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エミュレータ機

【レビュー】完璧ハードの折りたたみ版『Retroid Pocket Flip』

エミュレータ機

ゲームボーイアドバンスSP、DS、3DS・・・懐かしいですよね。折りたたみのゲーム機。

折りたためると、小さくなるし、画面も保護できるし、『携帯』ゲーム機としては持ち運びにかなり重宝しました。

今回Retroid社が出した新作の携帯機は、その名もRetroid Pocket Flip『フリップ』と名前がつくように、本端末は折りたたみのAndroidゲーム機です。簡単に言うと、Retroid Pocket 3+の折りたたみバージョン。

販売ストア

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Retroid Pocket Flipは159ドルで、スポーツレッド、ウォーターメロン(クリアレッド)だけ15ドルプラス164ドルで販売となっています。ちなみに同じCPUスペックのRetroid Pocket 3+は149ドル。

※Retroid製品の販売は基本オフィシャルストアのみなので注意。謎の銀行振込しか使えないストアとかで買わないようにしてください。絶対に。

動画版

スペック&主な特徴

Retroid Pocket 3+とは

RetroidPocketはフランス?のRetroid社が販売しているシリーズのゲーム機で、本端末Retroid Pocket Flipをざっくり説明すると以下。

・Androidを搭載
・4.7インチで折り畳める
・原神、PS2、GCあたりがそこそこ動く
・カラバリ豊富
・品質もそこそこ良い
・そこそこ安い

過去にも折りたたみのゲーム機はGDP XDを始めとして色々と出てきていますが、Retroid社としては初めての試み。

Retroid Pocket Flipのスペック

名称Retroid Pocket Flip
システムAndroid 11
対応ゲームAndroid専用ゲーム、PSP、ドリームキャスト、セガサターン、ゲームキューブ、PS2などのエミュレータに対応
ディスプレイ4.7インチ 16:9 タッチスクリーン
解像度1334×750、画素密度326ppi
CPUUnisoc Tiger T618 2.0GHz
RAM4GB LPDDR4
ストレージ128GB eMMC
バッテリー5000mAh
インターフェースUSB Type-Cポート、MicroHDMI、イヤホンジャック、マイク、microSDカードスロット、ステレオスピーカー、バイブレーション
ワイヤレス通信Wi-Fi、Bluetooth 5.0
サイズ139 x 82 x 25.4mm
重量270g

Retroid Pocket Flipは、Android 11を搭載した携帯型ゲーム機で、Android専用ゲーム多数のエミュレータに対応し、中華タブレットなどによく使われているちょうどいいSoC『T618』を採用。

4.7インチの高画質なタッチスクリーンディスプレイや128GBのストレージ、5000mAhのバッテリーなど、多彩な機能を備えています。

本体カラーには、ブラック、インディゴ、16Bit USバージョン、ウォーターメロン、スポーツレッド

Powkiddy X18Sとのスペック比較

しかし、過去に販売された似たような折りたたみ端末『Powkiddy X18S』とCPUスペックが変わらない点が少し残念です。X18Sとのスペック的な違いは以下です。

項目Retroid Pocket FlipPowkiddy X18S
ディスプレイサイズ4.7インチ5.5インチ
解像度1334×7501280×720
ストレージ容量128GB eMMC64GB eMMC
HDMIインターフェースMicroHDMIMini HDMI
サイズ139 x 82 x 25.4mm151.5 x 78 x 17.5mm
重量270g307g

開封&内容物

早速開封をしていきます

▲箱はいつも通りのレトポケデザインで、ゲームを想起するイラスト群がグレーで書かれたデザインとなっています。

▲内容物はこちら。レトポケフリップ本体、説明書、USB-Cケーブルです。

本体外観

透明感は低め

まずシェル(外装)について。今回watermelon、日本語名でスイカと名前がつけられたこのシェルは名前が表すように、赤のクリアシェルです。今回Flipを購入した理由もこのカラーがあったからです。

