とうとう出ました、4:3の有機EL、そしてある程度高いスペックのハンドヘルド。Retroid Pocket Nova。
こちらはみんな大好きRetroidのAndroid搭載携帯ゲーム機シリーズに加わった新しいモデル。QCS8550に8GBまたは12GBのメモリ、128GBのUFS 3.1ストレージという中身はシリーズのフラッグシップ級のまま、画面だけが横長をやめて4:3になりました。
先に言っておくと、4:3の携帯機そのものは、もう珍しくありません。ANBERNICは4.7インチの4:3を何機種も出していますし、AYANEOも4.2インチの4:3を投入済み。ただ、そのあたりはどれも液晶です。4:3で有機EL、そこにこのクラスのSoCという組み合わせは、いまのところNovaだけ。
16:9の画面で4:3世代のタイトルを起動すると、左右に黒帯が出ます。実際に絵が表示できる面積は、画面サイズの数字ほど大きくならない。その余白がまるごと絵に変わると考えると、けっこう迫力があります。完成度・パフォーマンスの良さに対して価格の低さが際立つRetroidシリーズですが、今回はスペックの積み増しではなく画面の比率で攻めてきました。
販売ストア
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販売は原則公式ストアのみとなっています。国内の代理店経由での取り扱いは現状ありません。金額は8GBモデルが239ドル(約3.8万円)、12GBモデルが269ドル(約4.3万円)、送料別。Crystal・Ice Blue・Clear Purple・Watermelonの半透明系4色はそれぞれ5ドル高く、8GBモデルが244ドル(約3.9万円)、12GBモデルが274ドル(約4.4万円)です。円換算は1ドル159円で計算しています。
ストレージはどちらの構成も128GBで、容量違いの選択肢はありません。足りない分はTFカードで足す形。
動画版
スペック&主な特徴
| ディスプレイ | 4.5インチ AMOLED / 960p 120Hz(画面比4:3) |
|---|---|
| SoC | QCS8550(Kryo Prime 3.2GHz×1 / Kryo Gold 2.8GHz×4 / Kryo Silver 2.0GHz×3) |
| GPU | Adreno 740 / 680MHz |
| メモリ | 8GB または 12GB LPDDR5x |
| ストレージ | 128GB UFS 3.1 |
| ストレージ拡張 | TFカードスロット(microSD) |
| OS | Android 13(公式OTAアップデート対応) |
| バッテリー | 5,000mAh |
| 接続 | Wi-Fi 7 / Bluetooth 5.3 |
| 冷却 | アクティブクーリング |
| 操作系 | 3Dホールスティック / アナログL2・R2トリガー |
| サイズ・重量 | サイズは公式記載なし/重量はガラスフィルム込み実測約262g |
| カラー | GC / 16Bit / Black / Crystal / Ice Blue / Clear Purple / Watermelon |
| 構成 | 8+128GB / 12+128GB |
| 価格 | 239ドル・約3.8万円(8GB)/ 269ドル・約4.3万円(12GB)※半透明系4色は各5ドル高 |
Retroid Pocket Novaとは
Retroid Pocket Novaは、Androidをそのまま積んだ横型の携帯ゲーム機です。エミュレータを動かして昔のタイトルを遊ぶのが主な用途。Google製のアプリやストア経由のゲーム、クラウドゲーミングも同じ端末で扱えるのがAndroid機の強みで、いわゆるエミュ機のなかでは汎用機に近い立ち位置になります。
軸になっているのは画面です。4.5インチのAMOLEDで、画面比は4:3。Retroidが公式に出している表記は960pの120Hz。有機ELらしい黒の締まりと発色を、横長ではない比率で使える。そういう構成の機種。
4:3のエミュ機は2023年あたりから完全に定番化しました。ANBERNICのRG477MとRG476H、縦持ちのRG477Vはいずれも4.7インチの4:3で、リフレッシュレートも最大120Hz。AYANEOも4.2インチ4:3のPocket AIR MiniとPocket S Miniを出しています。ただ、ここに挙げた機種のパネルはすべて液晶。4:3という比率そのものではなく、そこに有機ELを持ってきたことがNovaの立ち位置になります。
中身はQCS8550。CPUはKryo Primeの3.2GHzが1コア、Kryo Goldの2.8GHzが4コア、Kryo Silverの2.0GHzが3コアという8コア構成で、GPUはAdreno 740の680MHzです。メモリはLPDDR5xの8GBまたは12GB、ストレージはUFS 3.1の128GBで、TFカードでの拡張に対応。OSはAndroid 13で、公式のOTAアップデートも用意されています。
4:3の機種としては最上位クラスの一角、という言い方がいちばん近いと思います。頭ひとつ抜けているわけではありません。AYANEO Pocket S Miniが積むSnapdragon G3x Gen 2は、公表されているクロックだけを見ればQCS8550より上ですし、発表も出荷もNovaより先。ANBERNICの4.7インチ勢はDimensity 8300で、こちらはGPUの格でNovaのほうが上になります。
バッテリーは5,000mAh。冷却はファンによるアクティブクーリングで、負荷をかけ続けたときに性能が落ちにくい作りです。通信はWi-Fi 7とBluetooth 5.3。操作系はホールセンサー式の3Dスティックと、アナログのL2・R2トリガー。
カラーはGC、16Bit、Black、Crystal、Ice Blue、Clear Purple、Watermelonの7色。GCと16Bitは往年の据え置き機を思わせる配色で、Crystal以降の4色は中身が透ける半透明系。
開封&内容物
では早速開封していきます。今回購入したのはIce Blue。半透明のクリアブルーです。構成はメモリ8GB・ストレージ128GBのモデル。

