝度は500nitで十分な明るさです。特段ディスプレイにおいては新鮮味は感じませんが、反射防止コーティングがされているようで僅かに映り込みが軽減されているようです。
スピーカー
スピーカーは画面脇でステレオのフロントスピーカー。手にはもちろん干渉しませんし、何よりめちゃくちゃ音質が良いです。
めちゃくちゃ広がりがあるクリアなサウンド、SteamDeckのような重厚感ではないものの、あらゆる角度から音が聞こえてくるような広域な聴こえ方が非常に印象的です。
Allyとの違いは明確にはわかりませんが、Allyの時からスピーカーはものすごく良かったので、これは文句無しでオススメできるポイントですしスピーカーでのプレイを推奨です。
使用感
では早速初回起動からの使い方をざっと紹介していきます。
初回起動時

初めて起動する際にWindowsのセットアップが開き、更新などが自動で行われます。通常のPCだとオフラインでセットアップして…となんか色々抵抗しますが、今回はまぁゲームでしか使わないしなんか不具合起こったら面倒だし普通にログインすればいいかと無抵抗にMicrosoftアカウントにログインしました。
更にWindowsアップデートまわりもたんまりあるので、遊べるようになるまでなんやかんや結構かかりました。ここばかりは仕方ないですかね。
メニュー画面

本端末はWindowsが搭載されていて、Windowsに対応しているゲームであれば、場合によっては設定を落とす必要はあるかもしれませんが、基本的になんでも遊ぶことができます。
じゃあXBOX関係ないじゃないか…と思うかもしれませんが、実は純粋なWindowsOSではなく本機用にカスタムされたOSで、コントローラーに最適化されたUI、そしてシステム上もバックグラウンドでの動作を減らしているのが、パフォーマンス向上のためなのか、ほとんどWindowsらしさが出てこないようなつくりとなっています。
Xbox Full Screen Experienceという名称で、どういうことなのかと言われたら説明は難しいんですが、一般的なWindowsPCとは全くの別物と思ってくれた方が良さそうです。ウィンドウが並ぶ画面ではなく基本一つのアプリに対してフルスクリーン表示、画面を下から上にスワイプ(もしくはXBOXボタンを長押し)するとスマホのように起動しているアプリ・ゲームが一覧で並び、スマホのようにアプリを終了することができます。

そして遊べるゲームはあくまでWindows、XBOXゲームパスのゲームは全て遊べますし、更にSteamDeckのように、本機との互換性が分かるバッジなどが採用されてより簡単に分かるようになっています。もちろん最適化されていないものでも大体遊べます。
右上のライブラリボタンを押すとインストールされたEpicやSteamのゲームまで一覧で並び、プラットフォームの垣根を超えて自由に選択することができます。
下位モデルの512GBではAAAゲームをインストールしまくると一瞬で容量が無くなるので、そういう意味でも今回は1TBある上位モデルを選択しました。しかしMicroSDを入れて拡張するなり、SSD(2280サイズ)を自力で交換するなどが可能です。ASUSあんしん保証の対象外になるとは書いてあるものの、換装できるよって公式ページに書いてあるのが面白いですよね。
設定変更など

コマンドセンターボタンを押すとカスタムされたXbox Game Barが表示され、明るさやRGBライティングやパフォーマンスモードなど表示されて簡単に設定変更可能です。
Armoury Crate Special Edition (ACSE)もそこから開くことができ、さらに詳細に設定変更可能です。BIOSアップデートなどもこちらから可能。最初にやっておきましょう。
ちなみにXBOXボタンでも同様にGame Barが開くので、若干ボタンを持て余している感があります。
Windowsに切り替え
Windowsに切り替えるには画面を下から上にスワイプ(もしくはXBOXボタンを長押し)でタスクリストを開いた後に下部のWindowsデスクトップを選択することで通常のWindowsのデスクトップが表示されます。しかし、再度全画面表示に戻したい場合には再起動が必要なので、その点だけ注意。
というかやはりそれを考えても通常のWindowsとは別の挙動をしているってことですよね。
スリープ解除の快適さがありえない
Windowsって、基本的にスリープまわりの挙動が不安定で、これ以外のWindowsハンドヘルドも大概は安心できない仕様なんですが、本機はありえないくらいに快適にスリープオン・オフが可能。もちろん指紋認証も速攻。正直ここに一番の恩恵を感じます。サクサク速攻起動できますし、スリープから復旧しないなんてこともほとんど起きません。
正直言うとここは諦めていた部分でもあるので、Windowsでもここまで頑張れるのかとかなり驚きました。スマホやSwitchのように運用ができて本当に助かります。
使っている上で、XBOXゲーパスを遊ぶ分には完全に快適であったりするけどSteamや他のクライアントを使用する場合にちょっと挙動があやしくなったりと、まだUIでもスリープでも不安定に感じる瞬間はありますが、これまでのWindowsハンドヘルドに比べると圧倒的に快適なので、今後のアップデートによる改善に期待ですね。現時点でもだいぶ満足感はありますが。
ゲームをプレイ

動作感自体はかなり良いパフォーマンスで、サイバーパンク2077が1080P・中画質設定でFPS60張り付き、モンハンワイルズは低画質設定・フレーム生成オフでFPS30って感じです。基本的に設定を調整すれば動かないものは無いと思うので、パフォーマンス向上をしっかりと感じます。
ファンの音に関してはデフォルト状態はそこまで気になりませんし、調整は効きますし、そもそも最大出力にしなくても結構動くので、パワーアップの恩恵を感じます。手元の暑さはまったく気になりません。
感想
正直に言うと、期待通りやってくれたね、という感じです。というのも、Allyの時から大分ソフトウェアの完成度は群を抜いて良かったですし、XBOXとコラボというか、Windowsでゲーム用のOSを作るという情報はずっと前からでていたので、求めていた感触そのまま実現してくれた…!という気持ちです。
スリープが快適にできるだけで泣ける。
まだまだXboxソフトのUI本当にこれでいいのかとか、思うところはあるにはありますが、リリース段階での完成度なので、今後モリモリとアップデートしてくれることを期待します。
ハード的には文句無し、コントローラー形状のグリップも結構快適ではありますが、やはりSwitch2の画面に慣れてしまったので小さく感じてしまう点は個人的には若干残念でした。これ以上大きくなるのはどうかなとは思いはするので、後継機には画面占有率が高くなったものを期待しています。