ソニーが新型の携帯ゲーム機を出すかもしれない?そしてその最新の携帯ゲーム機はリモート専用かもしれない?
なんて噂が囁かれている昨今ですが、今回紹介するのはリモート/ストリーミング専用機。
そう…時代は端末スペックに依存しないストリーミング機になりつつあります。
販売ストア
動画版
スペック&主な特徴
項目 | abxylute |
---|---|
OS | Android 12 |
対応ゲーム | クラウドゲーム, PCストリーミング, エミュレータ等 |
ディスプレイ | 7インチ 1920×1080, 16:9, 60Hz タッチスクリーン (10ポイント対応) |
CPU | MT8365 |
RAM | 4GB LPDDR4 |
ストレージ | 32GB, 64GB ROM, Micro SD カード対応 |
バッテリー | 5200mAh, 15W (5V 3A) |
インターフェース | USB Type-C, 3.5mm headphone jack |
ワイヤレス通信 | 802.11 a/b/g/n/ac Wi-Fi, Bluetooth |
サイズ・重量 | 250mm x 115mm x 30mm, 430g |
色・材質 | プラスチック (滑り止めテクスチャー予定) |
その他 | スピーカー・マイク: デュアルスピーカー, デュアルマイク / センサー: ジャイロスコープ, G-センサー, 光センサー / バイブレーションモーター: 2つのリニアZ軸モーター |
abxyluteは、Android 12を搭載したポータブルゲーム機で、読み方はabsoluteっぽい事から『アブソルート』だそうです。
画面解像度は7インチのフルHDディスプレイ (1920×1080) としっかりしていながらも、CPUやRAM、ストレージなどかなり抑え気味。あくまでもストリーミングができれば良いと割り切った性能。
バッテリー容量は5200mAhとしっかり多めで、ストレージはmicroSDカードで拡張可能です。
開封&内容物
今回はABXY Techさんから試作機をいただいたので、開封から見ていきます。
あくまでも完成品ではないので変更になる箇所はいくつかあるかと思いますので、その点はご了承ください。あくまでも検証といった意図が強いレビューとなります。
▲箱はこちら。多言語でありがとうと印刷された、なんだか見覚えのあるデザインのダンボール
▲そしてダンボールを開けると、専用ケースの中に収納されている二段構えでした。この仕様もなんだか知ってる。
本体外観
ビルドクオリティは高くない
▲正直、ビルドクオリティ、質感自体はそこまで高くありません。まぁ試作機なので変更があるとは思いますが、コストを抑えている印象です。
基本はXBOXボタン
▲本体表面、右側にはメニューボタン、XBOX配置のABXYボタン、アナログスティック、ホームボタンとスピーカー、
左側にはビューボタン、アナログスティック、十字キー、XBOXボタン、スピーカーです。
基本的にはXBOXコントローラー+ホームボタンのようなボタン配置で、実際に遊ぶ際にもXBOXコントローラーとして認識されます。
▲背面にはabxyluteのロゴ、メイドインチャイナなどの説明が記載されています。
特徴的でエッジの効いたグリップがユニーク。製品版ではグリップ部分に滑り止めテクスチャのつぶつぶが付くらしい。
▲本体上側面には左からL1L2ボタン、ボリュームボタン、電源ボタン、R1R2ボタン。穴が空いているのはおそらくマイク。
下側面には左からUSB-C端子、イヤホンジャック、MicroSDスロット。こちらの穴もマイクでしょうか。
▲左右側面には何もありません。
ネジ穴が一つもない
▲側面を見ていて気付いたんですが、よくよく考えるとこの機種、ネジ穴が一つも無いんですよね。おそらくシェルがツメで噛み合っているんだと思いますが、それにより更にスマートなビジュアルとなっています。
ただ、かなり無茶しているデザインのせいか、前面と背面のつなぎ目部分は多少隙間が気になります。
薄さがとにかくやばい
▲最大の特徴だと感じたのがこの薄さです。
みてくださいこれ…グリップ部分がわずかに膨らんでいるだけで基本的に薄い上、本体側面をなるべく薄くしたディテールとなっているので、めちゃくちゃに薄く見えます。