箱はこちら。いつものRetroidシリーズ通りのしっかりとした箱です。開封する際、蓋がマグネットになっている点など、独自のこだわりで魅せています。
内容物はこちら。簡易的なマニュアル、USB Type-Cケーブル、本体です。プレオーダー特典で換装用のバックパネルとガラスフィルムは付属しました。ガラスフィルムは結構ぴったり寸法で良かったです。バックパネルは膨らんだグリップにできるもの。個人的にはフラットが好きなのでそのまま使います。
本体外観
ファーストインプレッション

今回選んだのはIce Blue、名前のとおりのクリアブルーです。通常色より5ドル高い設定。それでもここを選びました。やはりクリアこそ至高なのでね…。質感はプラスチックらしさが残るタイプで、プラの密度感というか、そのあたりは価格なりに感じる部分もあります。

半透明の外装なので、光にかざすと中身が見えます。基板やネジ、ファンまわりがそこまでガッツリ透けて見えるわけではなく、ほんのりとみえてくるような感じ。これまでのRetroidのシェルと同等の雰囲気です。
また、少し前の流行りというか、あらゆるブランドで採用されていた前面ガラスのデザインではなくなっています。あくまで従来の伝統的なハンドヘルドのデザイン。
画面が4:3になったぶん、縦幅が大きいバランスになり、ベゼルのうすさやボタンレイアウトのバランス感も含め、全体的に良い感じにまとまっているように感じます。
ボタンレイアウト・インターフェイス
ボタンレイアウトは右側に、スタート、ABXY、アナログスティック、バック。左側に、セレクト、十字キー、アナログスティック、ホーム。アナログスティックは僅かに画面側に寄っています。
バック・ホームの隣はスピーカーです。フロントスピーカー良いですね。
背面には大きくファンの吸気口。Retroid Pocketのロゴが彫り込みで入っています。ネジ穴はありますが、手が当たる部分には来ない配置。


上側面には左から、L1L2、M1、ファンの排気口、ボリュームボタン、電源ボタン、M2、R1R2。今回はショルダーボタンに追加ボタンのM1M2が加わったのが地味に嬉しいポイント。下側面には、microSDスロット、イヤホンジャック、USB Type-C。
他ハードとの比較

Retroid Pocket 6と並べると、画面比率が違うぶん本体のシルエットもはっきり変わります。5.5インチの16:9に対して、こちらは4.5インチの4:3。数字の上では小さくなっていますが、縦幅はほぼ同じです。
同じRetroidでもRetroid Pocket Mini V2は3.92インチで1240×1080。8:7に近い比率なので、Novaとは別物です。こうして並べてみると、シリーズ内でも狙っている場所がそれぞれ違うのがよく分かりますね。
操作感
グリップはフラットなデザインで、いわゆるスイッチシリーズと同等。ショルダーボタンが縦並びなのでそこだけ突起しているような形状です。個人的にはフラットなボディが好きなので、これはありがたい。グリップがある方が好きな方は、背面パネルを交換しちゃいましょう。