というのも、私個人的には折りたたみのハードは、DSのように2画面、もしくはキーボードでも付いていないでもない限り、コントローラー部分が間延びしたような印象になるのであんまり・・・って思っていたんですよね。

でもクリアカラーであれば、中の基板が見えてくるので間延び感はそこまで気にならないかな、という。

▲しかし実際のハードはと言うと、透明度はそこまで高くなく、あくまでも中が若干透けて見える程度の印象なので、この点においては少し残念でした。

ただ、透明度が低い分厚みもあってしっかりとしたプラスチック。若干ツルツル寄りのサラサラとした触り心地で、Retroid Pocket 3+よりもさらにツルッと上質になったような印象です。

スタンダードなボタン配置・・・と思いきや

▲開くとこのようにコントローラーが現れます。
左右に十字キーABXYボタンがあり、
下にスライドパッド、その下にスタートボタン、セレクトボタンといった配置。スライドパッドは押し込み対応。

中の基板が見えてきてはいますが、それでもやはり少し間延び感があります。ステッカーとか貼りたくなってきますね?

▲上側面には左からL1L2、M1、USB-C、MicroHDMI、M2、R1R2
下側面には電源ボタン、オーディオジャックがあります。

▲左側面にはカバー付きのMicroSDスロット
右側面にはボリュームボタン

▲背面には上に排気口、下にはスピーカーの間に給気口があります。ファンが搭載されているらしいですが、効いているのか効いていないのか正直わかりません。

DSと比較

RPFの寸法は139 x 82 x 25.4mmであるのに対して、
DS/3DSシリーズの寸法をざっと並べると以下となります。

名称高さ厚さ重量
Nintendo DS148.7mm84.7mm28.9mm275g
Nintendo DS Lite133mm73.9mm21.5mm218g
Nintendo DSi137mm74.9mm18.9mm214g
Nintendo DSi LL/XL161mm91.4mm21.2mm314g
Nintendo 3DS134mm74mm21mm235g
Nintendo 3DS XL/LL156mm93mm22mm336g
Nintendo 2DS144mm127mm20.3mm260g
New Nintendo 3DS142mm80.6mm21.6mm253g
New Nintendo 3DS XL/LL160mm93.5mm21.5mm329g

では代表的な折りたたみ型携帯ゲーム機ことDSiで比較してみます。なぜ3DSでもなくDSliteでもなくiなのかと言うと、DSiが好きだからです。

▲閉じた状態で並べてみたのがこちら。角ばって薄いDSiに対して、角が丸まっていて全体的に丸っこいRPF。

▲開いてみるとこちら。ヒンジ部分の構成などを見ても、まったく別物の印象。

開き角度はRPFの方が小さめ厚み大きめです。

操作感

独立コントローラーの良さ

▲ボタン配置は良く、広々としたコントローラー部分なので操作性は良いです。しっかりと握れて、コントローラーと画面が別になっているので、画面への没入感が高いのもグッドポイントですね。

重量は270gと、Retroid Pocket 3+よりも30g増えていますが、バッテリー容量も上がっていてファンが搭載されているのでその分でしょうか。

Retroid Pocket Flip:270g
Retroid Pocket 3+:243g(ガラスフィルム込み)
Switch Lite:277g
PS Vita後期:225g

折りたたみなのに、通常のボタンが良い

▲閉じてもボタン分の厚みを担保するような設計となっているので、DSi、PSPGOのような薄いカチカチドームスイッチではなく、通常の導電性ボタンです。押し心地は良好、遊びも少なくしっかりとした押しごたえです。

3DSのようなスライドパッド

▲今回は折りたたみという形状、通常のアナログスティックだと出っ張りが大きく閉じれなくなってしまうためか、スライドパッドが採用されています。所謂PSPとか3DSのような操作性です。

十字キー導電性ボタン。もうちょっと軸感があると嬉しかったですが、問題なく操作できるのでまぁ良いです。

ショルダーボタン縦配置で、R1はカチカチとしたボタン、R2はストロークが長いトリガーボタン。ボタンをクリックするのではなく、XBOXコントローラーのようなアナログトリガーとなっています。