▲上側面も同様なディテールになっていて、非常に薄い。
この、少しでも薄く見えるようにしているデザインが本当に新鮮で、これまでのゲーム機とは一切違うぞ、という心意気を感じます。
サイズとしてはニンテンドースイッチくらいなんですが、その薄さも相まってこんなゲーム機これまで無かった!と興奮します。
他のゲーム機との比較
▲従来のゲーム機代表(?)としてゲームボーイアドバンスとの比較
▲このハードと同じくAndroidを搭載したRetroid Pocket 3+
▲SteamDeck。デックと並べるとどんなゲーム機も小さく見えます。
▲ニンテンドースイッチ有機EL版。ほぼほぼ同じ寸法ですが、手にした印象としては全く異なります。
操作感
グリップ感は良い
▲グリップ感はかなり良さげです。出っ張ったグリップ部分に中指と薬指が引っかかり、安定感のある持ち心地です。
また重量バランスもよく、均一に重みが伝わってくる感じがあり、重く感じず快適です。Switch有機ELモデルとほぼ同じ重量の430gですが、グリップがあり、薄い分かなり軽く感じます。
ボタンの位置は全体的にもうちょっと上だったら良いな~と最初は思いましたが、使っているうちに慣れて気にならなくなりました。
ボタンは正直今一つ
▲ボタンの押し心地は正直イマイチです。安定感はありますが、若干の柔らかさを感じるボタンです。使っていれば慣れてはきます。ボタンが光るのはカッコイイ。
というかボタンの印字を良く見てみると、Bの真中部分に隙間が空いていたり、Xの真中が十字に隙間が空いていたりと、普通のフォントじゃないんですよね。かなりデザインが細かい。
▲十字キーもABXYボタン同様の柔らかさを感じるボタン。それぞれの方向入力を単体で、それこそメニュー画面で使う程度では問題ありませんが、斜め入力などはしにくいので十字キーメインでの運用がしたい人にはお世辞にもオススメできません。
あくまでもこのハードはストリーミング専用機、補助的な使い方、アナログスティックでの操作が前提…であったとしても多少気になります。
肝心のアナログスティックは最新のAnbernic端末と同様の、フチに滑り止めがついているようなものが採用されていて、なかなか使いやすいので、その点においては良い感じです。
▲ショルダーボタンは縦並び。L1はカチカチとしたタクトスイッチのタイプ、L2は奥に倒れるタイプ。
画面・スピーカー
ディスプレイには文句なし!
ディスプレイも綺麗、必要十分な解像度で良いと感じます。
SteamDeckやニンテンドースイッチよりも高い解像度なので、普段そちらを使っている方はより綺麗な液晶だと感じるかと。
色味は若干暖色寄りではありますが、気になることは無いニュートラルさ。
輝度はかなり高く設定できて、目視で確認してみると最新スマホと同じくらいの明るさは出る良い液晶です。これだけで嬉しい。
他機種との比較
▲SteamDeckと比較すると、まず画面サイズに目がいきます。SteamDeckも同じ7インチではありますが、縦横比が異なるため体感的にこちらのほうが画面が大きく感じます。
▲ニンテンドースイッチ有機EL版と比較してみると、やはり有機ELと液晶では彩度の高さに違いがあるものの、そこまで大きく差異は感じません。
スピーカーはイマイチ
スピーカーはステレオなので左右からしっかりと聴こえて良く、持ち方によっては若干指の干渉はあるものの問題とは感じません。
が、音質はお世辞にも良いと言えません。ザラッとした低音が弱めの音色で、画面解像度が高く、高画質な映像表現で見れるだけに音質の悪さは気になります。ここはもう少し頑張ってほしいと感じます。
使い方
では早速初回起動からの使い方を紹介していきます。
また、本端末はレビュー時点では技適未取得なので「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」を利用し、様々な検証を行っていきます。ちなみに製品時点では技適取得予定らしいとのこと。
独自のメニュー画面、独自の使用感
▲電源ボタンを長押しして起動すると、このような画面が表示されます。Androidを搭載しているかと思いきや、これまでに見たこともないSwitchのようなメニュー画面・・・なにこれ・・・?
