ずっと欲しかったけど転売ヤーのせいでずっと買えなかったNintendo Switchの有機EL版。
最近ようやく買えるようになったので、今更ながら購入してみたんですが、もしかして今購入するのは微妙かもしれない・・・?と感じてしまいました。
肝心のアップグレードされたディスプレイが、むしろマイナスに働いているような気がする、なんともアンバランスなハードに感じました。
おそらくこれは、そもそも有機EL版がディスプレイのみのアップグレードしかしていない・・・といった点だけではなく、Steam Deckを気に入って使っていたあとに購入したから、というのもありそう。
ということで、旧型のニンテンドースイッチやSteamDeckと比較しながら、有機EL版のSwitchをレビューしていきます。今からニンテンドースイッチを買おうと思っている人やSteamDeckを気になっている人も参考にしてみてください。
動画版レビュー
通常のNintendo Switchと有機EL版Nintendo Switchの比較
通常モデルと有機EL版の違い一覧
項目 | 通常モデル(ニンテンドースイッチ) | 有機EL版(ニンテンドースイッチ) |
---|---|---|
画面サイズ | 6.2インチ | 7インチ |
画面の特性 | 液晶ディスプレイ | 有機ELディスプレイ |
画面のコントラスト | 低い | 高い |
画面の発色 | やや劣る | より鮮やか |
本体保存メモリ | 32GB | 64GB |
ベゼルサイズ | やや大きい | より小さい |
本体スタンド | 単一の角度 | 自由な角度で調整可能 |
ドックのLANポート | なし | あり |
スピーカー | 通常 | より良い音質 |
価格 | 32,978円 (値上げ前29,980円) | 37,980円 |
発売日 | 2017年3月3日 | 2021年10月8日 |
ひとまずニンテンドースイッチの通常版と有機EL版の違いを表にしてまとめました。
有機EL版というだけ有りほとんど違いは無く、大きく変わった点は画面サイズ、他の部分はマイナーチェンジといった感じでしょうか。
有機ELディスプレイは何故綺麗なのか
そもそも有機ELディスプレイは、画面全体をバックライトで照らす液晶ディスプレイとは異なり、各ピクセルの有機EL素子が自ら発光して画像を表示します。
このため、有機ELディスプレイは高いコントラスト比、鮮やかな色彩表現、そして速い応答速度が特徴です。また、ピクセルの発光をオフにすることで深い黒色を表現できるため、液晶ディスプレイよりも美しい映像が楽しめます。
ただし、有機ELディスプレイには長時間同じ画像を表示すると、その画像が残像のように表示される焼き付きが発生することがあります。これは故障や不良ではなく、一般的な有機ELディスプレイの特性によるものです。なので任天堂はユーザーに対し、焼き付きを防ぐために以下の注意事項を提案しています。
焼付きは実際に起こるのか
有機ELディスプレイは焼き付きが起こりやすいとされていますが、実際のところどの程度の問題があるのでしょうか。
YouTuberのBob Wulff氏は、Nintendo Switch(有機ELモデル)のディスプレイに焼き付きがどの程度の時間で発生するか検証しました。
同氏は『ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド』の光が強いシーンを用い、7000時間経過後の結果を報告しています。
その結果、薄い青色の焼き付きが白い背景で確認できましたが、暗い画面ではわずかに見える程度でした。Wulff氏は一般的な利用において、Nintendo Switch(有機ELモデル)の画面の焼き付きを心配する必要はないと結論づけています。
ということで、そこまで心配する必要も無いようです。というのも実際私も有機ELを搭載したPSVitaの初期型やスマホを利用していて、焼付きが起きたな・・・と感じたことはありません。
ベゼルの縮小と高級感
ということで、ニンテンドースイッチ通常版と比較しながら有機EL版を見ていきます。
▲まず最初に感じたのが、高級感が上がったなという点。
画面のフチ、ベゼルが小さくなったのに加えて、ディスプレイと保護ガラスとの隙間が完全にゼロになったので、より現代的な仕様になり、最新の端末を触っている感がより大きくなりました。
そういった細かなディテールの変更がリッチさに繋がっていて、言うならば、iPadがベゼルレスなデザインになったくらいの感動はあります。
そしてベゼルの小ささにより、厚めのコントローラーを装着しても全然違和感が無いんですよね。
通常版のSwitchではそれこそグリコンなどを装着すると、ただでさえ厚めのベゼルがより太く、横長になってしまった感じがあり、サイズの大きさがかなり気になるデザインになってしまっていたんですが、
有機EL版では画面のすぐ横にコントローラーといった見え方になるので、でかいコントローラーも気兼ねなく装着できます。もっと沢山グリコンみたいなコントローラー出てほしいんですけどね・・・。
可変角度スタンド
▲地味に便利なのが背面のキックスタンド。通常版Switchのキックスタンドはプラスチック製で、なんとも頼りないすぐに折れてしまいそうなもので、ほとんど使っていなかったんですが、
今回のこの有機EL版のキックスタンドは
・幅広で安定感がある
・金属製で頑丈そう
・角度を自由に設定することができる
・本体側に滑り止めがあるので、動きにくい
といった特徴があり、スタンドを出した状態で普通に遊びながら、ちょっとムービーシーンなどに入ったらそのままテーブルの上に置いて・・・みたいな遊び方が可能です。
これが地味に便利で、少し腕が疲れた時の休憩としても活躍しているし、動画鑑賞用として置いておくのも良いかも知れません。より活躍の幅を広げた感があります。
電源ボタン・スロットカバーもマイナーチェンジ
▲実は電源ボタンまわりもマイナーチェンジしていて、電源ボタン・ボリュームボタンは横長になりファンの排気口は細く目立ちにくいように、スロットカバーは四角くスタイリッシュになっています。