重量はガラスフィルム込みで262g。程よい重量感で、ちょうど良いと感じます。地味にフロント下側のカーブが大きくなってるのがポイントで、手のひらが角に刺さりにくくなっていて、フィット感があります。

ABXYボタンはツルッとして平たいボタンで、遊び少なめ、しっかりとした硬めのラバーの押し心地。スタートセレクト、ホームバックボタンはカチカチとした感触で、静音性も高め。
十字キーはVitaライクな形状・寸法。感触もドームスイッチのプチプチとした押し心地で、シーソーも可能、入力は良好に感じます。
アナログスティックは中央が膨らみ、周囲に粒々とした滑り止めがあるタイプ。倒れ角度は大きめです。ホールセンサー式で、接点の摩耗によるドリフトが起こりにくいのもポイント。左スティックの位置は、遊ぶタイトルや持ち方、操作のクセによって快適度が変わってくる部分。ボタンと干渉すると感じる人もいそうですが、個人的には良いバランスだと感じます。
あと使っていて思ったのが、背面がフラットであると背面側の指の置き方が左右されないので、下のスティックを多用しても指が窮屈になりにくく、疲れにくいように感じました。最近グリップがある機種が多かったので、ここは改めての発見と言いますか。
ショルダーボタンはL1R1とM1M2がカチカチと音がするタクトスイッチ。感触は良いと感じます。L2R2はストロークが長いアナログトリガー。
画面・スピーカー
画面

4.5インチ、4:3のAMOLED。この機種を語るうえで外せない部分です。
PS1やニンテンドウ64、ゲームキューブ、PS2あたりまでの世代は、4:3のテレビに映す前提で作られたタイトルがほとんど。それを16:9の画面で表示すると左右に黒帯が入り、実際にゲームが映っている面積は画面サイズの数字ほど大きくなりません。もちろん引き伸ばしてフルスクリーン表示もできるはできますが、個人的には受け入れられません。
解像度横1280縦960という画素数は、4:3のタイトルを整数倍で拡大するときにも収まりのいい数字。
そして有機EL。4.7インチ級の4:3勢との差はここで、ANBERNICのRG477M・RG476H・RG477Vはいずれも液晶です。黒がきっちり沈むかどうかは、暗い背景のドット絵やPS2世代の暗いシーンでそのまま効いてきます。加えて120Hz駆動。エミュレータ側のフレームレートとの相性はタイトル次第ですが、Androidのメニューを触っているだけでも違いは分かる部分ですね。
ディスプレイはとにかく綺麗です。輝度もしっかり出て、有機ELによるバキバキの発色、画面サイズにしては高い解像度が視覚的に満たしてくれます。画面上下のベゼルの厚みも薄く、気持ちの良い見え方。下がわずかに大きいのは気になりますが、まぁ良いでしょう。
タッチ操作にも対応しているので、もちろんAndroidのホーム画面やアプリはそのまま指で扱えます。
スピーカー
スピーカーはフロントスピーカーで音質は特別良くないですが、ステレオサウンド感が心地良いです。位置的にギリギリ手が覆い被さることもなく、十分な仕様かなと感じます。イヤホンジャックがあるのでもちろんイヤホンで遊ぶことも可能。
使用感
では早速初回起動からの使い方を紹介していきます。
初回起動時
OSはAndroid 13。エミュレータもアプリもストアも、Androidの作法のまま扱えます。公式のOTAアップデートにも対応。

起動するとセットアップが開き日本語を設定可能、アプリ・エミュレータを選んでインストールできます。が、まぁ基本的にはAndroidなので全部自力で設定する必要があります。パーミッションの設定、ディレクトリ設定、そしてエミュレータ自体の設定などなど。Google純正アプリやPlayStoreも導入されているので、そちらからのインストールも可能です。
メニュー画面
デフォルトのランチャーは一般的なAndroid用のランチャーを超シンプルにしたようなもので、アプリ一覧や検索などはなく、時計ウィジェットだけがある、必要最低限なもの。他にもエミュ専用のランチャー(メニュー画面)があり、そちらを使うといかにもエミュ機なインターフェイスで使えるようになります。

