サイコメトラーの少女が記憶をたどりながら世界の真理を探求する、探索系横スクロールアドベンチャー。戦闘などは無し、パズル要素ありで、ドット絵が好きな方や、トワイライトシンドロームなど好きな方には是非プレイしてみてほしい。
開発中から期待してましたが、裏切らないクオリティで圧巻。触覚にこだわる細かいディテールの演出が抜群でした。
会話できる電柱

いわゆる超ベタな「あなたの脳に直接話しかけています」から始まります。まぁ話しかけてきたのは電柱なんですけど。とにかく掴みは超良い。いわゆる喋らない主人公の少女と、ゼルダで言う妖精のような、ガイド的な電柱が話しかけることによって進行していく。
話せる電柱の他にも、フェンス、ブロック塀、鉄骨アパート、屋根の上から入る図書館など都会的なエレメントが散りばめられていて、それぞれのステージ自体は広くないものの場面場面の繋がりや転換が非常に気持ちよく、新しいステージを早く見たい!という気持ちになる。
物が記憶を持つ

また物が記憶を持つという設定も良い。主人公はいわゆるサイコメトラーで、物がもともとどの場所にあって、どういった経緯で今ここにあるかという時間の流れを読み取ることができる。
例えばボロボロの廃墟の中の写真や本などを見た時にここでどういった生活を送っていて、どうしてこうなったかなど想像力を働かせる仕組みを上手くゲームで再現しているみたいな感じ。
事細かく物に触れたくなるし、どうでもいい情報でも注意深く観察したくなる、触覚への魅力がぐんと引き出されている設定。ゲームならではの体験で最高です。
時折入るノイズと謎に引き込まれる

時折一枚絵のカットインが入ったり、ノイズのような物が紛れ込む。
出てくるキャラクターは皆人では無い姿をしていて、人気のない都心の中で、謎の先生の存在、他の人類はどこに行ったのか、どうしたらもとの場所に戻れるのか、目的地に辿り着いたら何が起こるのかなど、謎と謎が絡み合い、どんどん引き込まれる。
クリアまでもそこまで時間がかからないので、一気にプレイしてしまう魅力があります。
適度な難易度の謎解き

ゲームの進行はいわゆる普通の謎解きアドベンチャー。鍵を手に入れてその鍵の使い道を探ったりなど、スクロール型の脱出ゲームのような感じで、時々パズル要素も有り。適度な難易度で、物語にアクセントを加えます。
振り返り機能が詩的

振り返り機能も良い。時々【○○】について考えたと吹き出しが出る。これはメニュー画面に蓄積されていき、『わたしの考え』という場所で読むことができる。いわゆる収集機能でもある。
シナリオを進めていく上ではただのストーリーとしての出来事でも、振り返りで独白をされるととても詩的。そしてシンプルにストーリーのおさらいを出来るのも合理的。
あと会話はバックログも残されるので、読み逃しても安心です。
リスペクトのゲームインゲーム

結構よく出来た対戦シューティングのミニゲームがある。ゲームの中でゲームができるのもあらゆるゲームのリスペクトを感じて良いですね。どうしても入れたかったんだなって思う。それで結構ちゃんと遊べるのも素敵。
美しい青を堪能しよう

情景の作り方がものすごくうまい。基本は青ベースで仄暗さを演出して、その反対色でもある夕日をバックにしたり、工業製品的な人工物を重ね合わせたり。ピクセルでありながらもぼかしやグラデーションでうまく明るさや濃淡を再現したり、時折入る一枚絵のカットインは非常にアクセントになる。
何より音楽、ビジュアル、プログラミングなど含め全部一人で制作しているのがマジでエグい。ゲームは総合芸術だと思いました。
リンク
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