と思うかもしれませんが、これはテンセントが開発したLogitech G Cloud用のランチャーと表示方法やアイコンなどを見るに同じもののようです。
ちなみにPlay Storeや上の方にあるアカウントなどは試作機段階では使用不可ですが、製品版では使用可能になるようです。
▲一番右のすべてのアプリを押すことで全アプリを見ることができます。基本的にはAndroidと同様な使い方ができますが、画面上から下へスワイプして通知を出したりできなくなっています。
▲その代わりホームボタンを長押しすることで、クイック設定と呼ばれる項目が左にブワンと出てきて、明るさや音量、効果音などを設定できます。これも既視感がある。
日本語設定、タブレットモードも可能
▲普通のAndroidとして使いたいよ~って人はここの設定からタブレットモードに切り替えるを押すことで可能です。他にもいくつか設定を行いました。
・Language & Date(言語と日付)→ Add a languageで日本語を追加し、日本語に変更
・日付と時刻で日本標準時に
・電池 → ステータスバーに電池残量を%で表示
▲タブレットモードにするとこう。普通に、ランチャーを変更することもできて、通知バーも使えます。
やはり性能の低さは感じる、AnTuTuベンチマーク結果
さて、使っていて思ったんですが、いくらストリーミング専用端末としてスペックが抑えられているとはいえ、メニュー画面で触っている時点でスペックの低さは感じます。
▲AnTuTuベンチマークを測ってみても、お世辞にも良いとは言えない11.5万点という数値。スマホで言うとSnapdragon 630のXperia Aceが14万点なので、それよりも低いというのは正直頼りなくはあります。
ストリーミング・リモートプレイ
では実際にこの端末のメインでもあるストリーミングでのゲームを遊んでみたいと思います。
そもそもAndroidにはシステムレベルの遅延がある
その前にですが、Androidはこの端末に限らずシステムレベルで遅延が有り、人によっては気になるといったことが注意点としてあります。これを言っては本末転倒なのですが、その上で更に遅延があるストリーミングプレイと言うのは、遊ぶゲーム(格ゲーやFPS)によっては問題外だと思うので、それを踏まえた上でどうなのか、というのを検証していきます。
Xbox Cloud Gaming
▲クラウドプレイを代表する?Xbox Cloudで試してみました。正直これは、快適とは言えません。ラグい感じがあり、なんでか時折ブロックノイズが乗り、音も途切れたり、動きのあるアクションゲームだと結構気になります。
遅延に関してはまぁ一人用のゲームをライトに遊ぶ程度であれば個人的には遊べるかな、という程度ではありますが、画質の低下に関しては気にはなります。
速度が原因なのか?と思い、みんな大好きFast.comにて回線速度を調べてみると、私のネット環境としてはWifiで300~350Mbpsくらい出るのですが、この端末で調べると200Mbpsくらいしか出ていませんでした。何故なのかは分かりません。
PSPLAY
▲我が家にはPS5はありませんが、PS4はあるのでそちらをリモートプレイで試してみました。結果としては、画質はあまり高く表示されず、(多分720pで表示されている?)たまにエラーで落ちたりするので、そこまで快適とは言えません。
ただこれに関してはこのハードに限った問題ではなく、前に別端末でリモートを試した時も同様の感じだったので、PSのリモートプレイってこんなもんだよな・・・ってところです。PS5は分かりません。
Steam Link
▲ゲーミングPCをSteam Linkで遊ぶのが一番快適でした。ばっちり1080pで表示されますし、心なしか遅延も少ない、音の途切れやノイズもほぼ感じないと、これが最適解だと感じます。
