SteamDeckにおいてしばし言われるバッテリーが持たない問題。
バッテリーが持たないからゲームを長時間遊ぶのに適していないし、携帯ゲーム機として遊ぶには現実的ではない、と。
果たしてそれは本当なのか…?ということで、様々なゲームでバッテリーの持続時間をテストしてみました。
動画版
バッテリー持続時間の公称値
SteamDeck公式ページのスペックによると
40Whrバッテリー。2~8時間のゲームプレイ
https://www.steamdeck.com/ja/tech
と記載されています。全然馴染みのないWhrという単位はノートPCなどでもよく使われているもので、ワットアワー『放電ワット数(W)×放電時間(Hr)』というもの。
このままでは正直良くわからないので、普段良く目にするmAhで表記するといくつくらいなんだろうと調べてみると、どうやらversus.comやiFixitによれば5200mAhらしい。いわゆる最新スマホと同程度のバッテリー容量であることがわかります。
※訂正 SteamDeckは定格電圧7.7Vで動いているので、Switchと同様の3.7Vで動かすとすると10811mAhとのこと。
バッテリー残り時間の表記は正確ではない
SteamDeckでは右の…ボタンを押し、パフォーマンス設定に移行するとバッテリー残り時間を見ることができます。
これによりあとどのくらい遊べるか目安を知ることができますが、この数値自体はあくまでも目安で、正確ではありません。実際はどうなのかというと表記の時間よりも若干少なめという体感。
体感で言われても・・・と思うかもしれないので、実際に動作時間を測ってみました。
テスト環境
テスト環境は以下となります。
・SteamDeck 64GBモデル
・MicroSD Sandisk Ultra 1TB
・ゲームデータ・キャッシュはすべてMicroSDに格納
・明るさは最大
・設定は無調整
・Wifiオン、Bluetoothオフ
・バッテリー満状態からスタート
色々と設定を行うと多少持続時間が変わると思うので、なるべくプレーンな状態、素に近い状態で検証します。残り10%になると通知が来るので、通知が来るまでの連続プレイ。
SteamDeck自体は最安モデルの64GBでSSD換装はしておらず、ゲームやキャッシュファイルはすべて1TBのMicroSDに格納、バキバキで遊びたいので明るさは最大、無線はWifiのみがオンでBluetoothはオフ。イヤホンではなくスピーカーで遊びます。
バッテリー持続時間の実測
ゲーム自体は他にも色々遊んでいますが、バッテリー100%からの10%までのプレイは以下のようになりました。
ゲームタイトル | バッテリー持続時間 |
エルデンリング | 1.5時間 |
ホライゾンゼロドーン | 1.5時間 |
テイルズオブアライズ | 1.5時間 |
デスストランディング | 1.5時間 |
タイタンフォール2 | 2時間 |
Final Fantasy Ⅶ リメイク | 2時間 |
ニーアレプリカント | 2.5時間 |
新すばらしきこのせかい | 3時間 |
イーストワード | 3時間 |
エンダーリリーズ | 4時間 |
基本的にはAAA級タイトルは1.5時間、ちょっと古めのAAA級タイトルとかリメイク作品は2時間~3時間、2Dのインディータイトルは4時間~5時間くらいって感じですね。
これらの他にも色々、A Space for the Unboundとか、シロナガス島への帰還とかやったりしましたが、長時間となるので連続プレイをするのは厳しくスリープしながら細かく、たまに休憩して、みたいなスタイルで遊んでプレイ時間自体は5~6時間くらいとなりました。
Steam Deckは本当にバッテリーが持たないのか?
