ここ数年、エミュレータ機というものがかなり増えてきていますが、起源となるのは何なのかというとおそらくこれ、2009年に発売した丁果A320。
それ以外にも有象無象のエミュ機は沢山ありましたが、このハードは操作性、性能、質感の良さが群を抜いていて、かなり人気でコミュニティも発展、開発されたカスタムファームウェア「Dingux」は現在まで継承されてきています。
私も当時欲しくなりアキバに買いに行き夢中になっていました。言わば現在の活動に繋がるルーツといっても過言ではありません。
それから数年経ち使わなくなったので手放してしまったのですが、このたび買い戻しました。いやはや、今触っても超かっこいいことに驚きました。まさに名機。
動画版
スペック&主な特徴
丁果 Dingoo A320とは
A320は2.8インチと小さめなディスプレイに四角いボディが特徴的のメディアプレイヤー兼携帯ゲーム機。海外ではDingoo A320、国内では丁果をそのまま「ちょうか」と読んで名前が通っています。ですが、どうやら読み方は中国でDīng guǒ、なのでDingooであることを考えると、ディングーと読むのが正解っぽいですね。
ビデオプレイヤーやテキストリーダーなど、メディアプレイヤー的な機能が初期搭載されていて、更に専用に開発された?ゲームがいくつかプリインストールされています。
色はホワイトがメインですが、後にブラックが出たり、アップグレードモデル?のA330なども販売されていました。細かなスペック詳細等は実機を見ながら解説していきます。
公式ホームページもありますが、現在見れないのでウェイバックマシンに保管されています。
A320がエミュレータ機の始祖と言われる所以を、記憶とネット上の資料を頼りにざっくりまとめてみます。間違っていたらご指摘ください、、、
元々は韓国のメーカーGame Park社がLinuxベースの携帯ゲーム機『GP32』を2001年に発売、こちらはオープンソースだったので動画再生などに加えて移植ゲーム、エミュレータなどができるマシンで、本当の意味での始祖と言ったらこっちなのかもしれません。流石に当時の事は私は分かりませんけど。
その後2009年に中国から丁果A320が登場、こちらも同様にメディアプレイヤー+ゲーム、エミュレータといった形のデバイスとして販売され、金額も1万円未満と買いやすく(70ドル?国内販売時の正確な金額は覚えてなく…)、相当人気が爆発していたようで、
有志によるカスタムファームウェア『Dingux』が開発され、デフォルトのOSに加えてLinuxを動かし、エミュレータを増やしたり、オーバークロックして動きを良くしたりとコミュニティ面でもかなり活発でした。ちなみにDinguxは現在も使われているOpendinguxで、RG350や最近で言うとGKDPixelも同じくOpendinguxベース(Gmenu2x?)のOSでしょうか。
同時期にGP32の後継機『GP2X Wiz』も販売され、A320よりもハイクオリティ、タッチパネル搭載等、私も所有していましたが品質が高かったような覚えがあります。しかし値段も18000円くらいと高かったような。
開封&内容物
新品ではありませんし、現在入手が難しいハードなのでざっくりと内容物を紹介します。
箱はこのようにいかにも中華機!といったビジュアル、謎の星のMicro Game Stationと心をくすぐられますよね。
内容物は保管状態が良かったようでおそらく完品、画面出力用のAVケーブル、昔懐かしいタイプのイヤホン、MiniUSBケーブル、説明書類、本体です。昔のiPodみたいなイヤホンが懐かしくて泣きました。
本体外観
昔所持していたのは白だったので印象が違うというのはありますが、やっぱすげ〜良い!!!と感じました。角ばった四角いデザイン、そしてディスプレイは一枚の板で完全にフラット。ビジュアルの良さで言ったら今でも負けてないどころか、今見ても圧倒的。すごい。
もちろん、デザイン以外の部分ではかなり古い仕様なので、今現在これで遊びたいかと聞かれると正直う〜んって感じではあるんですが、手に取りたい、所有欲の満たされ方で言うとかなりレベルが高いです。このまま現代仕様でリメイクして欲しい。
ボタンレイアウトは右側にABXY、スタート、左側に十字キーとセレクトボタン。
背面にはロゴなどが記載。ってあれ?ネジ止め部分、クッションみたいなのが付いていたような・・・一度分解したってことですかね?まぁ全然良いんですけど。
上側面にはLRボタン、下側面には左右にスピーカー、左からMiniUSB、MiniSD、AV端子と並んでいます。MiniUSBはさておき、MiniSDは懐かしすぎて泣けます。一瞬で無くなってしまったフォーマットのような。
左側面にはリセットボタンとマイク、右側面には電源スイッチとイヤホンジャック。電源スイッチがスライドさせるタイプ、ロック機能ありなのが明らかにPSPを意識していて、時代を感じます。
あと側面を見るとやはり開けた痕跡が。これはなんとなくですが、多分バッテリーを交換するために開いたと睨んでいます。
よくゲームボーイミクロっぽいと言われますが、実際に並べて比較してみると全然似ていません。サイズも全然違いますし、角ばった形状はしているものの、A320はより四角いです。しかしミクロは本当に可愛いですね。
操作感
ABXYボタンはラバーの押し心地で、若干フニャッとした感じはありながらも硬めの、引っかかりもなく十分問題ないレベルで良く、スタートセレクトボタンはカチカチとしたタクトスイッチで硬すぎずちょうど良いです。
ちなみにボタン同時押しができず、Bダッシュができないじゃないか!という問題がありましたが、ファームウェアアプデで解決されてやったー!ってなった思い出があります。