ボタンはより押しやすくなり改善されたと感じますが、スロットカバーは若干開けにくくなったように感じます。まぁ、私が遊んでいるのは9割ダウンロードソフトなので開ける必要が無いんですが・・・。
▲下側面は特に変更なしです。新旧ドックを共有できるようになっています。製品番号のシールは有機EL版ではスタンドの内側にひっそりと貼られています。
▲側面には特に変更は無いと思いきや、止めているネジの数が減るなどの変更がされています。
ドックの有線LAN対応
▲有機EL版Nintendo Switchのドックは通常版のものよりも質感が高くなっている上、有線LANを搭載しています。
これにより、安定したインターネット接続が可能になり、オンラインゲームでのパフォーマンスが向上します。通常のニンテンドースイッチで有線LANを使いたい場合、別途LANアダプタを購入しなければいけなかったので、必要な方にとっては便利なアップグレードかと。
本体保存メモリの増加(64GB)
有機EL版Nintendo Switchは、本体の保存メモリが64GBに増加しています。これにより、より多くのゲームを保存できます。通常のニンテンドースイッチでは、本体の保存メモリが32GBでした。
ちなみに私は512GBのMicroSDを刺して使っているので、32GB増えたところで・・・感があります。
スピーカーの向上
有機EL版Nintendo Switchでは、スピーカーが向上しており、より高品質な音声が楽しめます。
音色としては通常のニンテンドースイッチと同じようなこもりぎみなものですが、低音がよりしっかりと出るようになり、ダイナミックなサウンドとなったような印象です。
画面が良すぎて微妙な理由
スイッチ携帯モードでのゲーム内解像度の低さ
Nintendo Switchはバッテリー持続時間を伸ばすため、携帯モードで遊ぶ際には意図的にゲームの解像度を下げています。どれくらい下がっているかというと、
Switch自体の解像度は1280×720ピクセル、つまり720pとなるので、同じく720pで遊べるゲームにおいてはそこまで気にならないと思いますが、540p(960×540ピクセル)などのゲームによってはだいぶボヤけて表示されることとなります。
有機EL版は本当に画面が綺麗になったのか
▲有機EL版ディスプレイはたしかにものすごく発色が良く、コントラストが強い画面で、大体の人は「ものすごく綺麗・・・」と声を漏らすでしょう。
しかし画面がきれいになったとは言ったものの、同じ解像度で画面が大きくなった分、ppiは下がっています。
大きくなった分ドット感が目立ち、よりジャギーを感じる様になったのは事実です。
解像度の低さが目立つ
そしてこの大画面により、ゲーム内解像度540pくらいのゲームをやった時の画面の粗さを強く感じます。簡単に言うのであれば、3DSから3DS LLになったときのような印象。
特に有機ELによる発色が良いハードなのに、ものすごく勿体ないと感じます。せめてゲーム側で解像度を選べればよかったんですけど…シンプルにSwitch自体のマシンスペック問題などもあるんでしょうね。
Steam Deckとの比較での違いが際立つ
そしてこれが最大の原因なんですが、SteamDeckに慣れてしまうと、有機EL版Switchの画面解像度の低さには正直耐えられません。
▲具体的に言うと、イーストワードのような2Dグラフィックのインディーゲームなどであれば、動作も軽く、しっかりと720pで遊ぶことができるので、有機EL版Switchのほうがリードしますが、
例えばドラクエ11Sといった3Dタイトルでは、圧倒的にSteamDeckのほうが美しいグラフィックで遊べます。
SteamDeckは有機ELSwitchと同じ7インチ(縦横比は異なります)なので、ディスプレイにおいてはほぼ同じゲーム体験になりそうなものですが、SteamDeckではしっかりと720p(800p)で出力されます。なので画面の密度が段違いで、圧倒的にSteamDeckのほうが綺麗に見えます。
▲こちらはドラクエ11のスクショを拡大したものなんですが、見てわかる通り明らかにクオリティが違います。単純に解像度の違いだけではなく、フィールド上の草木の量やテクスチャ解像度、fpsもスチームデックでは60fpsで遊べるのでヌルヌルです。
もちろん慣れてしまえばそこまで気にはならなくなりそうではありますが、ゲームを進めるモチベーションは下がりますよね。
ディスプレイ以外のアップグレードが限定的
有機EL版Switchではディスプレイがアップグレードされていますが、それ以外の部分はほとんど変わっていません。そのため、新鮮味がなく、マイナスに感じられることがあります。
▲例えば有機EL版Switchのジョイコンは従来のものと同じで、新鮮味はありません。なのでハードとして、まったくの新しいハードを手にした感は非常に少なく感じます。
さわり心地程度でもいいので何かしら少し新しい要素を加えてほしかったと思います。
という理由でグリップコントローラー Fit for Nintendo Switchを買ったんですよね。
ピカチュウかわいい
感想:買い替えてより良いゲーム体験になっただろうか?
感想としては、正直に言うと買わなくてよかったな…って感じです。
任天堂のソフトは任天堂ハードでしか遊べないので、スイッチ自体買う価値はありますが、買い替えてより良いゲーム体験になったかと言われると微妙です。
ゲーム内解像度の粗さを目立たせているといった意味ではむしろ逆効果になってしまっているように感じます。
このあたりが気になる方は、意外とスイッチライトの方が気に入るかもしれません。スイッチライトは解像度同じまま画面が小さくなっているので、逆にppiが上がっています。
まぁ・・・Nintendo Switchはなんだかんだ2017年、つまり6年前に発売したハード。6年前と言うと、iPhoneで言うと10です。そりゃあスペック不足は感じるに決まってますよね。もしくは、SteamDeckを手にしていなかったらまた違った感想になっていたかもしれません。
Switch Pro、いつ出るんだろう・・・。