更に本端末にはM1M2というボタンがあるのが便利。一般的なボタン+αでボタンがあると、メニューボタンとして割り当てたりできるので、捗ります。

ヒンジ角度が残念

▲そしてやはり、使っているとこのヒンジ角度が気になります。

使っていれば慣れてくるものの、画面を下げ気味で使うせいか重心が少し悪くなる感覚があり、従来のDSや3DSといった折りたたみゲーム機を使っている人にとってはやはりかなり違和感を覚えるかと。

このヒンジはシェル出っ張りで止まっているだけなので、その出っ張り部分を削ればもう少し大きく開くことができそうですが、その場合はショルダーボタンの操作がかなりしにくくなりそう(現状でもL1R1ボタンは結構干渉している)なので、オススメはあまりできません。

画面・スピーカー

明るくて見やすい画面

▲液晶はRetroid Pocket 3+とおそらく同じものが採用されていて、タッチパネル搭載、かなり明るめ、発色良い、高解像度(326ppi)です。どんなゲームもほぼピクセルパーフェクトに見えます。

色味はRP3+と同様暖色寄りのディスプレイですが、黄色っぽいなと気になったりすることはありません。

スピーカーの位置

スピーカーの印象もRetroid Pocket 3+と同様で良くも悪くもなく、クリアなスピーカーに慣れている方にとってはこもり気味に感じるかと。

またこの端末はヒンジの角度が小さいので、テーブルに置いてYoutubeを流したり、ゲームのムービーシーンを眺めたりして使うのにも適しています。

しかし置いて使うと、スピーカーがふさがってしまい、より籠もった音色になってしまうのが少し残念です。

使い方

基礎知識・注意点等

Androidスマホユーザーならスムーズ

基本的にはAndroidスマートフォン同様な使い勝手で使用することができます。エミュレータ等は初期設定で導入済みですが、ストレージ設定などは自分で行わなければならないため知識調べる力が必要です。

起動:電源ボタンを長押し
終了:電源ボタンを長押しして電源を切るを選択
スリープ:電源ボタンを一度押し
明るさ調整:上から下に2回スワイプして一番上のスライドバー
戻る、メニューを開く:Bボタン

説明書はペライチというか、無いに等しいのでAndroidを一切使ったこと無い方は大変かもしれません。

Androidにはシステムレベルの遅延がある

Androidはこの端末に限らず、システムレベルで遅延が有り、人によっては気になるといったことが注意点としてあります。私は別に気にならないんですが、アクションゲームや格闘ゲームなどを重要視する場合には、留意しておきましょう。

また、本端末はレビュー時点では技適未取得なので「技適未取得機器を用いた実験等の特例制度」を利用し、様々な検証を行っていきます。

開閉によるスリープ解除

電源ボタン長押しで起動すると、本端末はいわゆるDSのように、開閉でスリープ解除ができます。

より気軽に使える感じが良いのですが、うまくいったりうまくいかなかったりします。他の方の発信を見ていても所々不具合があるようなので、アップデートによる改善を期待ですね。

専用ランチャーアプリあり

最初に起動すると初期設定画面が立ち上がり、任意のアプリを選択してインストールします。その後、ランチャーを何にするかという選択画面が現れ、専用のランチャーを使うといかにもエミュ機って感じで使えるようになります。