こちらはエミュレータ一覧やアプリ一覧などをカスタマイズしながら設定できる、エミュ機のフロントエンドとしての機能をメインとしたランチャーです。スイッチライクなビジュアルでシンプル、使い勝手としては悪くありませんが、エミュレータ用のフロントエンドランチャーは他にも様々あるので個人で気に入るものがあれば変更してみるのも良いかと思います。最近はめちゃくちゃ色んなフロントエンド出ていますからね。
設定変更など

上から下にスワイプしてクイック設定から簡単に変更可能な項目がいくつかあり、パフォーマンスモードで消費電力を上げて強くしたり、ファンの強さを変更したり、スティックのLED色を変更したり、明るさを変えたり、消したりが可能。他にもゲーム中に画面右から左へスワイプする事でフローティングメニューのようなものが表示され、様々な設定が可能となります。その中でタッチパネル操作をコントローラーに割り当てることも可能。

DP出力でモニターやテレビに繋ぐことも可能。
ゲームをプレイ
採用されているチップのQCS8550は、実質Snapdragon 8 Gen 2と同等です。

AnTuTu ベンチマークスコアは総合スコアが約170万。
最新のハイエンドスマホと比べるとあれですが、十分戦える数値です。Android携帯ゲーム機としては強めな部類。同じ4:3のANBERNIC勢はDimensity 8300なので、GPU側の差はここに出るはず。逆にAYANEO Pocket S MiniのSnapdragon G3x Gen 2は公表クロックがQCS8550より上で、そちらとは近い勝負になりそうです。そちらは高いですけどね。
あまり深く検証はできていませんが、GC・Wii・PS2のタイトルをいくつか遊んでみます。タイトルによっては厳しいこともありますが、設定を適切に行えば十分遊べる感じです。採用されているSoCは安定感のあるもので、エミュレータに適していると言われています。実際、動作感としては非常に快適。解像度を上げようとすると若干フレームが落ちたりすることはありますが、個人的には問題ないと感じます。
4:3の画面で遊ぶと、左右の黒帯が消えて画面いっぱいに表示できます。16:9の機種で同じタイトルを起動したときと並べると、この満足度は数字以上。
動作感自体は十分動きます。ゼンゼロなどのコントローラー対応スマホゲームも動作します。が、本体ストレージが少ないので、スマホアプリやPCゲームインストールなどしたい場合は別のモデルを使った方が良さそうです。
ファンの音はSportにすると多少大きくはなりますが、かなり小さい方だと思います。音有りで遊んでいれば気になりません。ほぼ動かない設定にもできますし、Smartにしておけば熱くなったときだけ回る仕組み。
発熱自体はゲームのダウンロード中などはほんのりと画面側が暖かくなりますが、基本的に熱を感じません。
感想
絶対に良いと思っていましたし、想像通りに良い。ハンドヘルドというコミュニティの、ひとつの到達点のように感じます。皆がずっと求めていた、パワフルで美しい理想的なレトロゲーム専用機。マスターピースです。
Retroid Pocket 6からわざわざ買い替えるほどかと聞かれると、そこは遊ぶタイトル次第です。16:9のタイトルを中心に遊ぶなら6のままで不足はありませんし、4:3の世代を大きく映したい人にはこちらが刺さる。同じシリーズでも方向性が全く違います。
手にする前までは、これぞ真のRetroid Pocket miniだ!と思っていたんですが、まぁ実際触っているとそこまでminiには感じないサイズ感なので、それはそれ、という感じです。
このスペックでこの値段、しかも4:3で、有機EL。三つが揃っているから選ぶ機種であって、どれかひとつだけを求めているなら他にも道はあります。
レトロ専用でここまでのCPUスペックが必要かと言われたら正直微妙ですが、RAM高騰でかなり色々厳しい中、ギリギリを攻めてくれたと思います。納得感のある一台。