4K機とほぼ同じ画像処理をまるごと積んで、価格は230ドル。RetroTINKが新型アップスケーラー「RetroTINK-6X CE」を発表しました。
実機のアナログ映像を今どきのテレビに映すための機材で、入力は全部アナログ。上位機のRetroTINK-4K CEと同じ12ビットのリニアライト処理を載せたうえで、上限を4Kではなく1440pに絞ってコストを削った構成です。位置づけはエントリー機。
RT4K系の処理がそのまま下の価格帯に降りてきて、しかも予約ではなく在庫からの販売。今回いちばん目を引くのはそこです。
発表の概要

発表は日本時間の8月23日未明。RetroTINK-6X CE(型番RT6XCE)は、アナログ入力専用の1440pクラスのスケーラーです。価格は230ドル(税別)。米国外向けの価格にはVATや関税、輸入手数料がすべて含まれていて、決済の時点で精算されます。配送業者から到着時に追加請求されることはありません。
予約制ではありません。注文はすべて在庫から出荷され、2026年8月24日の週から発送が始まります。数量しだいで倉庫からの発送まで数日から2週間ほどかかる場合あり。米国内は当面は標準配送のみで、発送後5〜10営業日。米国外はDHL ExpressのDDP扱いで、輸送はおおむね1週間ほどの見込みです。
わかっていること
- 正式名称:RetroTINK-6X CE(型番RT6XCE)
- 価格:230ドル(税別)。米国外は税・関税・輸入手数料込みのDDP
- 出荷:予約ではなく在庫販売。2026年8月24日の週から開始
- 出力:ネイティブ2560x1440p60。HDMI 1.4bの上限である300MHzのピクセルクロックいっぱいまで使う設計
- そのほかの出力:1920x1080p120、3840x1080p60(quasi-4KのCRTマスクモード)、480p/1080p/1440pを各種リフレッシュレートで
- 画像処理:RetroTINK-4Kと同じ12ビットのリニアライトパイプライン、HDR10出力、Rec.2020への色域補正
- CRT表現:energy conservation scanlines、spatial redistribution masks、可変MPRTの黒フレーム挿入(BFI)
- 入力:HD15/VGA、SCART、背面RCA、前面のコンポジットとS-Video。HDMI入力は非搭載
- 音声:アナログ音声入力が192kHz/24ビット(ゲイン調整付き)、光TOSLINK入力が2ch LPCMと圧縮サラウンドに対応
- プロファイル:SDカードに保存し、リモコンの1〜12番に割り当て可能。RetroTINK-4K用のプロファイルをそのまま読み込める
- 同梱物:本体、ソフトとプロファイル入りSDカード、リモコン、USB-A to USB-Cケーブル。ACアダプタは非同梱で、5V/2A以上のUSB電源を各自で用意
入出力とアナログまわり

入力はアナログ一本槍。HD15/VGA端子がRGBHV、RGBS、RGsB、YPbPr、S-Video、コンポジットを受け、SCART端子はRGBS、RGsB、YPbPr、S-Video、コンポジットに対応します。背面のRCAはYPbPr、RGsB、コンポジット。前面にもコンポジットとS-Videoが用意されています。
アナログ側の上限は、PCのVGAソースで1920x1080p60(148.5MHz)まで。内部は12ビット精度のRGBパイプラインで、ガンマとPQ(HDR)の詳細な調整、表示デバイスを模した色域変換、モーションアダプティブのインターレース解除まで入っています。コンポジットとS-Videoのデコーダーは多地域対応。NTSC、PAL、PAL-60、SECAMを扱えます。
プロファイルはWobbling PixelsとFireBrandXが手がけたものが最初から同梱。RetroTINK-4Kとフォーマットが共通なので、4K用に作られたプロファイルを直接持ち込めます。ファームウェアの更新はSDカード経由。映像は完全バッファリングで、入力が切り替わっても途切れない作りになっています。
割り切ったところ
基板を新設計して230ドルという目標価格に寄せた分、落とした機能もあります。挙がっているのは次の点。
- 出力のピクセルクロックは上限300MHzで、4K出力には非対応。オーバークロックやピクセルダブリングでこの上限を超える手も使えない
- 120Hzで動く出力モードラインは、メモリ帯域の都合でソースが720pまでに制限される場合がある。60Hz出力なら従来どおり1080p入力まで受けられる
- 1080iのインターレース解除はweave、bob、blendのみ。SD解像度のインターレース信号は4K CEと同じマルチフィールドのモーションアダプティブ処理
- HDMI入力なし。ゲームキューブやPS3、Xbox 360を含む構成では要注意
- 映画や30fpsのインターレースゲーム向けのInverse 3:2/2:2 Telecineは非搭載(4K CEにも無い機能で、5Xにはある)
- SCART端子にマウントネジが無い
- USBシリアルポートなし。VGA端子のシリアル経由でのSVSや周辺機器制御は従来どおり動く
もうひとつ、スペック以前の前提として購入前の注意も明示されています。RetroTINK-6X CEはアップスケーラーであってエミュレータでも再レンダリング機でもなく、最終的な画質は元の信号、本体の状態と設定、ケーブル、そして表示側の性能に左右されます。コンポジット(黄色いRCA)はアナログの中でもっとも画質が低い経路。サンプル画像や内蔵プロファイルの多くは、S-VideoやYPbPr、RGBといった上位の接続を前提に作られています。想定する表示機器は1080p以上で、それ未満での運用やダウンスケーラーとしての使い方はサポート外です。
5Xはどうなるのか、そして6X Pro

既存機の扱いにも触れられています。RetroTINK-5Xは現時点で販売継続。ハードウェアが許す範囲での機能のバックポートも続けるとされています。2021年当時は1920×1440ですら実験的なオーバークロック頼みで、4Kは不可能、HDRによるCRTシミュレーションに至っては概念すら無かった時代。そこから有機ELテレビもHDRも120Hzも当たり前になり、求められる水準が上がった、というのが6X CEを出す理由として語られています。
そしてCEという名前を見れば誰もが思い浮かべる疑問にも、答えが出ました。RetroTINK-6X Proは出ます。4Kシリーズと同じ二段構えで、発表は数か月内の予定。5Xの本当の後継はこちらです。詳細はまだ伏せられていますが、ゲーム用途を超えてアナログメディアの保存まで踏み込む方向性が予告されています。