最近イケイケ(諸説あり)なRetroidさんの新作がきました。今回は折りたたみの新作モデル。前回のモデルで、個人的にはちょっと微妙だな〜と感じていた部分がほぼ全て解消され、期待以上の良さでした。
何よりも画面のデカさ。サイズ感に対しての画面の大きさがかなり圧倒的で、これまで使ってきたどのハンドヘルドとも全く違った印象になるのがかなり独特で、痺れます。
ざっと触りながらレビューしていきます。
販売ストア
販売は原則公式ストアのみとなっています。金額は通常価格が219ドル、送料別です。
AliExpress内のAmpown StoreやMoorechip Storeでも取り扱われていて、購入している人も多いようです。
・Ampown Store

・Moorechip Store

動画版
スペック&主な特徴
Retroid Pocket Flip 2とは
Retroid Pocket Flip 2はRetroid Pocketシリーズの折りたたみ型携帯ゲーム機。名前の通り、クラムシェルデザインを採用しており、閉じれば画面を保護しつつコンパクトに持ち運べるのが特徴です。
5.5インチの1920×1080と高解像度な有機ELディスプレイを搭載し、旧モデルより一回り大きな画面サイズに。AMOLEDらしい深い黒と発色の良さで、レトロゲームからAndroidゲームまで色鮮やかに楽しめます。
チップセットはSnapdragon 865、メモリ8GB、ストレージは128GB UFS 3.1と、ちょっと前のスマートフォンのハイエンド機にも使われた構成。microSDにも対応しています。Androidバージョンは13。バッテリーは5000mAhで、Wi-Fi 6 & BT 5.1、3Dホールスティック、アナログL2/R2ボタンなど、操作性と接続性も大きく向上。
僅かに割安なD1100搭載モデルも販売予定です。
カラーは4色展開で
Black、Ice Blue(スケルトン)、GC(ゲームキューブ風パープル)、16 Bit US(スーファミUS風グレー)
Flipからの進化点まとめ
- ディスプレイ:4.7インチ→5.5インチ、有機EL化(解像度も1334×750→1920×1080にアップ)
- SoC:Unisoc T618→Snapdragon 865(性能大幅向上)
- RAM:4GB→8GB
- ストレージ:eMMC→UFS 3.1(高速化)
- OS:Android 11→Android 13
- 通信:Wi-Fi→Wi-Fi 6対応
- 入力:3Dホールスティック採用
- カラー:従来のカラバリ刷新、新たにスケルトンモデル(Ice Blue)追加
開封&内容物
では開封していきます。

箱はこちら。いつものRetroidシリーズ通りのしっかりとした箱です。開封する際蓋がマグネットになっている点など、独自のこだわりで魅せています

内容物はこちら。簡易的なスペックシート、USB-Cケーブル、本体です。
フィルムは付属しないので、保護したい場合は別途公式のものを購入するか、サードパーティ製のものを購入する必要があります。
本体外観

やはりRetroidさんは相変わらずどれも、最初に手に取った時の印象がとても良い。今回はいつも通り?のクリアカラーを選択。シックで落ち着いたブルーの色味や透け感も良く、閉じた時に現れる画面裏の独特のデザインも結構良くて気に入りました。プリントされた柄ではなく、凹凸で表現されています。

ぱっと見の某ダブルスクリーンっぽさは結構強くありますが、負けず劣らず良い印象です。
それでいうと厚みが最初はかなり気になりましたね。閉じた時の縦横だけ見るとコンパクトに感じますが、結構ボリューム感があるように感じます。
全体の厚みは下部が24mm、上部が27.5mmで、開いた際のコントローラー下部が17mmでした。

背面にも凹凸でラインが入り、下部にRetroidのロゴ、上部にファンの吸気口があります。

開くとボタン類と画面が現れます。
ボタンレイアウトは、右側にアナログスティック、ニンテンドー配列のABXY、
左側にアナログスティック、十字キー、
中央上部に左からセレクトボタン、戻る兼ホームボタン、電源ボタン、スタートボタン。
下側左右にスピーカーがあります。

上側面には左からL1L2、R2R1と並び、中央にファンの排気口、
下側面にはMicroSDスロット、USB-C、イヤホンジャックと並んでいます。

左側面には何もなく、
右側面にはボリュームボタン。
どうせならボリュームボタンもボタン周りのところに配置して欲しかったような気がします。
開き角度について

開き角度の固定は2段階で、少し傾いた状態とほぼ180度。前モデルではヒンジはぶつかって止まっているだけだったので、ロック機構が追加されて安心感があります。180度まで開けるのも人によっては使いやすいのではないでしょうか。しかし若干角度が小さいように感じます。もう僅かに開いてもらって、DSシリーズの角度と同じ程度だと違和感なく遊べるかなと思いました。
なので通常遊ぶ際は最大開き角度で遊ぶことになりそうです。ゲームボーイのように縦型っぽくなりますし、安定性もあるので、まぁこれはこれで悪くないです。
ロックはこの2段階ですが、それ以下の角度でも止まってくれるので、デスクなどに置いた状態でも使えそうです。
他ハードとの比較
閉じた状態は結構コンパクトで、厚みは全然違いますが長手側の長さはほぼほぼDSシリーズ同等です。

