スマートグラスって、良いですよね。サングラスをつけている風で、目の前にはディスプレイが投影されているのでいつでもどこでも大画面でコンテンツを楽しめたり、PC作業ができます。
でなんですが、大体のスマートグラスって、目の前に一つの画面が表示されるだけで、正直それならノートPCでいいやと思わないこともないんですが、なんとこちらは複数ディスプレイに対応していて、メガネをかけるだけで、メガネの中でトリプルディスプレイ、みたいな使い方が可能です。
販売ストア
価格は一般販売予定価格111,420円(税込)
クラウドファンディング特別価格(GREEN FUNDING)
99,800円(税込):早期支援(〜2025年5月15日まで/10%オフ)
103,800円(税込):通常支援(2025年5月16日以降〜5月31日)
動画版
スペック&主な特徴
ASUS AirVision M1とは
ASUS AirVision M1は、ウェアラブルディスプレイというジャンルの製品で、ARやVRのような3D空間内の体験というよりは、目の前に浮かぶ「仮想ディスプレイ」としての使い方を重視したスマートグラスです。
約2m先に最大100インチ相当の画面が表示されるイメージで、用途としてはモバイルモニターや仮想マルチディスプレイといった印象。表示距離や画面配置などを自在にカスタマイズできるのが特徴です。
ディスプレイは0.49インチのMicro OLEDを左右に1枚ずつ搭載。片目1920×1080のFHD解像度、リフレッシュレート72Hz、輝度1100nit、DCI-P3 95%カバー率と、画質面でも非常に高い仕様となっています。視野角は38度、PPDは58と公表されています 。
本体重量は約87gと非常に軽量で、長時間の装着でも負担が少ないのもポイント。ノーズパッドも複数サイズが付属し、装着感を調整できます。
接続はUSB Type-C(DP Alt Mode対応)で、ROG AllyやWindows PCはもちろん、一部のAndroidスマートフォンやiPhone 15以降、ゲーム機(Steam Deckなど)でも使用可能。ただし、仮想ディスプレイのカスタマイズやマルチ表示、ヘッドトラッキングなどの高度な機能はWindows専用アプリ「ASUS AirVision」を使う必要があります 。
PC作業での仮想マルチモニター、出張中のポータブルディスプレイとしての活用、映画・動画視聴など。Androidスマホやゲーム機と組み合わせて、映像鑑賞・軽いゲームプレイに活用できそうです。
開封&内容物
では開封していきます。レビューサンプルをお借りしましたが、実際の商品と異なる可能性がある点はご了承ください。

箱はこちら。しっかりめの白い箱に、シルバーで製品画像がプリントされています。

箱を開けるとこちら。ケースに入った本体、説明書類、ライトシェード、インサートレンズフレーム、ノーズパッド、クリーニングクロス、USB Type-Cケーブルです。
本体外観

手に取った感じで言うとこれまでのどのスマートグラスとも違うと感じます。形状は結構丸っこくて、いわゆるボストン型っぽいデザイン。縦に長い?分レンズ部分がかなり大きめに感じます。

何もつけていない状態だとちょっと色がついたサングラス、そしてライトシェードをつけると真っ黒なサングラスといった具合に変わります。ライトシェードはマグネットでの着脱なので簡単に取り外しできますし、本体側のマグネット部分がデザインのように見えて素敵ですね。

装着側はこのようになっていて、いわゆる一般的なスマートグラスと同様に上部が大きく占有されていて、下部がサングラスになっているような作り。グラスのつる部分はかなり大きく柔軟に開くようになっています。

右側面にはASUS AirVisionの文字、そして左側にはタッチセンサーが搭載されています。
つる(テンプル)の下部にはスピーカーが搭載されています。

つるの左側にはUSB-C端子が搭載されています。
画面・スピーカー
画面

ディスプレイは片目が1920×1080なので実質FHDのディスプレイが目の前に現れるような見え方。かといってもどのくらい凄いのかはわかりにくいと思うので数値で示すと、こういったHMDデバイスではPPDという数値で表現されます。
これはPixel Per Degree の略で、視野角1度あたり何ピクセルか、という密度で、60PPDで視力1.0の人の見え方とのこと。その指標で言うと最新のVRデバイスであるMeta Quest 3は25PPDであるのに対して、本機は58とかなり高め。ピクセル感を感じないほどの高解像度です。
実際に投影される画面サイズ、つまり視野角は38度。もうちょっと広ければなと思います。ただ視野角は広くないものの、グラス自体の可視面積?が広めで、装着時の周囲の見え方はかなり良好です。画面ついてなかったら普通にサングラス。
スピーカー
つるに搭載されたスピーカーは十分にいい音質です。耳元で聞こえる、中高音がクリアで音量を上げても耳に刺さらない、この時点で及第点ではあるんですが、しっかりと広い音域で聴こえる感じがありグッドです。
より没入感を得たい方は別途イヤホン併用ですが、個人的には必要ないかなと感じました。
一点だけ注意点として挙げると、iPhone 15シリーズと接続した場合、スピーカーの音量調整が効かない設計になっており、Bluetoothイヤホンの使用が推奨されています
使用感
充電いらずで使用可能

