MiSTer FPGA互換をうたう携帯機、Multisystem 2 Pocketの開発アップデートが公開されました。筐体を設計するRelay Industriesと、基板まわりを進めるHeberが、前回から変えた部分と試験の結果をそれぞれ説明しています。価格と発売日はまだ明らかになっていません。
筐体はまだ3Dプリント、射出成形の金型はこれから

今回公開された本体や部品は、すべて3Dプリントの試作です。設計そのものは射出成形を前提に進めていて、外装の材料にはPC/ABSが候補に挙がっています。外側の壁はおよそ2.5mm、画面は前面のパーツにベゼルごと接着する構造で、組み上げたあともユーザーが開けて手を入れられるようにしたとのことです。
金型はまだ発注していません。発注した時点で型の製作と支払いが確定するため、細部の寸法を詰めてから踏み切る段取りです。必要な型は4型から7型を見込み、スモークやクリアといった色と仕上げの選択も並行して進めています。
十字キーは形を変更、左右の操作部はネジ2本で外れる

十字キーは寄せられた意見を受けて、クロスの形に変わりました。6つのボタンはそのまま残しつつ、指の位置が分かるように浅いくぼみを付けています。スタートとセレクトは端から内側へ寄せ、スティックは逆に外寄りへ移りました。押し込んだときのカチカチした感触を避け、ゲーム向けの手応えにするため、タクトスイッチではなくシリコン成形の部品を使っています。
左右の側面に付く操作部は、ネジ2本で本体から外せます。次回のアップデートでは、違う操作系をまとめた交換用のパーツを見せる予定だとしています。
画面は720×720の正方形パネル、最大180Hz

画面は720×720の正方形パネルで、最大180Hzまで動かせるとしています。FPGAからパラレル接続でパネルを直接駆動し、映像を別の形式に変換しないため、ブラウン管に近い書き換えになるという説明です。有機ELではなく産業用の液晶を選んだのは、同じパネルを長く調達できるからで、7インチの16:9パネルや4:3のパネルも検討した末に今の形に落ち着いています。本体は横長ですが、画面が正方形なので縦画面のアーケード基板の映像も本体を回さずに映せます。
基板はEMC試験を通ってIssue 2へ

基板は最初の版でほぼ動作し、充電回路の抵抗を1つ変える程度の修正で済んだとしています。試作機はEMCと認証の試験にかけられ、どの項目も規定値を大きく下回りました。一日かけてわざと条件を悪くしても大きくは変わらなかったとのことで、設計を動かさずに次のIssue 2へ進みます。Issue 2は量産版になる見込みで、スイッチを内側へ寄せる機構まわりの微調整と、バッテリー端子をコネクタに変える変更が入ります。
電源には21700のセルを使い、容量は5.6Ahとしています。システム全体の消費は3.5Wで、据え置きのMultisystem 2のおよそ半分です。動作時間は多くのコアで11時間から12時間、PlayStationやAO486のコアで10時間から11時間という実測値が示されました。充電と給電はUSB PDに対応し、最大20Vまで受け取ります。外部端子にはUSB-Aを2つ備えており、周辺機器の多くがUSB-Aであることを理由に選んでいます。
Wi-FiとBluetoothのチップは基板に載せず、ドングルで対応する方針です。無線チップを載せると認証に費用と時間がかかるため、USB端子に小さなドングルを挿す形にしてコストと開発期間を抑える、という考え方によるものです。ヘッドホン端子はデジタル出力をアナログのアンプに通す構成で、ステレオスピーカーも載ります。内部にはI2Cの拡張バスがあり、バッテリー残量を画面に表示する仕組みも動いています。
ドックは試作機が組み上がり、接続はPCI Express

専用ドックは試作機が一台組み上がりました。外観はまだ仮のもので、今回は中の基板を見てほしいと断ったうえで公開しています。本体側にはPCI Expressの端子があり、ドック向けの入出力と高速な拡張の両方をここで受けます。大きい方のドックはHDMIとアナログ映像、ネットワーク、音声、追加のUSB、カートリッジ用の端子を備え、電源はバレル端子からUSB-Cへ変わる予定です。これとは別に、単純な小型のドックも用意するとしています。
このドックにはFPGAモジュールをもう一枚載せる構想もあり、2枚のFPGAを高速のバスでつないで処理を分ける使い方が示されました。例としてDreamcastのコアが挙がったものの、可能だと言うつもりはなく開発者に圧力をかけたくない、とも話しています。
開発陣は年内の完成を目標に置いており、日程が固まり次第知らせるとしています。