個人的にはDaijishoというランチャーアプリを気に入っているので、それを使っています。

Daijishō - Google Play のアプリ
だいじしょうはレトロゲームライブラリーを運営しています。

AnTuTuベンチマーク結果

antutu Ver9.5.7のスコアは
総合スコア:226441
GPUスコア:42767

総合スコア的には、Snapdragon820、665あたりの性能でしょうか。他のT618を搭載した端末とほぼ同じ数値が出ています。

バッテリー持ちを計測

PCMarkによるバッテリー持続時間をテストしてました。100%→20%までが7時間

基本スマホやタブレットで行うアプリだと思うのでゲームメインで使う場合はもう少し減るかもしれませんが、携帯ゲーム機としては文句なしのバッテリー持ちです。

ただバッテリー容量が上がっているはずなのに、Retroid Pocket 3+(7時間40分)よりも持続時間が減っているのが気になります。

Android用ゲーム・アプリ

▲Android用のアプリも試しましたが、問題なく遊べます。

ただコントローラー対応していないアプリで、適宜タッチパネル操作が必要になることが多い場合、コントローラーから画面までの距離が遠いので扱いにくいです。

なのでそういう使い方をしたい場合はこちらではなくRetroid Pocket 3+の方が使いやすいかと。

リモート・クラウドプレイ

Xbox Cloud Gaming(サブスクのやつ)によるクラウドプレイSteamLinkによるリモートプレイにも快適です。

家で遊ぶ分にはこれで十分かと。リモートプレイはWifi・母艦PC環境が整っていればですけど。

ボタン割り当て可能

▲ゲーム中に画面を右から左へスライドすると、機能が色々と現れて十字キーアイコンを押すことでボタンマッピングが可能です。原神とかもこれを行い、ボタン操作で遊べるようになります。

簡単に説明すると

ボタン:一番左のアイコンをタッチしながら配置し、割り当てたいABXY十字キー等のボタンを押す
アナログスティック:スティックのアイコン左右で配置

配置したアイコンを更にタッチすると、更に詳細に設定を変更できます。日本語にも対応していて、説明も書かれているので読めばだいたい分かります。

原神何故コントローラー対応しないの?

エミュレータ

エミュレータで遊ぶためには

エミュレータで遊ぶためには原則以下のものが必要となります。

・吸い出し機(ダンパー)

エミュレータを使う際にはゲームイメージの吸い出しを各自行う必要があります。

ダンパーには色々ありますが、一台だけでゲームボーイ・ゲームボーイカラー・ゲームボーイアドバンス・メガドライブ・スーファミ・64のゲームイメージとセーブデータの吸い出しが可能なCartridge Readerレビュー記事はこちら)をおすすめします。

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(サイトは英語ですが、日本でも購入可能です)

また少しでも安く済ませたい方はGAMEBANK-web.comのダンパーを必要なハードだけ購入する、PS1、PS2、セガサターン等だけを遊びたい!って人はDVDリーダー+PCがあればなんとかなります。

・PC(あると快適)

データを管理するのに必要となります。有ったほうが間違いなく便利ですが、無くても頑張れば使えます。スマホと同じなので。

・MicroSD

ゲームイメージ用に推奨。PS2とかを遊ぶ場合では512GBくらいあっても良いかと。

・MicroSDリーダー

MicroSDをPCで読み込むために必要となります。

動作テスト

▲GBAまでのゲームはRetroArchで試します。画面比率的にも良い感じですが、GBなどは画面に大きく黒フチが出来てしまいます。なのでこのように、ベゼルを表示させたりすると良い感じになるかと。

▲GC、WiiはDolphin MMR2で試します。GCはタイトル、設定によっては普通に遊べます。Wiiもですが、やはり少し厳しいのか、途中でフリーズすることがありました。

▲AetherSX2を使ってPS2を試しました。タイトルによりますが、割と遊べます。PSPはPPSSPP。画面比率16:9なので、遊ぶのにぴったりです。オススメ。

感想

ぼちぼち不具合報告はあるものの、基本的に不満は開き角度程度で、かなり完成度は高いハードだと感じました。

ボタン配置はバッチリですし、割り当て可能なM1M2も気が利いています。スライドパッドは思った以上に使いやすいですし、コントローラー下、画面上といった構成なのでディスプレイへの没入感も高くて良いです。

欲を言うとやはりコントローラーまわりの間延び感が気になるのと、画面サイズがもうちょっと大きくなって欲しい、スピーカーの位置が背面ではなく手前に来てほしいってあたりですね。

個人的にはRetroid Pocket 3+の方が好きですが、これはこれで良いハードだと感じます。

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