開くとかなりサイズ感は異なり、縦に大きく、そして画面サイズの大きさが際立ちます。いわゆるデュアルスクリーンベースの端末というよりは、ノートPCのような雰囲気が強くありますね。
そして何度も言うように、開き角度は若干小さめ。結局慣れれば遊べるとは思いますが、身体に刻み込まれたDSの角度と持ち方による重量バランスの変化が、人によっては合わないと感じるかもしれません。
操作感
RP5などのように、いわゆる握りやすくなるグリップはないのですが、厚みがあるおかげで、案外持ちやすいように感じます。しっかりと握れる感じがあり、重量は実測値で309グラムなので割と重めではありますが、許容はできるかなと。ちなみにRP5は約270グラム。

ABXYボタンはサラッとして平たいボタンで、遊び少なめ、しっかりとした硬めのラバーの押し心地。十分な感触ではありますが、パチパチと音が鳴る感じがあります。
スタートセレクト、ホームバックボタンはカチカチとしたタクトスイッチです。ボタン自体がかなり小さめ、若干硬めではありますが、押しやすく、チープで安っぽい感触や音ではありません。
AB・XYを囲うように溝が入っているデザインも素敵ですね。

十字キーはVitaライクな形状・寸法、感触もドームスイッチのプチプチとした押し心地。シーソーも可能で、入力は良好に感じます。
Flipではスライドパッドでしたが、今回は一般的なアナログスティックです。中央が凸、そしてフチが粒々したスティックトップで、Joy-Conや一般的なハードとは違った形状、倒れ角度が大きめです。過去のRetroid Pocket 4/ProやOdin2とはまた違うトップです。
あとアナログスティックが両方とも上の珍しいレイアウトなので、最初は割と困惑というか、間違えます。が、指に負担がかかりにくいレイアウトのバランスになっていますし、慣れればこれはこれで良さそうに感じます。新鮮味があって楽しい・・・ですが、よくよく考えてみるとWiiUもしくはPowkiddy X18Sなどと同じレイアウトですね。

ショルダーボタンはL1R1カチカチと音がするタクトスイッチ。感触は良いと感じます。
L2R2はストロークが長いアナログトリガー。
全体的に多分おそらくRP5やRP miniと同じパーツが使われていそうですが、シェルの構成などによって若干感触が変わっているような感じでしょうか。
画面・スピーカー
画面サイズ・解像度

画面サイズにしては高い解像度、そして目一杯広がる狭ベゼルの没入感が非常に良い。その上横型と比較して、顔の位置に近く画面が来るので、やはり不思議とRP5よりも大画面に感じます。多分同じディスプレイなのに。
ベゼル
先ほども言ったようにベゼル幅に関してはかなり良い感じ。左右が若干大きめで上下小さめなので均等だったらもっと美しかったのにな〜とは思いますが、もう十分、満足です。
コントローラーとの干渉を避けるためか、ディスプレイは少し凹んだディテールになっていますが、特段違和感はありません。あともちろんですが、タッチパネルも使えます。
明るさ・発色
有機ELなのでとにかく綺麗です。でかい輝度、バキバキの発色で文句なし、良いディスプレイだと思います。大満足。
スピーカー
スピーカーはフロントスピーカーで音質は特段良くはないですが、ステレオサウンド感が心地良く十分です。手は若干覆い被さりますが、音は塞がりませんし、前回のモデルが背面スピーカーで少し不満だったので解消されてよかったと思います。
イヤホンジャックがあるのでもちろんイヤホンで遊ぶことも可能。
使用感
基礎知識・注意点等
Androidスマホユーザーならスムーズ
基本的にはAndroidスマートフォン同様な使い勝手で使用することができます。エミュレータ等は初期設定で導入済みですが、ストレージ設定などは自分で行わなければならないため知識と調べる力が必要です。
Androidにはシステムレベルの遅延がある
Androidはこの端末に限らず、システムレベルで遅延が有り、人によっては気になるといったことが注意点としてあります。私は別に気にならないんですが、アクションゲームや格闘ゲームなどを重要視する場合には、留意しておきましょう。
また、本端末はレビュー時点では技適未取得なので「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」を利用し、様々な検証を行っていきます。
エミュレータで遊ぶには
エミュレータで遊ぶためには原則以下のものが必要となります。
吸い出し機(ダンパー)
エミュレータを使う際にはゲームイメージの吸い出しを各自行う必要があります。(中華ゲーム機のざっくりとした解説はこちら)
ダンパーには色々ありますが、一台だけでゲームボーイ・ゲームボーイカラー・ゲームボーイアドバンス・メガドライブ・スーファミ・64のゲームイメージとセーブデータの吸い出しが可能なCartridge Reader(レビュー記事はこちら)をおすすめします。
(サイトは英語ですが、日本でも購入可能です)
また少しでも安く済ませたい方はGAMEBANK-web.comのダンパーを必要なハードだけ購入する、PS1、PS2等だけを遊びたい!って人はDVDリーダー+PCがあればなんとかなります。
PC(あると快適)
データを管理するのに必要となります。有ったほうが間違いなく便利ですが、Androidスマホと同じなので、無くても頑張れば使えます。
MicroSD
ゲームイメージ用に推奨。PS2とかを遊ぶ場合では512GBくらいあっても良いかと。