十字キーも同様のラバーの押し心地ですが、軽いながらもしっかりしたラバーであれば押しやすいんですが、こちらはちょっと柔らかすぎて入力が入りにくいと感じます。劣化が原因の可能性もありますが、もうちょっと軸が高くなってくれればとは思います。
ショルダーボタンはカチカチとしたタクトスイッチで、かなり小さいので操作性的には微妙ですが、握った際に人差し指が当たる位置にちゃんと置かれていますし、これくらいシェルデザイン優先のボタンレイアウトは今でも新鮮で、個人的には結構好きです。
画面・スピーカー
画面
ディスプレイは今となってはかなり古い仕様です。ラミネーションディスプレイではないので、液晶と表面との間に隙間がありますし、解像度も320×240と低め、そして視野角が狭くかなり白っぽい色味です。おそらく元々ガラケー用のディスプレイを横にして使っているので、画面がチラつく感じがあります。
ですがまぁ、ディスプレイについては当時から不満を持っていた記憶があります。やはり当時主流だったPSP等と比べてしまい、結構さまざまな点が気になってしまうんですよね。
あとやはり一番気になるのは画面のホコリ。ディスプレイと保護パネルの間に隙間があるので埃が入って溜まってしまう・・・。まぁこの仕様自体はPSPなども同じですが。
ということで分解して清掃しました。分解難易度自体は低く、ねじ止めを外してシェル側面のツメを外せば開けます。テープ留めなどはなく、全てネジだけで組み上がっているので楽でした。
スピーカーは左右に搭載されたステレオですが、良くないです。が、正直、こんなもんだったっけな?という感じ。もっと悪かったような印象がありますが、当時こちらもPSPと比較してかなり悪いと感じていたのでしょう。
今になって実機でめちゃくちゃ遊ぶようになったりしているので、レトロゲームなら別にこれくらいでも良いんじゃない?くらいに思います。
使用感
メニュー画面
メニュー画面はこちら。見てください、何とは言いませんが時代を感じますよね。一応日本語にも対応していて…というかカスタムファームウェアで日本語化したような?
それはさておき、メニューは左からゲームルーム、コンサート(音楽再生)、映画館(動画再生)、ラジオ、レコーダー、画像、ライブラリー(テキストリーダー)、テレビジョン(テレビ出力)、エクスプローラー、セット(設定)と並んでいて、
所々様子がおかしい翻訳がありますがまぁそれはさておきメディアプレイヤーらしく様々な機能が複合されています。
ゲームルームには3Dゲームとクラシックゲームの二つがあり、3Dゲームからは初期搭載されたオリジナルゲームも遊ぶことができます。
ちなみに4GBストレージが内蔵されています。4GBかぁ・・・。
イヤホンジャックも搭載されているので、このようにmp3データを入れて楽しむことも可能・・・というか2009年ってiPhone3GSが出た年ではあるんですけどまだまだ今ほどスマホが普及する前で、音楽を聴くにはiPod、Walkman、もしくはmp3プレイヤーを使うしか無かったので、かなり重宝したんですよね。
搭載エミュレータ
初期搭載されているエミュレータはNES、SNES、MD、GBA、NeoGeo、CPSー1、CPSー2とかなり少なめで、これに加えて有志によるカスタムファームウェアの導入などで増やすことができます。ですがまぁ性能としては結構低く、スーファミがフレームスキップ入れないと動かないレベル。
なのでしっかり遊べるとなると、スーファミ未満のものとなってきます。だからこそカスタムが盛り上がったというのもありそうですね。もうちょっと動いてほしい・・・!という意思。
オリジナルゲーム
せっかくなので今回は、プリインストールされているオリジナルゲームについて紹介していきたいと思います。簡単なパズルゲームだけでなく、バイオのような3D探索ホラーまで、意外と本格派なゲームが色々入っています。
ちなみにオリジナルゲームは日本語メニューで起動すると中国語リージョンになってしまうので、英語で起動すると英語で遊ぶことができます(一部ゲームを除く)
・7Days
バイオ風3Dアドベンチャー。結構雰囲気が良く、このハードに入っているオリジナルゲームの中で圧倒的にクオリティが高い
・Block Breaker
ブロック崩し。縦持ちで遊ぶ
・Amiba’s Candy
パズルゲーム。色を合わせて謎の生き物に食わせる結構独特なゲーム
・Decollation Warrior
ゴッド・オブ・ウォーみたいな感じのアクションゲーム
・Dingoo Link Em Up
パズルゲーム。絵を合わせて消していくタイプ
・MineSweeper
マインスイーパー。マインスイーパーの攻略方法、未だによく分かりません。
・Dingoo Snake
スネークゲーム。
・Tetris
テトリス。縦持ちで遊ぶ
・Ultimate Drift
レースゲーム。ドリフトしてニトロブーストするタイプ
この他にも有志による追加パックとかもあります。あとDingoonityが昨年閉鎖されていたのを知り、悲しいです。
感想
ということで、A320は今触っても色褪せずカッコ良く、名機足る所以を再認識しました。スマホより小さいコンパクトなサイズ感も良し、質感も良いですし、絶対に手放さないようにしよ・・・と深くケツイしました。
と思ったのと同時に、全部このまま現代仕様にアップグレードしてくれねえかなとの欲求が沸々と湧きます。
デザインそのまま、ラミネーションディスプレイのVGA画質、ボタンはAnbernicライクなしっかりとした押し心地、64くらいまで動くチップセット、USB Type-C、MicroSDなどなど・・・夢が膨らみます。