インドのゲーミング企業ARCが、Qualcomm Technologiesとの協業を発表しました。両社で新しい世代のゲーミングデバイスを設計・開発し、そこにQualcommの演算、AI、無線接続の技術を採用するという内容です。ARCが手がけているのは、インド発の携帯ゲーム機ARC X1と、その上で動く自社製OSのOwlOS。OwlOSはAndroid Open Source Projectをベースに、コントローラーでの操作を前提としたインターフェースとシステムレベルの性能最適化を組み込んだものだと説明されています。本体のスペックや価格、発売日は公式サイトのどこにも書かれておらず、いまはウェイトリストの登録を受け付けている段階です。
Qualcommと組んで次世代のゲーミングデバイスを作る

今回の発表は、ARCとQualcomm Technologiesが高性能なゲーミングデバイスの新しいラインナップを共同で設計・構築する、というものです。デバイスには演算、AI、無線接続の各分野でQualcommの技術が採用されます。狙っている市場はインドを中心とした新興国で、ゲーム人口が急速に増えている地域に向けた製品として位置づけられています。製品の詳細については、今後数か月のうちに公開されるとされています。
搭載されるチップの型番は公表されていません。ただ、Qualcommが携帯ゲーム機向けに用意しているのはSnapdragon Gシリーズで、他社のAndroid携帯ゲーム機でも採用が進んでいる系統です。演算とAI、無線接続をまとめて任せるという書き方からも、この系統のいずれかが候補になると見るのが自然なところです。
独自OSのOwlOSはAOSPがベース
ARC X1に載るのは、ARCが自社で開発しているOwlOSです。公式の説明によれば、ベースになっているのはAndroid Open Source Project。Androidの開けた性質と規模をそのまま活かしつつ、コントローラーを第一に考えたインターフェース、システムレベルでの性能最適化、複数のプラットフォームにまたがるゲームへのアクセスを組み合わせたものだとしています。ARCはこれについて、ゲーム機の中にAndroidを置いただけのものではなく、人が実際に遊ぶやり方に合わせてOSを組み直していると書いています。
AOSPを土台に選んだ理由も説明されています。ARM前提の設計なので電力効率の高いプロセッサに合わせて作れること、開発者向けの枠組みとソフト資産がすでに揃っていること、そしてランチャーを一枚かぶせるのではなくシステムの階層から体験を変えられることが挙げられています。一方でAOSPだけでは物理コントローラーやゲームライブラリ、持続的な性能、発熱の限界、複数のゲームサービスをまたぐ遊び方までは面倒を見きれない。その足りない層を作るのがOwlOSだ、という組み立てです。
ネイティブ、クラウド、リモートプレイを1つにまとめる
OwlOSが掲げている遊び方は3つあります。Android向けとARM向けに作られたゲームを本体でそのまま動かすこと、対応するクラウドゲーミングのサービスを使って本体の処理能力に頼りきらずに遊ぶこと、そしてリモートプレイのサービス経由でPCや据置機につなぐことです。さらに、ARMのハードウェアで動かせるゲームライブラリを増やすための互換レイヤーの研究も続けているとしており、DRMフリーのPCタイトルも対象に挙げています。
性能まわりでは、ゲームごとの電力の使われ方を学習して、性能と発熱、バッテリーの消費を自動で調整する仕組みを想定しています。参照するのは、使える電力、システムの温度、動いているゲーム、使われている操作系、プレイヤーが狙っているフレームレートなど。このほか、設定やライブラリ、実績、コミュニティを1つのアカウントにまとめる統一IDや、コントローラーと携帯機の画面に向けた最適化を助ける開発者向けツール、大手ストアで埋もれがちなインディーや地域のゲームを見つけるための仕組みも計画に含まれています。
ハードとOSを同時に開発している
OwlOSは、ARCのハードウェアと並行して開発が進められています。無数のハードウェア構成に対応しなければならない汎用のOSと違い、載る本体が決まっているぶん、デバイス全体を把握したうえで作れるという主張です。ARCはこれを、ハードとOSは別々の製品ではなく1つのゲーミングシステムだと表現しています。OwlOSの出発点になるのがARC X1で、その先は1台の端末にとどまらず、将来の携帯機や画面、別の形の機器にも広げていく構想が示されています。
インドから作る、という立ち位置
ARCは2025年に設立された会社で、法人名はZenali Innovative Technologies Pvt Ltdです。掲げているのは、高価なシステムを何台も揃えなくてもいいこと、OSが体験の裏に隠れて操作と性能とゲームが一続きに感じられること、そして地域や言語、文化に合ったゲームやサービス、コミュニティに出会えることの3点。既存のゲーム市場の前提ではなく、次の世代のプレイヤーが必要とするものに合わせてOSの形を決める、という書き方をしています。公式サイトでは開発日誌やハードウェアの設計図を含む開発の記録も公開されています。
スペックと価格、発売日は未発表
ARC X1の画面サイズや解像度、チップの型番、メモリ、バッテリー容量、価格、発売時期は、いずれも公式サイトに記載がありません。Qualcommとの協業が発表された時点でも、公開されたのは組む相手と技術の分野までです。いま公式サイトでできるのはウェイトリストへの登録で、登録すると開発の過程を追えるほか、ARC X1を早い段階で試す機会が案内される場合があるとしています。仕様や価格、発売日が出てきたら、この記事を更新します。
情報源:ARC公式。