本端末はバッテリー非搭載です。なので外部出力できる端末が必須になってくるのですが、端末側からの給電で使えるので充電する必要がないのが一つ便利ポイントですね。これ一つだけで気軽さが上がるのでかなり重要です。
フィット感

これは通常のメガネのように、全体がレンズなのではなく、下半分が覗き込めるスペースになっています。ですがレンズ部分が広めで見やすく、つるもしっかりホールドしてくれるので装着感としては快適です。
本体重量もかなり軽めで実測値で89グラムでした。重量で下がってくるようなこともないように感じます。
操作について

本端末はつるにボタンが搭載されているのではなく、タッチパッドが採用されています。タップやスワイプ、長押しなどのジェスチャーで明るさを変えたり、表示モードを切り替えたりとが可能です。
基本操作一覧
操作内容 | ジェスチャー | 備考 |
---|---|---|
明るさを上げる | 1本指で前へスワイプ | アプリ未使用時でも可 |
明るさを下げる | 1本指で後ろへスワイプ | 同上 |
再生 / 一時停止 | 1本指でタップ | 映像・音声再生時に対応(※フローティングモードのみ) |
表示モード切り替え | 1本指でダブルタップ | フローティング ⇔ ポジショニング |
仮想画面を中央に戻す | 1本指でタップ | ポジショニングモード時のみ |
3Dモード ON/OFF | 2本指で1.5秒長押し | SBS方式対応。Eye Careモード時は無効 |
クイック調整(明るさ/音量/距離) | 1本指で1.5秒長押し→前後スライド | メニュー表示後、前後スワイプで調整項目選択 |
また、タッチパッドの動作は表示モードやアプリの有無で挙動が一部変化します。個人的には着脱時に誤動作してしまうので、タッチではなくボタンが良かったなと感じます。
ノーズパッド・インサートレンズ

本機ではノーズパッド交換とインサートレンズの着脱が簡単に可能です。方法としては単純に引っ張るだけで、インサートレンズを装着してからノーズパッドの装着といった手順です。
インサートレンズはディスプレイレンズにピッタリハマります。実際に度入りのレンズではないので見え方としてはわかりませんが、邪魔になる、装着に違和感があるなどはありませんでした。
アプリを使う

本機は「ASUS AirVision アプリ」を使用することで真価を発揮します。こちらはAirVision M1を“仮想マルチディスプレイ環境”として使うためのWindows専用アプリです。
このアプリを使うことで、ただの外部ディスプレイではなく、仮想空間に複数の画面を自由に配置するなど柔軟な使い方が可能になります。
見え方としては、中央のディスプレイ部分に画面が固定されるような感覚です。ただ、完全にピタッと止まっているというよりは、わずかに“ゆらつき”がある印象で、乗り物酔いしやすい人は注意して使ったほうがよさそうです。
とはいえ、設定や視点の調整、画面配置によっても印象は変わるので、最初は無理せず慣らしながら使うのがおすすめです。
主な機能とできること
1. 仮想ディスプレイの追加・配置・削除
- 最大で複数の仮想ディスプレイを生成し、左右や上下に自由に配置可能。
- 3つのプリセットモードあり:
- 仕事モード(左右に2画面)
- ゲームモード(21:9 / 32:9 / 48:9表示)
- インフィニティモード(1枚の巨大画面)
2. ディスプレイ設定のカスタマイズ
- 表示距離(2m基準)や瞳孔間距離(IPD)の調整
- Splendidモードで色温度・コントラスト・明るさの最適化
- ブルーライト軽減(Eye Careモード)対応
3. ウィンドウの移動・切り替え
- 物理ディスプレイから仮想ディスプレイへのウィンドウ移動が可能
- ディスプレイ番号の表示、並び替え、削除も簡単操作で実行可能
4. ジェスチャー・ホットキー設定
- タッチパッドの操作をカスタマイズ可能(例:3Dモード、明るさ調整など)
- キーボードショートカット(例:Alt+Xで中央に表示)も設定可能
5. アプリ言語・モード設定
- UIの言語切替、日本語含む多言語対応
- 軽負荷モード設定(消費電力を抑えるが一部機能制限あり)
ゲームで遊ぶ
ゲームももちろん遊べます。UMPCやSteamDeck、DP altに対応したスマホやタブレットであればケーブル一本で大画面で遊ぶことができます。Nintendo Switchでも接続用のアダプターと電源を用意することで遊ぶことが可能です。
ただアプリが使えないゲーム機やスマホではマルチディスプレイや画面固定はできないので、その点は注意が必要です。
感想
ASUS AirVision M1は、ようやく仮想マルチディスプレイで使えるようになったスマートグラス。
軽くて装着感もよく、ただ映像を映すだけでなく、複数のディスプレイ環境を自由に構築できるのが大きな魅力。出先でノートPCと組み合わせれば、ちょっとした作業スペースが一気に広がります。
もちろん、アプリが使えない環境では従来のただの外部ディスプレイ止まりになってしまうので、Windows PCとのセット運用が前提という印象はあります。
個人的には「単体で画面固定できたらもっと良かったな」と思う部分もありますが、とはいえ仮想マルチディスプレイを使うのって結局PC環境が多いし、出力依存にしたおかげで本体がここまで軽量化されていると考えると、納得の設計です。