MicroSDリーダー
MicroSDをPCで読み込むために必要となります。

アプリ・エミュレータは初回起動時インストールされる

初めて起動する際にセットアップが開き日本語を設定可能、アプリ・エミュレータを選んでインストールできます。が、まぁ基本的にはAndroidなので全部自力で設定する必要があります。パーミッションの設定、ディレクトリ設定、そしてエミュレータ自体の設定などなど。
Google純正アプリやPlayStoreも導入されているので、そちらからのインストールも可能です。
そしてこちらがデフォルトのランチャー。一般的なAndroid用のランチャーを超シンプルにしたようなもので、アプリ一覧や検索などはなく、時計ウィジェットだけがある、必要最低限なもの。
ちなみに本家のように開閉でスリープのオンオフが可能です。本家?
専用のランチャーアプリもあり
他にもエミュ専用のランチャー(メニュー画面)があり、そちらを使うといかにもエミュ機なインターフェイスで使えるようになります。
こちらはエミュレータ一覧やアプリ一覧などをカスタマイズしながら設定できる、エミュ機のフロントエンドとしての機能をメインとしたランチャーです。
スイッチライクなビジュアルでシンプル、使い勝手としては悪くありませんが、エミュレータ用のフロントエンドランチャーは他にも様々あるので個人で気に入るものがあれば変更してみるのも良いかと思います。ちなみに私のお気に入りはDaijisho。
パフォーマンス・ファン・スティック設定等
上から下にスワイプしてクイック設定から簡単に変更可能な項目がいくつかあり、
パフォーマンスモードで消費電力を上げて強くしたり、ファンの強さを変更したり、明るさを変えたり、消したりが可能。
他にもゲーム中に画面右から左へスワイプする事でフローティングメニューのようなものが表示され、様々な設定が可能となります。その中でタッチパネル操作をコントローラーに割り当てることも可能で、コントローラー対応していない原神も…あ、原神は最近コントローラー対応しました。
DP出力でモニターやテレビに繋ぐことも可能
AnTuTuベンチマーク結果
AnTuTu ベンチマークスコアはハイパフォーマンスモードで
総合スコア 849933
CPUスコア 236428
GPUスコア 263469
総合約85万・CPU23万・GPU26万となりました。最新のハイエンドと比べると大きくはないですが、ミドルハイくらいの数値でしょうか。Android携帯ゲーム機としてはかなり強めな部類です。
ちなみにRetroid Pocket 5と同じチップセットなので、性能も同じです。
ゲームをプレイ

動作感自体は十分動きます。ゼンゼロなどのコントローラー対応スマホゲームも最高画質は無理なものの遊べますが、設定を落とせば問題なく動作します。
ディスプレイサイズ的には体感的にはスマホくらいで、十分見やすく感じます。
あまり深く検証はできていませんが、GC、Wiiのタイトルをいくつか遊んでみると、概ねグラフィックをOpenGL、その他ちょっとの設定で動作します。
PS2はタイトルによっては厳しいこともありますが、設定を適切に行えばそこそこ遊べる感じがあります。
エミュレータを遊びたい場合にはD1100モデルではなくこちらのSD865を選ぶことを強めに推奨します。ベンチマークが大差ないと思ってもSnapdragonの方が動きが良いように感じます。
ファンの音・熱・
ファンの音はSportにすると高い風切り音が大きくはなります。結構大きめで、RP5よりも大きいです。ほぼ動かないようにもできますし、Smartにしておけば自動で熱くなったら動くようになります。
発熱は高負荷のゲームを遊ぶと中央部分がほんのりと暖かくなります。
感想
前回のRetroid Flipで気になるなーと思っていたヒンジ周り(角度を除く)アップデート、そして画面サイズアップ、スピーカー位置がフロントに変更、ボタンレイアウトが使いやすく、スライドパッドではなく通常のアナログスティックに変更など、網羅的に改善されていて素晴らしいと感じます。
やはりクラムシェルならではの携帯性の高さや、閉じ開きで遊べるカジュアルさ、独立型ディスプレイによる没入感の高さは他のハードでは味わえないでしょう。
正直厚みが大きいなとか、開き角度気になるとか、コントローラー部分にもっとボタンがあったりすれば良いのになとか、何かと思う点はありますが、完成度は高く、結構気に入りました。