そこそこ軽い7インチディスプレイのハードで、解像度1080pのゲームを手のひらで遊べる心地よさは、確実にあります。
まぁ、ゲーミングPCを持っているという前提にはなりますが・・・。
▲ちなみに最近のSteamLinkのメニュー画面はこんな感じになったので、もうこれSteamDeckやん!って叫んでいます。
エミュレータ
さてここから先はレトロゲームをエミュレータプレイという少し踏み込んだ使い方を試します。いつものお約束を掲載しますがご了承下さい。
エミュレータで遊ぶには
エミュレータで遊ぶためには原則以下のものが必要となります。
・吸い出し機(ダンパー)
エミュレータを使う際にはゲームイメージの吸い出しを各自行う必要があります。(中華ゲーム機のざっくりとした解説はこちら)
ダンパーには色々ありますが、一台だけでゲームボーイ・ゲームボーイカラー・ゲームボーイアドバンス・メガドライブ・スーファミ・64のゲームイメージとセーブデータの吸い出しが可能なCartridge Reader(レビュー記事はこちら)をおすすめします。
(サイトは英語ですが、日本でも購入可能です)
また少しでも安く済ませたい方はGAMEBANK-web.comのダンパーを必要なハードだけ購入する、PS1、PS2、セガサターン等だけを遊びたい!って人はDVDリーダー+PCがあればなんとかなります。
・PC
データを管理するのに必要となります。
・MicroSD
ゲームイメージ保存用に推奨。PS2とかを遊ぶ場合では512GBくらいあっても良いかと。
・MicroSDリーダー
MicroSDをPCで読み込むために必要となります。
大画面で、良い。
まず感じた点については、大画面が良い!という点です。解像度も高いのでスケールが合っていなくてもドットがピクセルパーフェクトに見えますし、このスマートなハードでこの見え方は、正直アリです。
ギリギリPSP
性能的にはやはり低いので、PSPでギリといった印象です。そのPSPでもタイトルによっては処理落ちして遊びにくかったりするので、せめてここは遊べてほしかったという気持ちです。
ただ画面比率は一致して、解像度はグンとアップしているのでPSP LLみたいな感じで遊べるのは非常に気持良いです。
他、気付いた点
急速充電できない、急速充電ケーブル・電源だとそもそも充電できない
これ地味に気になる点なんですけど、急速充電ができないんですよね。なので充電速度が遅い上、普段スマホ用、SteamDeck用に使っているケーブルや電源とかが流用できません。これが絶妙に不便で、あーいちいち別の電源を用意せねば!となります。
MicroSDが刺さらないかと思うくらい深い
一瞬MicroSDが刺さらないのかと思いましたが、すごく深いだけでした。飛び出ないようにという工夫だとは思いますが、にしても深い。
感想:若干の物足りなさは感じるが、面白い
この端末・・・というかストリーミング専用機は、ハードとして思った以上に面白いです。
ストリーミング専用に絞ったからこの薄さ、この金額が実現できただろうし、7インチの大画面1080pが良い、バッテリー持ちも良い、独自のメニュー画面も面白い、何よりこの薄さが痺れる(二回目)
やはり気になったのはこのギリギリを攻めすぎたCPUスペックと、地味にスピーカーの悪さ。ストリーミング/リモートプレイだけだとしても、より快適に遊べるようにせめて最低でもAnTuTu20万点くらいは欲しいなと感じますし、映像が良い分音質の悪さが気になってしまいます。
デザインは良いので、もうちょい高くしても良いので、もうちょいスペックを上げればもうちょい色んな使い方をしたい人に刺さってもうちょい売れるのでは?と感じました。