正直2時間は欲しい
AAA級タイトルを気軽に遊べるのはこれとないくらい嬉しいんですが、AAA級になればなるほどプレイ時間そのものが上がってきています。
普通にゲームをクリアするだけで30時間で少ない方!だったりするので、つまり1回のプレイ時間も必然的に長くなってくるんですよね。もちろんゲーム性にもよりますが、ストーリー重視型のゲームであれば、1時間半のプレイのうちの30分はムービーだったりするわけです。
クリアまでの目安時間(個人差があります)
・ホライゾンゼロドーン:40時間
・デスストランディング:40時間
・サイバーパンク2077:30時間
・エルデンリング:30時間
なので正直、あぁもう少しだけ遊びたい・・・!ってタイミングでバッテリーの残通知が来るんですよね。あと30分あればまぁ許容でしょう!と感じれるようになるかもしれません。まぁ逆に言うと、バッテリー切れるから良いか辞めよう!っていう区切りにもなるわけなんですけど。
画質を取るか、バッテリーを取るか
あともちろんPCゲーなのでゲームのグラフィック設定をカスタマイズしたら2時間くらい余裕で持ちそうではあります。それに加えSteamDeckでは本体側でも簡単に設定を落とすことができます。
本体右側の…ボタンを押し、パフォーマンス設定を開くと、文字通りSteamDeckのマシンパワーを調整できて、さらにゲームごとに設定を変えることもできます。
設定を下げてどのくらい普通に遊べるのかはゲームによって全然異なりますが、とりあえず一番効果的なのは、フレームレートを30くらいに下げ、ゲーム側の解像度を下げてフィルターをFSRにしてみると、一番快適かつ見え方もそこまでに損なわず遊べます。
しかしグラフィック設定を下げることによって、ゲーム体験としての質は下がるので、この点に関してはどちらを取るのが最適なのか、という問題でもあります。
▲左がデフォルト設定、右がグラフィック設定を落としたもの。画像では分かりにくいかもしれませんが、遊んでいるとまぁまぁ気になります。でもこのように設定落としたら、エルデンリングでも2時間持つようになりました。
私個人としては、グラフィックが下がるのは嫌なのでなるべくデフォルト設定で楽しんでいます。設定を上げることはありますけど。
Switchと比較してみると
ではよく比較されるニンテンドースイッチ(というか、現行の携帯ゲーム機がSwitchしか無い)と、スチームデックをバッテリーにフォーカスして比較してみます。
Nintendo Switchのバッテリー持続時間
ニンテンドースイッチのバッテリー持続時間は、公称値では下記のようになります
フル充電後のバッテリー持続時間は次のとおりです。
※目安の時間です。使用状況によって短くなることがあります。また、遊ぶソフトによって持続時間が変わります。・Nintendo Switch本体(有機ELモデル)
約4.5時間~9.0時間・Nintendo Switch本体
現行モデル : 約4.5時間~9.0時間
旧モデル: 約2.5時間~6.5時間
※例えば「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」を遊ぶ場合、現行モデルでは約5.5時間、旧モデルでは約3時間です。・Nintendo Switch Lite本体
https://support.nintendo.co.jp/app/answers/detail/a_id/34211
約3.0時間~7.0時間
※例えば「ゼルダの伝説 ブレス オブ ザ ワイルド」を遊ぶ場合は、約4時間です。
・SteamDeck:公称値 2~8時間 実際 1.5~5時間
私はニンテンドースイッチの旧モデルで遊んでいることが多く、そもそもSwitchは普通に2時間~2時間半くらいでバッテリー切れるもんだ、と思っていたんですよね。スイッチライトで遊んでいるときも同様。
現行モデルや有機ELモデルでは十分すぎるくらい伸びているのですが、旧モデルで特に問題なく遊べていた、というか2時間で遊ぶことに慣れてしまっていたので、1時間半ではあと30分足りないと感じるのかもしれませんね。
Nintendo Switchのバッテリー容量
ついでにバッテリー容量を見てみると、
それぞれのバッテリーの定格情報(電圧、バッテリー容量、ワット時)は次のとおりです。
https://support.nintendo.co.jp/app/answers/detail/a_id/34142
- Nintendo Switch本体(従来モデル・有機ELモデル共通)
3.7V / 4,310mAh / 16Wh- Nintendo Switch Lite本体
3.8V / 3,570mAh / 13.6Wh
・SteamDeck:5200mAh / 40Whr
スイッチライトは3570mAhとかなり少ないですが、Switchはどのモデルも共通で4310mAh。かなり少ない。同じ容量なのになぜ持続時間が伸びたのかと言うと、どうやらチップセット(CPU)が変更になり、より省電力化したということらしいです。
スチームデックは5200mAh(らしい)なので、スチームデックの方が1000近く多い事になります。
※訂正 SteamDeckはSwitchと同様の3.7Vで動かすとすると10811mAh、つまり6486mAh多いということになります。
Switchはこのバッテリー容量でも省電力、ゲーム自体の消費電力もかなり低いので長く遊べますが、ススチームデックではWindows用のゲームを動かしている以上、消費電力が高くなるのは仕方ありません。
そういう意味では、
高いグラフィックで遊べる代わりにバッテリー持続時間を失うスチームデックと、
グラフィックを犠牲にバッテリー持続時間を獲得しているニンテンドースイッチ
といった対比にもなりますね。
▲このようにSwitchは携帯モードで遊ぶとかなり画質を下げる設定になるので、このあたりはけっこう不満です。他のゲームでも、よく劣化移植wと言われるSwitch版のゲーム。
充電速度が早ければ快適そう
またバッテリー10%から100%になるまでは大体2時間半くらいはかかります。これがもっと早くなれば、具体的には30分くらいで充電できてしまえば正直バッテリー持ちがそこまで良くなくても気になりにくそうです。
というのも最近スマホでは充電速度を早くすることに舵を切っていて、Xiaomi 12T Proでは19分で100%まで充電できるとのこと。
▲実際、私が所有しているAndroidスマホZenfone9も30分で50%まで充電できて、その安心感と楽さは半端ないですし、SteamDeckの一つの優位点であるスリープしながら細かく遊ぶスタイルとの相性も非常に良いと思うんですよね。
ということで、伸びしろしか無いSteamDeckですがかなり愛用しています。また何かありましたら検証して記事にしたいと思います。
これはシンプルにショックすぎる